産経新聞社が主催する囲碁タイトル戦「大和ハウス杯 第63期十段戦五番勝負」の第1局が3日、大阪府東大阪市の大阪商業大学で行われました。挑戦者・芝野虎丸九段が黒番中押し勝ちを収めました。井山裕太十段に対し、十段タイトル奪還に向けて良いスタートを切りました。
第2局は、17日に和歌山市のダイワロイネットホテル和歌山で行われます。
対局の流れ
3月2日
対局前日に「検分」が行われました。
検分の後、井山十段と芝野九段は前日インタビューに応じ、それぞれ開幕戦への意気込みを語りました。
- 井山十段:「タイトなスケジュールだが、いい緊張感を持って臨める。棋聖戦に比べてスピーディーな戦いになると思うので、うまく切り替えていければ」
- 芝野九段:「今期は本戦で苦しい碁があったが、勝ち上がることができた。いつも以上にのびのびと打ちたい」
3月3日
9時30分
- 立会人の山田規三生九段の合図で先手・後手を決める握りが行われ、芝野九段が先番で始まりました。
- 序盤は両者ともに高速の着手が続きました。井山十段は右下隅で白28と巧みに捌き、打ちやすい形勢を築きました。この時点では白がやや有利に進めているように見えました。
- しかし、芝野九段もすぐに反撃に転じ、黒75で中央の白三子を取り込んで形勢を互角に戻しました。このまま昼食休憩に入りました。
12時
- 昼食。白番の井山王座の勝率は58%です。
13時
- 対局再開しました。
- 左下隅では先手を取ろうとする攻防が続きましたが、芝野九段は黒109で生きを確保し、ややリードを奪いました。その後も芝野九段は冷静な打ち回しを続け、上辺で黒123と突き破る一手を放ち、優勢を確立しました。
- ヨセの段階でも芝野九段は緩むことなく、黒185のツケでさらに差を広げ、黒199で形を決めて勝負を押し切りました。
17時40分
終局。233手で黒番中押し勝ちとなり、芝野九段が第1局の勝利を手にしました。