第49期棋聖戦七番勝負第3局は、2月5日から6日にかけて宮城県知事公館で行われます。一力棋聖が地元で白星を挙げるのか、それとも井山王座が勝ち越しを決めるのか、注目が集まります。第3局を前に、2月4日、宮城県知事公館で検分が行われました。
宮城県知事公館は、国内外の賓客を迎える迎賓館として利用されており、歴史的価値の高い建物です。特に正門は、大正9年(1920年)に取り壊された仙台城の中門(寅門)の部材を使用しており、仙台城の歴史を今に伝える貴重な遺構の一つとされています。
対局室は、雪見障子越しに美しい庭園を望む和室で、床の間には伊達政宗公の像が飾られています。昨年も同じ部屋で対局が行われたことから、検分は数分で終了しました。その後、一力棋聖と井山王座は前日インタビューに応じ、それぞれ第3局への意気込みを語りました。
対局室検分
碁石や碁盤の感触、室内の温度、トイレの位置などを確認した両対局者は、数分で検分を終えました。
検分後のインタビュー
一力棋聖のコメント
「3年連続で棋聖として地元に戻ってこられたことをうれしく思います。第2局以降は、研究会でほかの方と打ったり、自分で勉強したりしながら、比較的リラックスして過ごせました。第2局で勝てたのは大きかったですが、内容的には押されていた部分もあり、そこが課題です。1勝1敗で仕切り直しということで、集中して第3局に臨みたいと思います。」
井山裕太王座のコメント
「これまでの2局はいずれも難しい内容でしたが、自分なりにそれなりのパフォーマンスは出せていると思います。これまで通り、その場で感じたことを最優先に考えて打っていくつもりです。仙台での対局はアウェーではありますが、温かく迎えていただいているので、気持ちよく打てています。スポーツとは違い、観客がその場で応援することもないので、一手一手に全力を尽くしていくだけです。」
前夜祭:仙台国際ホテル
同日夜には、仙台市の仙台国際ホテルで前夜祭が行われました。前夜祭には、第3局の共催者である河北新報社の一力雅彦社長や郡和子仙台市長をはじめ、多くの囲碁ファンが参加し、国内外で活躍する地元の英雄・一力棋聖を応援しました。
特に注目を集めたのは、記念の花束贈呈を担当したプレゼンターの存在でした。贈呈を務めたのは、一力棋聖が幼少期に指導を受けた大沢伸一郎さんの娘、巴さんと希さん。一力棋聖は、意外なプレゼンターの登場に思わず笑顔を見せました。
大沢さんは当時の一力棋聖について、「教えられたことを頭の中で整理して処理する能力がずば抜けて高かった。その一方で、負けたら悔しくて泣くこともあり、すごく情緒豊かでした」と振り返りました。また、第3局について「一力棋聖の性格上、『周りの期待』を感じるかもしれませんが、こういう局面を乗り越えてほしいですね。自然体でいれば、きっと勝てると思います」とエールを送りました。
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