日本棋院、2024年度事業報告を公表 伝承・普及・育成・国際展開で着実に前進

公益財団法人日本棋院は、2024年4月1日から2025年3月31日までの事業活動をまとめた「2024年度事業報告書」を発表しました。本報告では、棋戦開催、棋士育成、青少年教育、国際交流、情報発信など、多方面にわたる取り組みの成果が詳細に紹介されています。

学校での囲碁授業が拡大、全国63校・約28,000人が参加

青少年向け普及事業では、学校教育への囲碁導入が拡大し、全国63校で正課授業として12,215人、118校で課外活動として16,025人が参加しました。合計約28,240人が囲碁に触れたことになります。

  • 東京都品川区では37校が放課後囲碁活動を実施
  • 東京都中央区では8校で日本棋院棋士による正課授業を実施
  • 大学では全国35校で囲碁授業を実施、講師として29名の棋士を派遣
  • 囲碁教育支援として「がっこう囲碁普及基金」では186件、1,856千円の寄付が寄せられました

7名棋士採用

  • 東京本院夏季採用(1名)荒井 幹太
  • 本院冬季採用(2名)嵯峨 駿太郎、宮谷 風雅
  • 関西本戦採用(1名)朝日 悠俊
  • 中部本戦採用(1名)中根 大喜
  • 女流特別採用(1名)小幡 みのり
  • 女流特別採用 推薦(1名)関山 穂香

ナショナルチーム「GO・碁・ジャパン」

日本棋院はナショナルチーム制度を通じ、世界で活躍できる棋士の育成を目指しています。

  • 登録棋士数:33名(うち若手棋士26名)
  • 夏季強化合宿を3年ぶりに再開
  • 毎週土曜日に研究会を実施し、ネット対局「幽玄の間」で公開

一般向け普及、ネット指導碁は1,360局

  • ネット指導碁「幽玄の間」:1,360局
  • 棋士派遣:101件、238名派遣(前年度比増加)
  • 初級者教室:全国62教室で開催
  • 有楽町囲碁センター利用者:月間2,500人以上
  • 梅田囲碁サロン利用者:11,311人(前年比微増)

幽玄の間は5,500万局達成、アプリ「囲碁であそぼ!」14万DL

  • インターネット対局「幽玄の間」:累計約5,500万局
  • 囲碁学習アプリ「囲碁であそぼ!」:14万ダウンロードを突破
  • 対局場利用者数合計(東京・関西・中部含む):62,108人

創立100周年を祝う記念事業も展開

  • ホテルオークラ東京で記念式典(来場者約450名)
  • 女流囲碁リーグが開幕、5チームによる通年リーグ戦を実施
  • 金銀箔記念免状:237件の申し込み、約3,100万円の収入

経常収支は▲1.37億円の赤字

  • 経常収益:28.13億円(+7545万円)
    • 会費収入:3.80億円(▲1647万円)
    • 事業収益:23.04億円(+3365万円)
    • 寄付金収入:1.06億円(+6258万円)
  • 経常費用:29.50億円(+5722万円)
    • 事業費:27.66億円(+6812万円)
    • 管理費:1.85億円(▲1090万円)

総資産は44.3億円に微増

2025年3月末の総資産は44億2,872万円で、前年に比べ約3,310万円増加しました。流動資産が17.6億円、固定資産が26.7億円です。

負債は25.4億円、正味財産は18.9億円

  • 負債合計:25億4,256万円(前年比+7373万円)
  • 正味財産:18億8,616万円(前年比▲4063万円)
    • 指定正味財産:6.76億円(+9209万円)
    • 一般正味財産:12.11億円(▲1327万円)

今後に向けて

報告書では、今後も学校教育、国際交流、若手育成の三本柱で活動を拡充することを表明しています。また、収益部門・寄付金・コンプライアンス整備など、経営基盤の強化にも継続的に取り組んでいます。