平成元年(1989年)5月24日生。大阪府出身。石井邦生九段門下。平成14年入段、同年二段、15年三段、17年四段、同年七段、20年八段、21年九段。日本棋院関西総本部所属。史上初の2度の七冠独占。
平成元年(1989年)5月24日生。大阪府出身。石井邦生九段門下。平成14年入段、同年二段、15年三段、17年四段、同年七段、20年八段、21年九段。日本棋院関西総本部所属。史上初の2度の七冠独占。
5歳で父が買ってきたテレビゲームで囲碁を覚え、アマチュア高段者の祖父の薫陶を受ける。まだ小学校入学前の年齢にもかかわらず、碁を始めて半年で5級、さらに半年で3段になる。6歳の時、ミニ碁一番勝負に出場し、5人抜き。小学1年の夏に番組の解説者だった石井邦生九段に弟子入り。石井は囲碁の師弟としては異例の1000局もの対局(多くはネット対局)を通じて井山を鍛え上げた。この番組のインタビューで何になりたいかの問いに「野球選手」、誰のようになりたいかとの問いに「イチロー」と答えた。
1997年(東大阪市立孔舎衙東小学校2年)、少年少女囲碁大会全国大会で優勝。小学2年での優勝は昭和61年の山下敬吾(現九段)以来二人目。決勝の相手は後にプロになる万波奈穂だった。翌年に2年連続優勝。NHKの企画で小林千寿五段と3子で対局。この年、修行のため中国棋院で行われる全国児童囲碁大会に特別に参加した。また同年にはじまった全日本こども囲碁大会の初代優勝者にも輝き、平成生まれのチャンピオンとして話題を集めた。週刊碁の企画で山田規三生王座(当時)と3子で記念対局し勝利する。10月に日本棋院関西総本部の院生となる。小学4年生のこの頃、自ら研究会を開き、井山研究会を発足させた。当初は武井孝志、佃亜希子、井澤秋乃らすでに入段していた先輩を仲間に入れ、井山自身が入段してからは荒木一成、坂本寧生らも呼びかけた。
2001年、関西・中部で1名の入段者決定戦に関西代表として出場も、川田晃平に敗れ、最年少入段ならず(入段していれば、趙治勲の記録を1月あまり更新していた)。
2002年
関西枠1名で東大阪市立孔舎衙中学校1年生時にプロ入り。院生リーグで46連勝を含む71勝8敗という圧倒的な成績で入段(中学一年生)した。12歳の入段は林海峰名誉天元などに並ぶ記録。平成生まれ初の棋士であり、ちょうどこの頃『ヒカルの碁』のテレビ放送が始まった時期でもあり、同番組の本編終了後のミニコーナー『梅沢由香里のGOGO囲碁』で免状授与の様子が特集されたほか、様々な新聞に取り上げられた。入段記念対局としてNHK教育テレビでは張栩と対局。週刊碁主催の新初段シリーズでは山田規三生八段(当時)と対局。同年二段。この年の成績は21勝4敗。
2003年
第29期棋聖戦では本田満彦八段に勝利。第30期天元戦では佐坂志朗八段・土田正光九段に勝利。この年は三段に進んで32勝13敗。
2004年
第30期棋聖戦では吉田美香八段・石井新蔵九段・山城宏九段らに勝利し最終予選進出。第30期名人戦では中尾準吾八段・郡寿男九段・片山安雄八段・下島陽平七段らに勝利し最終予選進出。第53期王座戦では片山安雄八段・植木善大八段・彦坂直人九段に勝利。第44期十段戦では下島陽平七段に勝利。
2005年 初優勝
第30期棋聖戦最終予選では横田茂昭九段に勝利。第61期本因坊戦では中野寛也九段・後藤俊午九段に勝利し最終予選進出。3月、第52期NHK杯に出場する50名に選出。15歳10か月での出場は史上最年少記録。16歳になってすぐに第2回中野杯・U20選手権でも優勝、以後この大会で3連覇。9月、新人王戦準優勝。
10月8日、第12期阿含・桐山杯全日本早碁オープン戦で小林覚九段を破り優勝、早くも頭角を現した。16歳4か月での優勝は日本囲碁史上最年少(従来の最年少優勝は、1973年に新鋭トーナメント戦で優勝した趙治勲の17歳0か月、また全棋士出場の棋戦では1975年にプロ十傑戦で趙治勲の記録した18歳10か月)。張栩、王立誠、趙治勲、小林覚という超一流棋士を連破しての優勝であった。棋戦優勝で規定により七段へ昇段したが、これも史上最年少、四段から七段への飛び級昇段も史上初であった。第32期天元戦では山田規三生八段・松岡秀樹八段に勝利し初の本戦入り。40勝13敗(.755)で棋道賞勝率一位賞を受賞。
2006年
第31期棋聖戦最終予選では清成哲也九段・山田規三生八段に勝利し決勝に進むも張栩名人に敗北。第32期名人戦では山城宏九段・石井邦生九段に勝利し最終予選入り。第62期本因坊戦最終予選では中野泰宏九段・彦坂直人九段に勝利。第54期王座戦では小県真樹九段・郡寿男九段・大垣雄作九段・石田章九段に勝利し初の本戦入り。本戦では三村智保九段に勝利。第33期天元戦では本戦に進出。第32期碁聖戦では松岡秀樹八段・彦坂直人九段に勝利。第46期十段戦では小県真樹九段・今村善彰九段に勝利。
2007年 リーグ入り
第32期棋聖戦では林海峯名誉天元・後藤俊午九段・仲邑信也八段に勝利しリーグ入りを果たし、17歳10か月の3大リーグ入り最年少記録を作る。また第33期名人戦では山下敬吾棋聖・中小野田智己九段・河野臨天元に勝利しリーグ入りを果たし、黄翊祖が2005年に記録した18歳6か月を1月あまり更新した。第63期本因坊戦では岩田達明九段に勝利し決勝進出。第55期王座戦では高尾紳路名人に勝利。第33期天元戦では趙善津九段・王立誠九段・小林光一九段・森田道博九段に勝利し本戦決勝に進むも山下敬吾棋聖・王座に敗れる。第47期十段戦では小県真樹九段・植木善大八段に勝利。
2008年 最年少挑戦者
2008年には名人リーグを勝ち抜いて張栩名人への挑戦権を獲得、現行7大タイトル戦での最年少挑戦記録を塗り替えた(19歳3か月。これまでの記録は趙治勲が王座に挑戦した20歳4か月、名人戦では林海峰の23歳2か月)。名人戦挑戦者となったことで規定により7月11日に八段に昇段した。名人戦では3-4で惜敗。棋聖リーグA組優勝。第56期王座戦挑戦者決定戦進出。世界囲碁選手権富士通杯出場、2回戦進出。初の十段戦本戦入り。NECカップ囲碁トーナメント戦出場。第1回大和証券杯ネット囲碁グランドチャンピオン戦優勝。第2期幽玄杯精鋭リーグ優勝。48勝21敗(69局)で棋道賞最多対局賞を受賞。さらに、棋道賞優秀棋士賞を受賞。
2009年 名人位
第2回大和証券杯ネット囲碁グランドチャンピオン戦2連覇。7月本因坊リーグ入り(最年少)。名人リーグは8戦全勝で張栩名人に対する挑戦権を獲得、4-1で勝利し名人位を20歳4か月で獲得。七大タイトル獲得の最年少記録を更新した(これまでの記録は名人戦では林海峰の23歳4か月、7大タイトル戦では趙治勲が王座を獲得した20歳5か月)。
名人位を獲得することで規定により10月16日に九段に昇段した。この九段昇段により、入段からの8年10か月と九段昇段の最短記録を更新した。9月第18期竜星戦で張栩名人を破り優勝。初の碁聖戦本戦入り後、挑戦者決定戦進出。富士通杯出場、2回戦進出。LG杯世界棋王戦出場、2回戦進出。43勝14敗(57局)で棋道賞年間最多勝、最多対局賞。また、この年47回秀哉賞、棋道賞優秀棋士賞受賞。
2010年 名人連覇
2010年 2月(放映は3月)、第57回NHK杯テレビ囲碁トーナメントで準優勝。7月、第1回世界囲碁名人争奪戦に出場、中国の古力名人に敗れる。10月、第35期名人戦で挑戦者高尾紳路を名人戦では10年ぶりとなる4-0のストレートで降し、名人位初防衛。11月、アジア大会男子団体戦に出場、韓国戦で李世乭九段を破る健闘を見せるも、チームは銅メダル。12月、第6回大和証券杯ネット囲碁オープン戦で張栩棋聖を破り優勝。2010年の賞金ランキングは5648万円で3位。
2011年 十段・天元
2011年 3月、35期棋聖戦で張栩棋聖に挑戦するも2-4で敗れる。4月29日、十段戦第5局で張栩十段を下し、初の十段位獲得(21歳11か月での戴冠は十段戦での当時最年少記録・伊田篤史が更新)、自身初の二冠(史上最年少)となった。
5月、博賽杯金仏山国際囲碁超覇戦(非公式戦)で李世乭、古力を破り優勝。日本の棋士が、国際棋戦で優勝するのは、6年ぶり。6月、第16回LG杯において2回戦に進出するも、李昌鎬九段に敗れた。8月、24回世界囲碁選手権富士通杯で古力、崔哲瀚、坂井秀至を破り準決勝に進出するも、朴廷桓に敗れ3位決定戦に回る、決定戦で江維傑を破り、休止前の富士通杯最後の日本人棋士の入賞者となった。同月、第2回世界囲碁名人争覇戦では、朴永訓名人(韓国)、江維傑名人(中国)に敗れた。9月、第36期棋聖戦Aリーグ優勝。9月30日、第20期竜星戦で結城聡を降し、2回目の優勝。10月1日、第18期阿含・桐山杯で山下敬吾桐山杯を降し、2回目の優勝。阿含・桐山杯日中決戦では敗退。10月28日、第36期名人戦で山下敬吾本因坊に2-4で敗北し、3連覇ならず。
11月17日、第37期天元戦で結城聡天元を3-0で降し初の天元位獲得(22歳6か月での戴冠は天元戦での最年少記録)。48勝19敗で、日本棋院における最多勝利、最多対局。賞金総額は9151万円で、初の賞金ランキング1位となる。
2012年
2012年2月20日、将棋女流棋士の室田伊緒(井山と同年同月同日生)と5月に結婚することを発表し、予定通り両者の誕生日である5月24日に結婚し、12月23日に挙式した。3月24日、第7回大和証券杯ネット囲碁オープンで二十五世本因坊治勲を降し2連覇。4月18日、第50期十段戦で張棋聖を3-1で下し、十段位初防衛。4月、67期本因坊戦リーグで6勝1敗の成績で挑戦権獲得。7月19日、67期本因坊戦で山下道吾本因坊を4-3で降し、初の本因坊獲得。史上最年少での三冠に輝いた(23歳1か月)。
7月23日、37期碁聖戦で羽根直樹碁聖を3-0で下し、初の碁聖位獲得。史上最年少四冠となる(23歳2か月)。37期名人戦リーグで7-1の成績を挙げてプレーオフ進出も、羽根直樹に敗れて挑戦権を逸する。8月9日、第37期棋聖戦Bリーグ優勝。8月30日(放送は9月28日)、21期竜星戦決勝で林漢傑を下し、竜星戦2連覇。11月8日、棋聖戦挑戦者決定戦で高尾紳路を下し、棋聖戦挑戦者に。
11月22日、60期王座戦で張栩王座を3-0で下し、初の王座獲得。史上二人目の五冠となる。11月29日、38期天元戦で河野臨を3-0で降し、天元位防衛。2012年は51勝12敗(勝率8割1分)の成績を残した。2012年の賞金総額は1億620万円で、初の賞金1億超えとなった。
2013年
2013年3月14日、37期棋聖戦で張栩棋聖を4-2で下し、初の棋聖獲得(23歳10か月での獲得は史上最年少)。史上初の六冠となり、史上三人目のグランドスラムも達成(最年少記録)。4月26日、十段戦で結城聡に2-3で敗れ、五冠に後退。六冠保持は43日で終了した。6月30日、自身初、日本では2005年の張栩以来8年ぶりのテレビ囲碁アジア選手権戦優勝(初の公式世界棋戦優勝)。7月18日、高尾紳路を4-3で下し、本因坊連覇。8月23日、碁聖戦で河野臨を3-2で下し、碁聖を防衛(二連覇)。10月17日、第38期名人戦で山下敬吾名人を4-1で下し、六冠に復帰。これにより、趙治勲に続く史上2人目の大三冠を達成。また実力制8人目の名人本因坊でもある。11月28日、第39期天元戦で秋山次郎を3-0で下し、天元を防衛(三連覇)。12月2日、第61期王座戦で張栩を3-1で下し、王座位を防衛(連覇)。43勝18敗(防衛戦が増えたためにリーグやトーナメントの出場機会が少なくなり前年よりも勝ち数を減らした)。賞金・対局料の総額が史上最高の1億6461万円に昇り、3年連続の賞金王となった。2013年は七大タイトル戦の挑戦手合にフル出場(史上初)。自己初の1億円突破となった前年(1億620万円)の1.5倍以上を稼ぎ、獲得額は2位の約5倍(3524万円)。
2014年
2014年1月23日、第52期十段戦挑戦者決定戦決勝で高尾紳路に敗れ、七冠挑戦には至らなかった。3月13日、第38期棋聖戦で挑戦者の山下敬吾を4-2で下し、棋聖初防衛。3月22日、日本棋院90周年記念として創設された現役タイトルホルダーによる棋戦優勝者選手権決勝で山下敬吾に勝ち、初代優勝者となる。7月1日、第69期本因坊戦で初の年少の挑戦者伊田篤史を4-1で下し、本因坊3連覇。8月29日、第39期碁聖戦で挑戦者の河野臨を3-2で下し、碁聖3連覇。10月18日、第21期阿含・桐山杯で河野臨を降し、3回目の優勝。
10月30日、第39期名人戦で挑戦者の河野臨を4-2で下し、名人連覇。11月28日、第53期森ビル杯十段戦本戦準々決勝で小林覚に半目負けし、この時点で2015年中の七冠独占は無くなった。12月16日、第62期王座戦で村川大介七段に2-3で破れ失冠。五冠に後退。12月19日、第40期天元戦で高尾紳路十段に2-3で敗れ、四冠となる。賞金総額は1億4078万円で4年連続1位となり、3年連続で1億超えとなった。
2015年
2015年3月20日、第39期棋聖戦で山下敬吾の挑戦を受け、三連勝三連敗後、最終局で一勝を返し3連覇。6月30日、第70期本因坊戦で挑戦者の山下敬吾を4-1で下し4連覇。8月7日、第40期碁聖戦で山下敬吾の今年三度目の挑戦を受け、3-1で下し4連覇。10月6日、第40期名人戦で高尾紳路天元を名人戦では5年ぶりとなる4-0のストレートで下し3連覇。11月19日、第63期王座戦で村川大介を3-0のストレートで下し王座位を奪還。七大タイトル獲得数24となり張栩を抜いて歴代4位となる。11月25日、第41期天元戦で高尾紳路を3-0のストレートで下し天元位を奪還。黄雲嵩を下し阿含・桐山杯日中決戦初優勝。下半期に林海峰と並ぶ歴代2位となる公式戦24連勝を記録する。賞金総額は過去最高の1億7212万円で2013年の総額記録を更新したが、この年の年末に妻の室田と離婚した。
2016年 七冠達成
2016年1月21日、第54期十段戦挑戦者決定戦で余正麒を下し、伊田篤史への挑戦権を獲得する。2013年以来、3年ぶり2度目となる7大タイトル戦フル出場を果たす。2016年4月20日、伊田から十段を奪取し、囲碁界初・将棋界も合わせると羽生善治に次ぐ七冠となった。さらにタイトル獲得数36となり林海峰名誉天元・依田紀基九段を上回り歴代7位となった。さらに史上初の七大タイトル全て3期以上獲得を達成。6月30日、第71期本因坊戦挑戦手合七番勝負第5局で高尾紳路九段に黒番177手中押し勝ちし、シリーズ対戦成績4勝1敗で本因坊防衛を果たした。井山はこれで本因坊5連覇で、永世本因坊資格を獲得した(二十六世本因坊)。七大タイトルでの名誉称号資格獲得は1993年の林海峯名誉天元以来、23年ぶりとなる。7月28日、第41期碁聖戦で村川大介に3連勝し碁聖5連覇。史上3人目の名誉碁聖となる。9月9日の本因坊就位式で本因坊の号を「文裕(もんゆう)」とすると発表した。本因坊ゆかりの京都・寂光寺の大川定信(じょうしん)住職が、知恵を象徴する文殊菩薩(ぼさつ)と、井山の名前から1字ずつ借りて命名した。しかしながら2016年11月3日の囲碁名人戦第7局において、挑戦者である高尾紳路九段に3連敗3連勝ののち敗れ、七冠全独占は197日で終了した。第64期王座戦では3-0で余正麒七段を、第42期天元戦では3-1で一力遼七段をそれぞれ下し、6冠を保持した。またタイトル獲得数40となり張栩九段を上回り歴代6位になった。
2017年 年間グランドスラム達成
2017年3月10日、第41期棋聖戦挑戦手合い七番勝負第6局で河野臨九段に白番150手中押し勝ちし棋聖位を防衛、棋聖5連覇を果たして名誉棋聖資格を獲得した。名誉称号3つは小林光一と並び最多タイ。また七大タイトル通算獲得数は32となり故加藤正夫名誉王座を抜いて単独3位となった。3月19日、NHK杯トーナメント決勝で一力遼七段を下し、初優勝。公式戦で唯一手にしていなかったNHK杯を獲得し、現行の国内すべての公式棋戦で優勝を記録した(参加資格の無い王冠戦・女流棋戦、参加資格年齢に達していないマスターズカップ、創設当時にすでに七段昇段して参加資格が無かった若鯉戦を除く)。4月21日、第55期十段戦で余正麒七段を3-1で防衛。5月31日、第22回LG杯世界棋王戦で周睿羊九段に中押し勝ちしベスト8進出。この勝利により2007年以来2回目となる日本での準々決勝開催が決まった。6月16日、第72期本因坊戦で本木克弥8段を4-0で下し、七大タイトル獲得数を34に伸ばして小林光一の持つ歴代2位の記録にあと1と迫った。また三大タイトル(棋聖、名人、本因坊)の獲得数を16とし小林光一の歴代2位に並んだ。7月25日、第42期碁聖戦で山下敬吾九段を3-0で下し、七大タイトル獲得数を35に伸ばして歴代2位に並んだ。
7月28日、名人リーグ戦で村川大介八段を下し、最終戦を待たずに7-0で名人挑戦を決めた(最終的に8戦全勝)。名人失冠以後すべての(七大)タイトルを防衛しての挑戦となった。9月15日、第29回テレビアジア選手権1回戦で李世乭九段に破れ2回目の優勝はならなかった。9月25日、第22回三星火災杯世界囲碁マスターズでベスト16まで進出したが、申眞諝八段に破れ8強進出はならなかった。 10月17日、第42期名人戦で高尾紳路名人を4-1で下し、名人戦を奪取して2度目の七大タイトル完全制覇を達成した。2度の七冠同時制覇は囲碁・将棋界を通じて初。さらに再び大三冠となる。また、七大タイトル獲得数を36に伸ばし、小林光一名誉三冠を超えて歴代単独2位となり、さらに三大タイトル獲得数でも小林光一を超え歴代単独2位となった。11月13日、LG杯世界棋王戦準々決勝で中国の楊鼎新六段に勝利しベスト4進出。日本棋士が持ち時間2~3時間の世界大会での4強進出は2011年8月第24回富士通杯以後6年3か月ぶり(井山3位の時)。15日、LG杯準決勝で現在中国No.1 の柯潔九段に中押し勝ちし決勝進出を決めた。決勝は翌年2月に行われ謝爾豪五段と対局する。11月20日、第65期王座戦で一力遼八段をストレートで下し、王座位を防衛した。11月24日、第43期天元戦で一力遼八段をストレートで下し、天元位を防衛した。これにより2017年の七大タイトルをすべて井山が獲得し、囲碁・将棋界を通じて史上初の年間グランドスラムを達成した。また、NHK杯とあわせ8つのタイトル獲得は史上最多。天元位獲得6期は林海峰名誉天元・小林光一を抜き歴代最多。さらにタイトル獲得数が48となり加藤正夫名誉王座を上回り、大竹英雄名誉碁聖と並んで歴代4位タイとなった。
2018年
LG杯世界棋王戦決勝にて謝爾豪五段との対局を三番勝負総合成績1勝2敗で落とし、またしても世界一の称号には届かなかった。第1局のうっかり負けが響き、第2局は逆転で取り返したものの、最終局では及ばなかった。2月13日、「年間グランドスラムを含む囲碁界初の二度の七冠同時制覇という歴史に刻まれる偉業を達成し多くの国民に夢と感動を社会に明るい希望と勇気を与えた功」で将棋の羽生善治と共に史上26人目の国民栄誉賞を受賞。2月16日、第42期棋聖戦で一力遼八段に4連勝し6連覇。昨年から王座戦・天元戦・棋聖戦と3連続で続いた一力との挑戦手合は井山の10連勝と圧倒した。3月18日、ワールド碁チャンピオンシップにシード枠で出場。同じく日本勢である山下敬吾を下し、決勝進出を果たす。翌19日、韓国ランキング1位の朴廷桓に敗れ、惜しくも準優勝に終わる。
4月12日、第56期十段戦では村川大介八段に3連勝し3連覇。これにより七大タイトルを全て5期以上獲得したことになる。また史上初の七大タイトル全てで3連覇以上を達成。7月1日、第74期本因坊戦で山下敬吾九段に4勝1敗で防衛。二十三世本因坊栄寿に並ぶ歴代3位タイの7期・7連覇達成。七大タイトル獲得数歴代1位タイまであと「1」とした。
8月3日、第43期碁聖戦では許家元七段に3連敗し失冠。2016年名人戦以来13タイトルぶりの七大タイトル失冠となり、七冠から六冠に後退した。井山は七大タイトル挑戦手合49回目にして初のストレート負けを喫した。11月2日、第43期名人戦では挑戦者に張栩九段を迎え3-1と王手をかけたがその後3連敗し3-4で五冠に後退した。12月13日、第66期王座戦で挑戦者の一力遼八段にフルセットの末3勝2敗で防衛(4期連続、通算6期)し五冠を維持。七大タイトル獲得数が趙治勲の42期に並んだ。それから6日後の19日、第44期天元戦でも挑戦者の山下敬吾九段にフルセットの末3勝2敗で防衛(4期連続、通算7期目)し五冠を維持。七大タイトル獲得数を歴代最多となる通算43期に伸ばした。2009年の初タイトルからわずか9年で新記録を達成した。
囲碁の井山裕太五冠が新潟県で行われた棋聖戦の七番勝負の最終局に勝ってタイトル防衛を果たし、棋聖戦7連覇を達成しました。
井山裕太五冠は、ことし1月から行われている、七大タイトルで最も序列の高い棋聖戦の七番勝負で、山下敬吾九段の挑戦を受け、ここまで3勝3敗で、勝負の行方は最終局にもつれ込んでいました。
14日から新潟県南魚沼市で行われた最終局は最終盤まで優劣つけがたい熱戦となりましたが、15日午後9時前に313手までで、白番の井山五冠の6目半勝ちとなりました。
井山五冠は4勝3敗としてタイトル防衛を決め、棋聖戦7連覇を果たして五冠を守りました。
囲碁の世界戦、第3回ワールド碁チャンピオンシップ(WGC)は18日、東京都千代田区の日本棋院で開幕し、日本の井山裕太五冠(29)が中国の江維傑九段(27)に勝ち、準決勝に進出した。準決勝で世界トップの一角、中国の柯潔九段(21)と対戦する。
大会は日本、中国、韓国の3カ国から8人が出場し、優勝を争う。優勝賞金は2千万円。対局は持ち時間各3時間で、準決勝は19日、決勝は20日に行われる。
もう一方の準決勝は、朴廷桓九段(26)―申真ソ九段(19)で、韓国勢同士の組み合わせ。日本からは他に張栩名人(39)が出場したが、申九段に敗れた。
日本、中国、韓国、台湾のトップ棋士8人による囲碁の国際棋戦「ワールド碁チャンピオンシップ2019」の準決勝が19日、東京都千代田区の日本棋院で行われた。日本代表の白番・井山裕太五冠(29)は193手までで、中国の柯潔(かけつ)九段(21)に中押しで敗れた。韓国勢対決となったもう1局は、朴廷桓(パク・ジョンファン)九段(26)が182手までで、申眞●(=ごんべんに婿のつくり)(シン・ジンソ)九段(19)に白番中押し勝ちした。20日の決勝は、3連覇を目指す朴九段と、数々の国際棋戦で優勝してきた柯九段で行われる。
井山五冠は平成29年に日本棋院で開催された「LG杯朝鮮日報棋王戦」で柯九段に勝利している。世界トップクラスの強い相手に違いないが、この日も果敢に打ち進め、中盤まで優勢を保った。日本棋院内で開催された大盤解説会でも、趙治勲(ちょう・ちくん)名誉名人が「いい打ち方をしている」と称賛し、見守るファンも決勝進出を信じていた。
しかし柯九段が鋭い手を連発。井山五冠の見損じもあり、昨年に続く決勝進出とはならなかった。
「勝つチャンスは多かったと思うが、結果に結びつけられず残念。精度の高い手を序盤から打てること、来たチャンスを逃さないところは、世界のトップの中のトップ」と振り返った井山五冠。一方、勝利した柯九段は「苦しい局面が多く、あきらめたときもあったが、勝つことができ運がよかった。あすもベストを尽くしたい」と語った。
「勝つチャンスは多かったと思うが、結果に結びつけられず残念。精度の高い手を序盤から打てること、来たチャンスを逃さないところは、世界のトップの中のトップ」と振り返った井山五冠。一方、勝利した柯九段は「苦しい局面が多く、あきらめたときもあったが、勝つことができ運がよかった。あすもベストを尽くしたい」と語った。
ふたたび舞台は国内棋戦に戻る。29日には「森ビル杯 第57期十段戦五番勝負」の第2局で、村川大介八段との一戦に向かう。
第66期囲碁王座戦(日本経済新聞社主催)五番勝負を制して五冠を維持した井山裕太王座(29)の就位式が11日、大阪市内のホテルで開かれた。関西棋院の正岡徹理事長が王座允許(いんきょ)状を、日本経済新聞社の阪本浩伸大阪本社代表がトロフィーなど王座賞をそれぞれ手渡した。
昨秋の五番勝負で2年連続挑戦となった一力遼八段(21)を3勝2敗で破って4連覇を果たした井山王座は、地元大阪で「ほかのタイトル戦でもフルセットが続いて苦しい中、王座戦の最終局でなんとか結果を出せたのは自分にとって大きかった。この経験を糧にして前向きに進んでいきたい」と喜びを語った。
産経新聞社主催の囲碁タイトル戦「森ビル杯 第57期十段戦五番勝負」の第1局が5日午前9時半から、大阪府東大阪市の大阪商業大学で行われ午後5時17分、井山裕太十段が184手までで村川大介八段に白番中押し勝ちし、4連覇へ向け先勝した。持ち時間各3時間で、残りはともに1分だった。第2局は29日に、日本棋院東京本院で行われる。
立会人・石田篤司九段の合図で先後を決めるニギリを実施、村川の先番で前期と同じカードは始まった。
黒135が冷静な一着のあと、黒139と勝負手を打った。
ただ、右辺黒157に切った局面では、中央162とノビていたほうがよかったようで、白172で勝敗は決した。
井山十段の話「左辺白72では、74とハネるのが最善だったかも。シリーズは始まったばかり。気を引き締めて次に臨みたい」
村川八段の話「右辺の(黒157)キリがまずかった。第2局まで間隔が空くので気持ちを切り替えたい」
2019 年 03 月 29 日 十段戦第2局、村川が勝ち1勝1敗
産経新聞社主催の囲碁タイトル戦「森ビル杯 第57期十段戦五番勝負」の第2局が29日午前10時から、東京都千代田区の日本棋院東京本院で始まり、午後5時23分、挑戦者の村川大介八段が154手までで、井山裕太十段に白番中押し勝ちし、対戦成績を1勝1敗のタイにした。第3局は4月11日に、長野県大町市の「くろよんロイヤルホテル」で行われる。持ち時間各3時間で残りは村川1分、井山2分だった。
第57期十段戦五番勝負第2局詳解
第1局とは先後を入れ替えた本局は、下辺で白18の様子見に、黒19が井山らしい反発。
白26が黒二子を分断し、32と下がったのが明るい打ち回しだった。
白52のあと、左辺が治まっていないなか、時間を使わず着手した黒53は、井山の厳しい踏み込み。対する村川は白56、58と厳しい攻めを続行。
井山は63、65と踏ん張って難しい戦いとなった。
白92が好手。中央の黒と、右上の白のせめぎあいに。
さらに白102、106と緩まず、左辺白116となり黒がやや苦しい形になった。
右上白140が冷静で中央の白四子を捨てた村川は、142までに優位を確定させた。
劣勢の井山は黒149から逆転を狙うが、村川が的確に対応。対井山戦の連敗を「13」で止めた。
村川八段の話、「右上(142)にまわって、形になったかなと。ようやく連敗が止められホッとしてる」
井山十段の話、「(黒59)ツケこしはふつうでは足りないと思って仕掛けたが、どうだったか。次も精いっぱい打つだけ」
2019 年 04 月 10 日 十段戦前夜祭 井山十段「ベスト尽くす」 村川八段「一矢報いる」
井山裕太十段に村川大介八段が2期連続で挑戦している産経新聞社主催の囲碁タイトル戦「森ビル杯 第57期十段戦五番勝負」の第3局が長野県大町市のくろよんロイヤルホテルで行われる。これを前に10日、同ホテルで前夜祭が行われた。
井山十段の先勝で迎えた第2局は村川八段が熱戦を制し、1勝1敗のタイとなった。頂点に近づくのはどちらか、山場の一番だ。
前夜祭で井山十段は「明日の対局は厳しい戦いになる。ベストを尽くして頑張りたい」、村川八段は「平成最後のタイトル戦。これまでたくさん井山さんに負かされたので、一矢報いたい」と抱負を述べた。
持ち時間各3時間の1日打ち切り制で、立会人は馬場滋(しげる)九段。
2019 年 04 月 11 日 村川八段連勝 十段奪取に王手
囲碁の第57期十段戦5番勝負の第3局は11日、長野県大町市で打たれ、挑戦者の村川大介八段(28)が151手で井山裕太十段(29)に黒番中押し勝ちし、対戦成績2勝1敗で十段奪取にあと1勝とした。残り時間は黒が3分、白が1分(各3時間持ち)。
第4局は19日に大阪市の日本棋院関西総本部で行われる。
2019 年 04 月 12 日 第43期棋聖就位式
囲碁の第43期棋聖戦七番勝負(読売新聞社主催)を制した井山裕太棋聖の就位式が12日、東京都文京区のホテル椿山荘東京で行われ、約200人が祝った。井山棋聖は挑戦者の山下敬吾九段を4勝3敗で下し、7連覇を達成した。
老川祥一・読売新聞グループ本社取締役最高顧問・主筆代理から正倉院宝物の金銅鳳形裁文(こんどうおおとりがたさいもん)を写した鳳を刻み込んだ純銀製の棋聖大賞メダルと、賞金4500万円の目録が贈られた。
最終第7局で立会人を務めた大竹英雄名誉碁聖が「本当にすごい対局で、感動した。井山さんは囲碁界の宝、日本の宝だと思う」と7連覇を祝福。井山棋聖は「最終局は大変な碁だったが、最後は運も味方してくれたと思う。昨年から厳しい戦いが続いているが、こういう状況にも慣れてきた。これからも一局一局、目の前の一手一手を精いっぱい打っていきたい」と謝辞を述べた。
2019 年 04 月 19 日 平成最後のタイトル戦 村川が制す
囲碁の第57期十段戦五番勝負(産経新聞社主催)の第4局が19日、大阪市北区の日本棋院関西総本部で打たれ、挑戦者の村川大介八段が井山裕太十段に226手までで白番中押し勝ちし、シリーズ3勝1敗で十段のタイトルを初めて奪取した。規定により、20日付で九段に昇段する。一方の井山は、昨年の碁聖、名人に続く失冠で、四冠に後退した。
村川・新十段は兵庫県西宮市出身。2002年、11歳10カ月で関西棋院にプロ入り。名人戦リーグには7期連続で在籍中だ。
14年末に初の七大タイトルとなる王座を井山から奪ったが、その後は対井山戦で13連敗。しかし、今期十段戦第2局で連敗を止めると、第4局まで3連勝で初の十段獲得を決めた。村川は「連敗していた相手で信じられない。王座を取った時は満足してしまったので、気を引き締めたい」と話した。
一方、井山が四冠に戻るのは3年5カ月ぶり。15年11月の王座奪還以降、五冠以上を維持していた。年内の七冠再復帰も消えた。「また一から力を蓄えて戻ってきたい」と語った。
1歳上の井山裕太前十段(29)とは、小学2年生のころ碁を打ってもらって以来、一緒に囲碁を研究してきた仲だ。その井山前十段は七大タイトルを2度独占するなど、囲碁界の第一人者へ上り詰めた。目標にしてきた存在から、平成最後のタイトル戦となった今回、十段位を奪取することができた。
井山前十段は平成14年4月、自身はその7カ月後にプロ入り。井山前十段は16歳で史上最年少の棋戦優勝、20歳で史上最年少名人となるなど、いつも一歩先を進んでいた。
「子供のころから実力差があり、ライバルとはいかない。でも1つ年上なので、自分も次の年には同じぐらいに活躍しなければと思ってきた」と話す。
タイトル戦の頂点で戦うのは5回目で、相手は全て井山前十段だ。26年の王座戦では奪取したが、翌年の王座戦、28年の碁聖戦、30年の十段戦ではいずれもストレート負けを喫した。
井山前十段はぎりぎりの勝負で形勢を入れ替え、悪い局面をひっくり返す。強さを実感した。「もう勝てないのでは」とくじけそうにもなった。
だが、「ミスしたり、相手に想定以上の手を打たれたりして思い通りにいかなくても、粘り強く戦う」と臨んだ今期の十段戦。第2局で勝利をつかみ、26年12月からの対井山戦の連敗を「13」で止め、そのままの勢いで十段戦を制した。
平成最後にタイトルを獲得。「井山さんを目標にしてきた。それが自分にとっての平成かな」
2019 年 04 月 23 日
第44期碁聖戦 井山のタイトル戦連続出場記録29でストップ
第44期碁聖戦(新聞囲碁連盟主催)本戦の準決勝が23日、大阪市北区の日本棋院関西総本部で打たれ、一力遼八段が本因坊文裕に219手で黒番中押し勝ちし、羽根直樹九段との決勝に進んだ。2015年の第70期本因坊戦以降、文裕がタイトルをかけて競う「挑戦手合」の連続出場記録は、歴代最長の29で止まった。
文裕は「ここまで続けられたのが信じられない。励みにしていた記録の一つなので残念だが、仕方ない」と振り返った。
日本棋院によると、文裕以外の7大タイトル戦挑戦手合の連続出場記録は、小林光一名誉棋聖と張栩名人の6が最長。
文裕は来月11日に岩手県大船渡市で開幕する第74期本因坊決定戦七番勝負(毎日新聞社、日本棋院、関西棋院主催、大和証券グループ協賛)で防衛戦に臨む。
2019 年 05 月 10 日 大船渡で本因坊戦第1局 あす開幕
本因坊文裕に河野臨九段が挑戦する第74期本因坊決定戦七番勝負第1局(毎日新聞社、日本棋院・関西棋院主催、大和証券グループ協賛)が11日から、岩手県大船渡市の「おおふなぽーと(防災観光交流センター)」で始まる。8連覇が懸かる文裕と本因坊初挑戦の河野との戦いは、東日本大震災被災地で「囲碁のまち」を掲げて観光振興を進める大船渡で幕を開ける。
対局会場一帯は津波で壊滅的な被害を受けた。10日に大船渡入りした両者は復興の象徴として整備が進む商店街「キャッセン大船渡」などを視察し、歓迎会に臨んだ。
戸田公明・大船渡市長は「大船渡の魅力を全国に発信する絶好の機会」と歓迎。文裕は「震災で大変な思いをしながら着実に歩みを進める皆さんをいい手本に、大船渡の地から少しでも前進していきたい」、河野は「復興は想像もつかないほど険しい中、盛大に歓迎してもらい感謝している。力を精いっぱい出せるように努力したい」と決意を語った。
対局は午前9時開始で持ち時間は各8時間。立会は王銘エン九段、解説は趙善津九段、記録は外柳是聞三段と横塚力三段が務める。
2019 年 05 月 12 日
河野が先勝 本因坊戦第1局
岩手県大船渡市の「おおふなぽーと(防災観光交流センター)」で行われていた第74期本因坊決定戦七番勝負(毎日新聞社、日本棋院、関西棋院主催、大和証券グループ協賛)の第1局は12日午後5時12分、169手で挑戦者の河野臨九段(38)が本因坊文裕(もんゆう、29)=井山裕太九段=に黒番中押し勝ちし、初の本因坊位獲得に向けて好スタートを切った。残り時間は河野38分、文裕45分。
1日目の最後に起こった右下隅の競り合いで、文裕が封じ手で白76とアテたのに対し、河野は隅で生きることに成功し、リードを奪った。河野が左下隅や下辺でも手堅く地を稼ぐ間に、文裕は左辺で白106、114の連打から左上隅で広大な地を手に入れ、混戦でヨセに入った。最後は、河野が中央の黒を捨てて下辺の白を取りに行ったのが好手順となり、文裕の追い上げを振り切った。
解説の趙善津九段は「河野九段が序盤からリードを奪いましたが、その後堅めに打ったため際どい勝負になりました。黒155のハネ出しが読みの入った絶妙な手でした」と話した。
第2局は22、23の両日、甲府市の山梨県立文学館で打たれる。
河野臨九段の話 序盤の作戦に自信はなく、遅いかもしれないけど厚いからそれなりに勝負になると思っていた。中央でいい手が見えて勝ちになったと思った。
本因坊文裕の話 序盤途中までは予定通りだったが、1日目で少し悪くした。際どくなったと思ったが黒155のハネ出しがいい手で、正しく打たれたら負けだと思った。
2019 年 05 月 14 日
関西囲碁将棋記者クラブ賞 井山棋聖は8年連続12回目の受賞
第27回「関西囲碁将棋記者クラブ賞」は、囲碁の井山裕太棋聖と将棋の豊島将之棋聖に決まり、14日、大阪市福島区の関西将棋会館で表彰式が行われた。特別賞には、将棋の最年少プロ、藤井聡太七段の師匠で、順位戦B級2組への昇級を決めた杉本昌隆八段と、50年以上将棋教室を開くなど、アマチュアの指導や普及に大きく貢献した、若松政和八段に贈られた。
井山棋聖は8年連続12回目の受賞。「昨年から厳しい戦いの連続だが、碁の内容は自分の感覚では悪くないと思っている。来年も受賞できるよう頑張りたい」。初の受賞となった豊島棋聖は、昨年初タイトルの棋聖を獲得した後、王位も手に入れ、現在、名人戦に挑戦している。「昨年は飛躍の一年だった。今年度も頑張りたい」と話した。
2019 年 05 月 16 日
井山vs 山下再び 第44期名人戦挑戦者決定リーグ戦
張栩名人への挑戦権を争う第44期囲碁名人戦挑戦者決定リーグ戦(朝日新聞社主催)は16日、前名人の井山裕太四冠と、山下敬吾九段が対局する。今春の棋聖戦七番勝負でフルセットの激闘を交わした2人が、舞台を変えて再び相まみえる。朝日新聞デジタルでは対局開始の午前10時からライブ中継し、戦いが中盤の佳境を迎える午後3時から終局まで、内田修平七段が同時進行で解説する。持ち時間は各5時間。夜までに終局する。
井山はここまで2勝2敗と苦戦。過去43期の名人戦リーグで3敗者が挑戦権を獲得したのは1度しかなく、名人返り咲きには絶対に負けられない一戦で、難敵を迎える。一方の山下は、3勝1敗とリーグ暫定2位の好位置をキープ。4戦全勝で首位をゆく河野臨九段とは8月最終ラウンドの直接対局を残しており、自力優勝に向けて1敗死守をめざす。
同日にはこの対局のほか、首位の河野と現在1勝3敗の孫喆七段が対局する。現在本因坊戦七番勝負で井山に挑戦中の河野は絶好調。今月11、12日の第1局を制した。勢いに乗って名人戦でも無敗を守るか、リーグ残留に向けて剣が峰に立つ孫が意地を見せるか、これも注目の一局だ。
2019 年 05 月 22 日
本因坊戦第2局 井山が81手目封じて1日目終了
本因坊文裕に河野臨九段が挑戦する第74期本因坊決定戦七番勝負(毎日新聞社、日本棋院、関西棋院主催、大和証券グループ協賛)の第2局が22日、甲府市の山梨県立文学館の茶室「素心菴(そしんあん)」で始まり、午後5時2分、井山が81手目を封じて1日目の対局を終えた。
持ち時間各8時間のうち消費時間は文裕3時間15分、河野3時間47分。23日午前9時に再開する。
2019 年 05 月 23 日
本因坊戦第2局 河野臨九段が中押し勝ちで2連勝
甲府市の山梨県立文学館の茶室「素心菴(そしんあん)」で打たれていた第74期本因坊決定戦七番勝負(毎日新聞社、日本棋院、関西棋院主催、大和証券グループ協賛)の第2局は23日午後6時27分、挑戦者の河野臨九段が本因坊文裕に白番中押し勝ちし、対戦成績を2勝とした。持ち時間各8時間のうち残り時間は文裕3分、河野47分。
1日目の最後に始まった左辺の攻防が、文裕の封じ手黒81で再開された。文裕は右辺に大きな黒地を確保しており、河野が左辺の黒を攻めつつ左上隅に広い白地を築けるかどうかが焦点になった。2日目再開当初、控室では河野が打ちやすいとの評判だったが、文裕は黒97から左上隅へ進出すると一転、「文裕優勢」の声が上がった。
しかし、文裕が黒125のマゲからさらに上辺を攻めると、双方の石が細かく絡み合う混戦に。難解な戦いの中、下辺で黒石が切られる手を文裕が見落として大石が取られる形となり、急転直下の終局となった。解説の本木克弥八段は「文裕が険しい道を選び、かえって混戦にしてしまった。文裕の見落としがなければ、まだ難しいヨセ勝負が続いていた」と振り返った。
第3局は6月4、5の両日、北海道函館市の五稜郭内の箱館奉行所で行われる。
河野臨九段の話 「黒にいい手があれば一気に差が開いても文句が言えないと思っていた。最後に黒を切断でき、勝ちになったと思った。」
本因坊文裕の話 「白162と出られて負けになってしまった。連敗は厳しい状況だが、第3局は自分の納得のいく碁が打ちたい。」
2019 年 05 月 26 日
第24回LG杯朝鮮日報棋王戦本戦1回戦 日本からタイトル保持者3名が出場
第24回LG杯朝鮮日報棋王戦本戦は5月27日韓国で開催される。日本からタイトル保持者3名が出場し世界王者を目指す。
2019 年 05 月 27 日
第24回LG杯朝鮮日報棋王戦本戦1回戦 井山が快勝、2回戦の相手は柯潔
第24回LG杯朝鮮日報棋王戦が5月27日に韓国京畿道金浦市の「ホテルマリーナベイソウル」で開幕した。1回戦では井山が勝ち上がり2回戦へと進んだが、張と許は敗退した。
29日の2回戦で井山は中国の柯潔九段と対戦する。柯潔が絶好調、4月26日から公式戦11連勝中です。柯潔の連勝を止めるか、2回戦の見どころ。
井山裕太(日本) VS 李軒豪(中国)
2019 年 05 月 29 日
第24回LG杯朝鮮日報棋王戦本戦2回戦 井山が敗れ日本勢は敗退
第24回LG杯朝鮮日報棋王戦(韓国京畿道金浦市「ホテルマリーナベイソウル」)の2回戦が5月29日に行われた。日本から出場している井山裕太九段は中国の柯潔九段に敗れ、準々決勝へ進むことが出来なかった。これで日本勢は敗退が決まった。
2019 年 06 月 05 日
本因坊戦第3局 井山が逆転勝ち
北海道函館市の五稜郭内にある箱館奉行所で打たれていた第74期本因坊決定戦七番勝負(毎日新聞社、日本棋院、関西棋院主催、大和証券グループ協賛)の第3局は5日午後6時34分、本因坊文裕が挑戦者の河野臨九段に289手で白番半目勝ちし、対戦成績を1勝2敗とした。持ち時間各8時間のうち残り時間は、河野13分、文裕10分。第4局は13、14の両日、静岡県沼津市の旧沼津御用邸で行われる。
河野が封じた黒65のツケから2日目の対局が始まった。文裕が白72と右辺で戦いを誘って新たな競り合いに入ったが、河野に攻め筋が多く、文裕が神経をより使う展開で推移した。河野は黒99と上辺に着手すると、右上隅の黒との連絡に成功して地を稼ぎ、控室は「河野優勢」とした。
しかし、文裕は下辺のスキを突いて白142から黒地に侵入し、さらに中央に白地を築いて一気に差を詰めた。最後は、長いヨセ勝負を制した文裕が逆転勝ちを収めた。
解説の鈴木伸二七段は「河野九段は取られている黒をうまく活用して局面をリードしました。文裕は、左下隅での黒の見落としを突いて差を詰め、最善を尽くして粘りました。逆転したのは最後の最後でした」と総括した。
2019 年 06 月 12 日
本因坊戦第4局 シリーズの山場を迎える
本因坊文裕に河野臨九段が挑戦する第74期本因坊決定戦七番勝負(毎日新聞社、日本棋院、関西棋院主催、大和証券グループ協賛)の第4局が13、14の両日、静岡県沼津市の旧沼津御用邸で打たれる。河野連勝の後、文裕が逆転で1番返して迎えた本局。文裕がタイに持ち込むか、河野が初の本因坊獲得にあと1勝と迫るか、シリーズも山場を迎える。
同市は、江戸時代後期に活躍し碁聖とたたえられる十二世本因坊丈和の出生地とされ、12日に到着した両対局者は、二十五世本因坊治勲(趙治勲九段)が揮毫(きごう)した記念の石碑に献花して健闘を誓った。この日の前夜祭では、河野が「ファンの方にも丈和先生にもよい碁を見せられるよう努力したい」、文裕は「丈和先生は囲碁史に残る棋譜をたくさん残された。少しでもよい棋譜を残せるよう頑張りたい」と決意を語った。
対局は持ち時間各8時間。13日午前9時開始。午後5時に打ち掛けとなり、翌日に打ち継がれる。立会は二十四世本因坊秀芳(石田芳夫九段)、解説は金秀俊九段、記録は小池芳弘四段と藤村洋輔三段が務める。
2019 年 06 月 14 日
本因坊戦第4局 2勝2敗のタイに
静岡県沼津市の旧沼津御用邸で繰り広げられた第74期本因坊決定戦七番勝負(毎日新聞社、日本棋院、関西棋院主催、大和証券グループ協賛)の第4局は14日午後7時35分、本因坊文裕が挑戦者の河野臨九段に203手で黒番中押し勝ちして連勝し、対戦成績を2勝2敗のタイに持ち込んだ。持ち時間各8時間のうち残り時間は文裕2分、河野5分。第5局は18、19の両日、長野県松本市の松本ホテル花月で打たれる。
1日目は文裕が地合いでリードして終え、白70(12の四)の河野の封じ手から2日目の戦いに突入した。中央をめぐる囲い合いも考えられたが、河野の白86が黒地を制限する手で、ヨセ勝負の碁になった。
右辺の攻防に移り、文裕の黒97サガリが、白の死活に直結する右上隅のコウ争いを秘めたひねった手で、難しい中盤戦が続いた。
終盤、河野がジワジワとプレッシャーをかけたが、文裕が手厚いヨセで勝ちきった。
解説の金秀俊九段は「1日目のコウ争いの判断で本因坊がポイントを取った。挑戦者にとってはチャンスらしいチャンスが訪れず、本因坊の快勝といえる」と総括した。
本因坊文裕の話「2日目はヨセ勝負だと思い、右上でそれなりのヨセを打てて、勝ちになったと思った。次局も体調を整えて精いっぱい打ちたい。」
河野臨九段の話「序盤でコウを仕掛けたが、成果が上がらず失敗した。本局は内容が悪く、次は少しでも納得のいく碁が打てるよう頑張りたい。」
2019 年 06 月 19 日
本因坊戦第5局 8連覇へあと1勝
長野県松本市の松本ホテル花月で打たれた第74期本因坊決定戦七番勝負(毎日新聞社、日本棋院、関西棋院主催、大和証券グループ協賛)の第5局は19日午後6時23分、本因坊文裕が挑戦者の河野臨九段に200手で白番4目半勝ちした。
文裕は対戦成績を3勝2敗とし、歴代単独3位となる8連覇にあと1勝と迫った。持ち時間各8時間のうち残り時間は河野9分、文裕32分。第6局は7月3、4の両日、大阪府吹田市のホテル阪急エキスポパークで行われる。
文裕が先に厚みを築いた中央での勢力争いをどちらが制するかの戦いとなった。文裕は白70、72と強気の手を繰り出し、白78で着実に模様を築いた。これに対し、河野は黒79で白模様を消しに行き、昼休憩直前の黒87のキリから黒107まで右辺に地を稼いだ。しかし文裕は、白98から白102と白二子を捨てて中央を広く囲ってリードを奪った。さらに白112と制して黒の動きを抑え、河野の追い上げを封じた。
解説の六浦雄太七段は「右上の地を明け渡す代わりに、中央の広さを取るのが良いと判断した文裕の構想が光った一局だった」と話した。
本因坊文裕の話「左下方面が割と大きくまとまって少しいけるのではないかと思った。次局は、勝負はこれからと思って精いっぱい打ちたい。」
河野臨九段の話「序盤で遅れてしまい、右辺を白に手厚くまとめられてチャンスがなかった。次局まで時間が空くので少しでも状態を良くしたい。」
2019 年 07 月 03 日
本因坊戦第6局 文裕8連覇なるか、河野逆王手か
本因坊文裕に河野臨九段が挑戦し、文裕の3勝2敗で迎える第74期本因坊決定戦七番勝負の第6局(毎日新聞社、日本棋院、関西棋院主催、大和証券グループ協賛、阪急電鉄協力)が3日から、大阪府吹田市のホテル阪急エキスポパークで打たれる。連敗スタートの後、3連勝して歴代単独3位の8連覇にあと1勝と迫る文裕。一方、逆転での初戴冠を目指す河野。今期もいよいよ佳境を迎える。
両対局者は2日、囲碁ファンが詰めかけた前夜祭に臨んだ。河野は「七番勝負も終盤を迎えたが、今まで通り精いっぱい自分の碁が打てるよう頑張りたい」、文裕は同ホテルが来年2月末で営業を終了することを踏まえ、「このホテルでは印象深い対局が多い。感謝の気持ちを込めて戦いたい」と決意を述べた。
対局は文裕の先手番で3日午前9時開始。午後5時に手を封じて、4日に打ち継がれる。持ち時間は各8時間。立会は坂口隆三九段、解説は結城聡九段、記録は小松大樹三段と西岡正織二段が務める。
2019 年 07 月 04 日
本因坊戦第6局 封じ手は「9の三」
本因坊文裕に河野臨九段が挑戦する第74期本因坊決定戦七番勝負の第6局(毎日新聞社、日本棋院、関西棋院主催、大和証券グループ協賛、阪急電鉄協力)は4日、大阪府吹田市のホテル阪急エキスポパークで2日目の対局が始まった。
朝の吹田市内は雨が上がり、時々日も差している。対局室には前日とは逆に、文裕、河野の順で入った。定刻の午前9時、両対局者が前日の盤面を再現すると、立会の坂口隆三九段が文裕の封じ手を開け、「9の三の押さえです」と読み上げた。白への攻めを急がず、上辺に地を確保する手厚い一着だ。
文裕は黒85のツケから左上隅をコウにした。黒91のコウダテに河野は堅く受けず、白92と反発。文裕は「うん、うん」とうなずきながら考えている。
解説の結城聡九段は「受けるのは利かされと考えたのでしょう。右下の白の形がどうなっていくかも見どころです」と話した。
2019 年 07 月 04 日
本因坊8連覇 歴代3位の記録
第74期本因坊戦七番勝負(毎日新聞社主催)の第6局が3、4の両日、大阪府吹田市であり、井山裕太本因坊が、挑戦者の河野臨(こうのりん)九段に171手までで黒番中押し勝ちし、シリーズ通算4勝2敗で8連覇を果たした。
井山本因坊は開幕から2連敗したが、第3局で逆転勝ちして勢いに乗り、地元・大阪での対局も制して4連勝でタイトルを防衛した。井山本因坊は「第3局は運がよかっただけだが、それ以降は自分なりに今の力を出し切れた。8連覇はうれしいが、内容的にはまずい手も多い。少しでも成長できるように頑張りたい」と話した。
本因坊8連覇は、歴代3位の記録。1位は趙治勲二十五世本因坊が達成した10連覇。
2019 年 07 月 18 日
名人戦リーグ 井山が河野を破る、3人が同星首位に
第44期囲碁名人戦挑戦者決定リーグ戦(朝日新聞社主催)は18日、前名人の井山裕太四冠が、星一つ差で首位の河野臨九段を破った。これで芝野虎丸七段を加えた3人が5勝2敗の同星首位に。張栩名人への挑戦者争いの決着は8月の最終ラウンドにもつれ込む。
名人返り咲きをねらう井山はリーグ前半戦を1勝2敗と出遅れたが、その後4連勝し、先行する河野をとらえた。最終ラウンドは8月1日、4局が一斉に打たれる。首位3人の直接対決はすでに終えており、いずれも他の棋士と対戦。リーグ優勝が決まらず同星首位が複数並べば、同8日に序列上位2人によるプレーオフが行われる。首位3人の序列は、上位から井山、芝野、河野の順。
井山は「前半戦を考えれば、挑戦者争いに加わって最終局を迎えられたのはよかった。次も精いっぱい打ちたい」と話した。一方、河野は「まだ挑戦者になる可能性を残している。悔いのないよう最終局を打ちたい」と話した。
2019 年 07 月 25 日
井山が再婚 お相手は25歳の一般女性
井山裕太四冠が20日に結婚したと25日、日本棋院が発表した。相手は一般女性という。井山四冠は平成24年に最初の結婚をしたが、27年末に離婚。井山四冠は現在、七大タイトルのうち棋聖・本因坊・王座・天元を保持している。
井山四冠のコメントは次の通り。
「この度、私事ではございますが、今月20日に一般女性の方と入籍をいたしましたことをご報告させていただきます。これからも一層精進し、棋士道を歩んでいく所存です。今後も変わらぬご指導ご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます」
2019 年 08 月 01 日
名人戦リーグ 芝野と河野プレーオフに、井山脱落
大詰めを迎えた第44期囲碁名人戦挑戦者決定リーグ戦(朝日新聞社主催)は8月1日午前10時、最終ラウンド4局が東京と大阪で一斉に始まった。挑戦者争いに絡むのが3局、リーグ残留争いに絡むのが1局。消化試合は一つもなく、例年以上の「囲碁界の一番熱い日」になりそうだ。
挑戦の可能性を残しているのは、リーグ序列順に前名人の井山裕太四冠、芝野虎丸七段、河野臨九段。5勝2敗の同星首位で並ぶ3人の直接対決はすべて終えており、それぞれ別の棋士と対戦する。ここで単独1位が決まらなければ、序列上位2人によるプレーオフに持ち込まれる。
最終ラウンドの残る一局、村川大介十段対孫喆七段戦は、どちらも負ければリーグ陥落の「鬼勝負」となる。序列上位の村川は勝てば残留。同時に、孫のほかに同じリーグ初参加組の鈴木伸二七段、六浦雄太七段3人の陥落が決まる。孫は勝てば六浦との残留プレーオフにまわる。同時に打たれる芝野対鈴木戦で鈴木が勝てば、リーグ初参加組3人で1人の残留枠を争う3者プレーオフとなる。
朝日新聞デジタルでは、全4局を対局開始からライブ中継。戦いが佳境を迎える午後3時からは、先にリーグ全局を打ち上げている六浦七段が、井山対羽根直樹九段戦を終局まで同時解説。自身の残留にもかかわる他の対局についてもコメントする。
午後6時44分、大阪・北浜の関西棋院で打たれていた村川対孫戦が終局。村川が白番中押し勝ちし、リーグ残留が決定。同時に孫、鈴木、六浦3人のリーグ落ちが決まった。東京・市ケ谷の日本棋院で芝野と接戦を演じている鈴木は、この結果を知らない。
午後8時56分、芝野が鈴木に黒番中押し勝ち。対局中の井山、河野が敗れればリーグ優勝=名人挑戦が決まる。井山、河野のどちらかが勝てばプレーオフとなる。検討陣によると、井山は混戦で勝敗不明、河野は劣勢、との評。
午後9時41分、井山は羽根直樹九段に白番中押しで敗れ、挑戦者争いから脱落。河野は山下敬吾九段と対局を続けており、形勢不明のヨセ合いが続いている。
午後10時45分、河野が山下に白番3目半勝ち。これにより挑戦権争いは芝野と河野のプレーオフに持ち込まれた。今年の本因坊戦プレーオフに続く同一カード。本因坊戦では河野が勝って挑戦者に。今回はどうか。8日、東京・市ケ谷の日本棋院で打たれる。
2019 年 08 月 29 日
三星火災杯本戦開幕 井山、趙善津、許家元が出場
第24回三星火災杯ワールド囲碁マスターズ本戦が8月30日に韓国大田市の三星火災大田儒城研修院で開幕する。 本戦はシード13名(前回ベスト4、韓国4、日本2、中国2、主催者推薦1)と統合予選通過者19名(一般14、シニア2、女流2、ワールド1)の合計32名で争われる。
日本からは国シードで井山裕太九段と許家元八段の2名と統合予選シニア組で通過した趙善津九段の3名が出場する。対戦カードは以下:
井山裕太九段 VS 唐韦星九段
許家元八段 VS 李欽誠九段
趙善津九段 VS 陶欣然七段
2019 年 09 月 20 日
第74期本因坊就位式 8連覇祝う
第74期本因坊決定戦七番勝負(毎日新聞社・日本棋院・関西棋院主催、大和証券グループ協賛)を制した本因坊文裕の就位式・祝賀会が20日、東京都文京区のホテル椿山荘東京であった。ファンや関係者約200人が駆け付け、歴代単独3位の8連覇を祝った。
今期七番勝負で文裕は、挑戦者の河野臨九段に連敗する苦しい出だしとなったが、第3局に逆転勝ちして流れを引き寄せると、その後連勝し4勝2敗で防衛を果たした。棋聖、王座、天元と合わせた4冠を保持している。
式では、毎日新聞社の丸山昌宏社長、日本棋院の小林覚理事長、関西棋院の正岡徹理事長、大和証券グループ本社の竹内由紀子執行役員があいさつ。允許(いんきょ)状や本因坊盾を受け取った文裕は「第4局以降は、自分なりにベストの対局ができた。本因坊8連覇は自分自身想像もできず、最も相性のいい棋戦になっている。気持ちを新たに次の戦いに臨みたい」と謝辞を述べた。
2019 年 10 月 11 日
第45期天元戦挑戦手合五番勝負第1局 挑戦者の許が先勝
第45期天元戦5番勝負の第1局は11日、岐阜市で打たれ、挑戦者の許家元八段が179手で井山裕太天元に黒番中押し勝ちし、先勝した。
許八段は8月に碁聖を失って以来のタイトルを狙い、井山天元は5期連続8度目のタイトルを目指す。
第2局は21日、北海道ニセコ町で行われる。
2019 年 10 月 21 日
第45期天元戦5番勝負第2局 井山1勝でタイに
第45期天元戦五番勝負の第2局が21日、北海道ニセコ町で行われ、井山裕太四冠が161手までで、挑戦者の許家元八段に黒番中押し勝ちし、対戦成績を1勝1敗とした。第3局は11月22日、福岡県久留米市で打たれる。
2019 年 10 月 25 日
第67期王座戦第1局 芝野名人が先勝
第67期王座戦五番勝負の第1局が25日、大阪市北区で行われ、芝野虎丸名人が271手までで、井山裕太四冠に黒番半目勝ちし、初の王座奪取と2冠に向け発進した。7冠制覇を2度成し遂げた井山王座と、今月8日に史上最年少で名人を奪取した芝野名人が、七大タイトル戦で顔を合わせるのは初めて。
終局後、芝野名人は「これからも大変だと思うので、これまで通り頑張れれば」、井山王座は「次の対局まで少しあく。いい状態で臨めるよう準備したい」とそれぞれ話した。
井山王座は今年出場した棋聖戦と本因坊戦を防衛。現在、天元戦でも許家元八段の挑戦を受けている。5連覇または通算10期獲得で名乗れる「名誉称号」を棋聖・本因坊・碁聖で保持しており、今シリーズではさらに「名誉王座」の獲得がかかる。
2019 年 11 月 22 日
第45期天元戦第3局 許が中押しで2勝目
井山裕太天元に許家元八段が挑戦している第45期天元戦5番勝負(西日本新聞社主催)の第3局が22日、福岡県久留米市のホテルマリターレ創世久留米で打たれ、午後4時56分、黒番の許が157手で中押し勝ちした。許は通算2勝1敗でタイトル獲得まであと1勝とした。
持ち時間各3時間のうち、残りは許1分、井山2分。第4局は12月9日、兵庫県洲本市のホテルニューアワジで行われる。
井山の白18(16十一)のハサミで戦いが始まり、右辺の小競り合いで井山がリード。左上の攻防では、許が地を稼いでポイントを挙げた。さらに上辺と中央の攻防で、井山が白128(10九)と打ったことで、結果的に右辺の白石が取られた。その代償として井山は左上の黒を攻めたが、許は堅実に生きを確保し、井山の投了となった。
立会人の坂口隆三・九段は「最初は白の方が面白かったが、中央の戦いで井山天元に読み違いがあったようだ。両者気迫のこもった熱戦だった」と総括した。
第3局は、ホテルマリターレ創世開業40周年記念として行われた。特別協賛は木下株式会社、協賛は日本製紙、宝酒造。
2019 年 11 月 29 日
第67期王座戦 芝野虎丸が最年少二冠
10月に囲碁史上初の10代名人となった芝野虎丸名人が井山裕太王座に挑む第67期王座戦5番勝負の第4局が29日、愛知県蒲郡市で打たれ、芝野が282手までで白番半目勝ちした。3勝1敗で王座を奪取、史上最年少の20歳0カ月で2冠となった。
終盤、井山が盛り返したが芝野はミスをせず熱戦を制した。「苦しんだ時間のほうが多かった。本当に運がよかった」。囲碁界の今後を占う戦いだった。平成の囲碁界は2度の7冠独占を果たすなど、井山が「一強時代」を築いてきた。
虎丸名人が直接対決で絶対王者を倒し、「ポスト井山世代」の先頭に躍り出た。2冠保持の最年少記録も8年ぶりに更新した。これまでの記録は11年に井山が達成した21歳11カ月。2冠について「ぜんぜん実感がわかないです」と、はにかんだ。虎丸名人がマイペースで突き進む。
2019 年 12 月 09 日
第45期天元戦五番勝負 2勝2敗に戻す、18日に最終局
第45期天元戦五番勝負の第4局が9日、兵庫県洲本市で打たれ、カド番に追い込まれていた井山裕太天元が挑戦者の許家元八段に177手で黒番中押し勝ちし、シリーズ成績を2勝2敗のタイに戻した。最終第5局は18日、徳島市で打たれる。
井山は10日前に芝野虎丸名人に王座を奪われ、三冠に後退したばかり。しかし本局は序盤から優位に立ち、粘る許を寄せつけなかった。
最終局に名誉天元の資格を得る5連覇がかかる井山は「最終局までいけるのは非常にうれしい。最後なので悔いのないよう打つだけです」。敗れた許は「きょうの碁の内容はまずかった。最後は力を出し切りたい」と話した。
2019 年 12 月 19 日
第58期十段戦 挑戦者決定戦、井山 VS 芝野
産経新聞社主催の囲碁タイトル戦「第58期十段戦」の挑戦者決定戦は、井山裕太三冠-芝野虎丸名で行われることに決まった。19日に日本棋院東京本院であった準決勝で大西竜平四段に勝利した芝野名人は来年1月、すでに勝ち上がっている井山三冠と対局する。
両者は今秋の王座戦五番勝負で対決し、芝野名人が王座を奪取している。初防衛がかかる村川大介十段との五番勝負は来年3月開幕予定。
2019 年 12 月 18 日
井山5連覇「名誉天元」獲得
第45期天元戦5番勝負(西日本新聞社主催)の第5局は18日午前9時から徳島市の徳島グランヴィリオホテルで打たれ、午後5時36分、井山裕太天元が挑戦者の許家元八段に234手までで白番中押し勝ちした。対戦成績3勝2敗で5連覇を達成、名誉天元の称号を得た。
2年連続でフルセットを制した井山は、天元獲得通算8期。名誉称号は本因坊、碁聖、棋聖に加えて四つ目となり、歴代単独最多となった。今年は4月に十段、11月に王座を失って五冠から三冠に後退したが、天元を防衛して踏みとどまった。
許は天元獲得の最年少記録がかかっていたが、更新はならなかった。
死闘を制し、三冠堅持-。18日の天元戦第5局は、井山が勝負強さを発揮し、許の挑戦を退けた。「最近の調子は悪くない」(井山)の言葉通り、今年最後のタイトル戦をものにした。
持ち時間各3時間のうち、残りは両者1分。終局直後、井山が「難しかった。分からなかった」と首をかしげた難解な戦い。大石の死活も絡んで、最後まで手に汗握る攻防が繰り広げられた。
右上一帯から競り合いが始まった最終局は、井山が白54(16十一)から64(16十四)と右辺に先着して有利な展開に持ち込んだ。しかし右下黒を取りにいった白106(18十五)が問題で、黒109(16十三)と切断されて中央白一団が危険になり、黒良しのムードに変わった。許は上辺白を攻めた後、中央白に襲いかかるなど懸命の攻めを見せたが、反撃に出た井山が左下黒との攻め合いに持ち込み、最後は手数が足りないと見た許が投了した。
立会人の石田芳夫二十四世本因坊は「右上は許八段が失敗した感じだったが、井山天元も右辺で打ち過ぎがあり、容易ならざる形勢になった。しかし井山天元の白148(6十)が絶妙のタイミングで盛り返し、押し切った一局」と総括した。
2020 年 01 月 05 日
関西棋院打ち初め式 井山3冠「調子は上向き」
語呂合わせで「囲碁の日」となる(1月)5日、日本棋院関西総本部の梅田囲碁サロン(大阪市北区)で打ち初め式があり、本因坊文裕が約80人の囲碁ファンと紅白の碁石で連碁を楽しんだ。2019年、二つタイトルを失った文裕は「最近は厳しい戦いが続き、心配をかけているが、(調子は)上向いてきているので、期待に沿える1年にできればと思っている」と述べ、相手が1手ごとに交代する連碁に、笑顔で応じていた。
一方、関西棋院(同市中央区)の打ち初め式では、唯一のタイトルホルダーの村川大介十段が「十段の防衛戦や世界戦など全ての棋戦で頑張りたい」と抱負を述べた。
2020 年 01 月 08 日
第44期棋聖戦七番勝負 9日開幕、井山棋聖に河野九段が挑む
第44期棋聖戦七番勝負(読売新聞社主催)、井山裕太棋聖と挑戦者河野臨九段の第1局が9日、東京都文京区の「ホテル椿山荘東京」で開幕する。
棋聖戦史上最多タイの8連覇を狙う井山棋聖に、初の棋聖位を目指す河野九段が挑む。両者の七大タイトル戦は7度目で、過去6度はいずれも井山棋聖が勝利している。
8日に同ホテルで開かれたトークセッションで、井山棋聖は「河野さんとはたくさん対戦しているが(今回も)厳しい戦いになると思う。(本局が)私の今年の初対局となるので、いいスタートが切れれば」と意気込みを話し、河野九段は「大一番を前に昨日、誕生日を迎えた。井山さんにはお祝いの精神を忘れずに臨んでいただけるとありがたい」とユーモアを交えて抱負を述べた。
2020 年 01 月 10 日
第44期棋聖戦七番勝負 井山が8連覇へ発進
第44期棋聖戦七番勝負の第1局が10日、東京都文京区で行われ。井山裕太棋聖が296手までで、挑戦者の河野臨九段に黒番5目半勝ちし、8連覇へ向け発進した。第2局は20、21日に埼玉県川越市で打たれる。
序盤はAI流の布石で、比較的速いテンポで進んだが、井山棋聖が右辺で築いた大模様に河野九段が白46と侵入を図った局面から、一転、両者慎重な着手が続いた。
井山棋聖は「序盤から今ひとつの流れになって、2日目も苦しいかなと思っていました」と初日の劣勢を跳ね返した対局を振り返り、非勢になっても諦めず打ち続けた河野九段は「次局は悔いのない碁を打てるよう頑張っていきたい」と話していた。
2020 年 01 月 20 日
第44期棋聖戦第2局 76手目封じ1日目終える
第44期棋聖戦七番勝負、井山裕太棋聖と挑戦者・河野臨九段の第2局が20日午前9時、埼玉県川越市の「蓮馨寺」で始まり、午後4時44分、井山棋聖が76手目を封じて1日目を終えた。
井山棋聖の先勝で迎えた対局。序盤、井山棋聖が白26とつけ、左辺から競り合いが始まった。最強手の応酬で白の実利と黒の模様という分かれに。河野九段は黒45から下辺に手を付け、黒53と左辺の3子を取り切った。一方、井山棋聖は下辺の白の一団を安定させ、白74で右上の飛びに回った。
「黒53は問題だったかもしれない。白は54、56とうまく立ち回り、手厚く打ち進めている。今後、黒は上辺の白地を減らしながら、右辺の黒模様をどの程度まとめられるかが焦点になる」と話している。
2020 年 01 月 21 日
第44期棋聖戦第2局 井山が2連勝
第44期棋聖戦七番勝負(読売新聞社主催)、井山裕太棋聖と挑戦者河野臨九段の第2局が20日から埼玉県川越市の「蓮馨寺」で行われ、21日午後6時25分、井山棋聖が198手までで白番中押し勝ちし、シリーズ2連勝とした。
序盤、左辺で白の実利と黒の模様という分かれになった本局、井山棋聖は下辺の白の大石を強化しつつ右辺の黒模様を削減し、主導権を握った。河野九段は右辺から中央にかけて戦いを仕掛けてチャンスをうかがったが、井山棋聖が冷静に読み切り、難局を制した。
井山棋聖の話「流れは悪くないと思っていたが、中盤の重要な所で見損じがあるなど、反省点も多い。これからも大変な戦いが続くので、いい内容の碁を打ちたい」
河野九段の話「1日目から悔いのあり過ぎる碁だった。(3局目は)少しでもいい状態でベストを尽くしたい」
第3局は2月1、2日に長崎県西海市の「オリーブベイホテル」で行われる。
2020 年 01 月 28 日
井山が賞金1億825万円 9年連続のトップ
日本棋院は28日、2019年の賞金・対局料ランキングを発表し、井山裕太三冠(30)が1億825万円で9年連続のトップとなった。
井山三冠は昨年、十段と王座のタイトルを失ったが、棋聖、本因坊、天元を防衛した。芝野二冠は昨年10月に名人を獲得して史上最年少の七大タイトル保持者になり、その後、王座も奪取し二冠となった。上野愛咲美女流本因坊は2077万円で全体の9位。
2020 年 01 月 30 日
芝野が十段戦挑戦者に 最年少で初挑戦
産経新聞社主催の囲碁タイトル戦「第58期十段戦」の挑戦者決定戦が30日、大阪市北区の日本棋院関西総本部で行われ、芝野虎丸二冠が井山裕太三冠を破り、歴代最年少で初の十段戦五番勝負出場を決めた。
芝野二冠は平成11年、神奈川県生まれ。26年にプロ入り。29年、入段2年11カ月の史上最速で全員参加の一般棋戦(第26期竜星戦)で優勝した。昨年10月、19歳11カ月の史上最年少で七大タイトルの名人を獲得、11月には王座を獲得、最年少2冠となった。
七大タイトル戦には3度目の出場となる。初防衛が懸かる村川大介十段とのシリーズは3月3日、大阪府東大阪市の大阪商業大学で開幕する。
芝野二冠は「(村川十段は)戦いに強い碁という印象がある。大変な戦いになる。これまでと変わらず頑張りたい」と話した。
2020 年 02 月 02 日
第44期棋聖戦第3局 8連覇へあと1勝
第44期棋聖戦七番勝負(読売新聞社主催)、井山裕太棋聖と挑戦者・河野臨九段の第3局は長崎県西海市の「オリーブベイホテル」で行われ、井山棋聖が153手までで先番中押し勝ちした。井山棋聖はシリーズ3連勝で、小林光一名誉棋聖に並ぶ8連覇まであと1勝に迫った。
対局は2日目に入り、河野九段が右辺の大石を捨てる決断をしたが、黒の井山棋聖が大きな利益を得る結果になった。ペースを握った井山棋聖は正確な読みで着実にリードを広げ、勝負手を連発して粘る河野九段を突き放した。
第4局は14、15日、福岡県太宰府市の九州国立博物館で行われる。
井山棋聖の話「最後、左辺から上辺の攻防で自分の打つ手が筋に入ってきたので、いけるかなと思った。(4局目へ向け)まだまだ大変。しっかり準備して臨みたい」
2020 年 02 月 15 日
棋聖戦第4局 河野九段が乱戦制す…1勝3敗に
囲碁界の最高位を争う第44期棋聖戦七番勝負(読売新聞社主催)、井山裕太棋聖と挑戦者・河野臨九段の第4局は14日から福岡県太宰府市の九州国立博物館で行われ、15日午後7時45分、河野九段が231手までで先番中押し勝ちした。河野九段はシリーズ1勝3敗とした。
2日目に入り、井山棋聖は白80と左辺の1子をかかえ、上辺と左上の両方のシノギを目指した。激しい競り合いから右辺で黒の一団を攻め立てて勝負に出たが、逆に中央の白の大石が薄くなる展開に。河野九段は右辺で3子を取り込むなどして次第に盛り返し、二転三転する形勢の中、逆転で乱戦を制した。
第5局は26、27日、神奈川県箱根町の「ホテル花月園」で行われる。
河野九段の話「終盤までずっと大変だと思っていたが、左下隅1子を取るヨセを打ったあたりで何とかなりそうかなと思った。依然として厳しい状況だが、悔いのないよう頑張りたい」
井山棋聖の話「上辺と左上の両方を頑張ればやれると思っていたのだが……。右辺の攻防ももう少しいい手があったかもしれない」
2020 年 02 月 27 日
棋聖戦第5局 河野九段が好判断で逆転勝ち、2勝3敗に
囲碁界の最高位を争う第44期棋聖戦七番勝負(読売新聞社主催)、井山裕太棋聖(30)と挑戦者・河野臨九段(39)の第5局は26日から神奈川県箱根町の「ホテル花月園」で行われ、27日午後7時42分、河野九段が232手で白番中押し勝ちし、シリーズ2勝3敗とした。
対局2日目に入り、地合いでリードされた河野九段の勝負手が井山棋聖のミスを誘った。左辺のコウ争いを白162と解消したのが河野九段の好判断で、大きなフリカワリの末に逆転勝ちした。第6局は3月5、6日、山梨県甲府市の「常磐ホテル」で。
河野九段の話「ずっと形勢は難しかった。左辺がコウになって希望が出てきたが、本当に良くなったと思えたのはヨセに入ってから。次も一生懸命打ちたい」
井山棋聖の話「左辺から上辺にかけて、いっぱいに頑張り過ぎたかもしれない。この2局、少し良くなったかなという局面から負けている。次局はよいパフォーマンスを見せたい」
2020 年 02 月 28 日
第45期天元戦 井山裕太天元の允許状授与式
本日予定された井山裕太天元の就位式が中止となり、関係者のみが出席する允許状授与式が日本棋院内で行われました。
井山天元は「非常に大変な状況の中で、式を開いて頂いてありがたいと思います。他棋戦でもしばらくこういう形が続くかもしれないですね」と不安そうでした。
天元允許状授与式の最後は、関係者の記念撮影。 前列は左から、小林覚理事長、将棋の里見香奈清麗、井山天元、奥様、藤沢女流立葵杯。 里見清麗は、天元戦と同じ新聞三社連合が主催する女流王位戦のタイトル保持者で、本日予定されていた就位式に参加予定でした。
天元允許状授与式では、藤沢里菜女流立葵杯が花束贈呈しました。藤沢立葵杯はドラマで女優デビューを果たしたばかり。「撮影は1時間くらい。台詞を噛まずに言えるか、ずっと緊張していました。放送を見るまでヒヤヒヤでしたが、意外と普通でホッとしました」と言い、満足の出来だったようです。
2020 年 03 月 06 日 井山が棋聖戦8連覇達成
第44期棋聖戦七番勝負(読売新聞社主催)、井山裕太棋聖と挑戦者・河野臨九段の第6局が5日から甲府市の「常磐ホテル」で行われ、井山棋聖が262手までで白番3目半勝ちし、シリーズ4勝2敗で棋聖位を防衛した。
井山棋聖はこれで棋聖戦8連覇を達成、小林光一名誉棋聖が持っていた棋聖戦の連続防衛記録に並ぶとともに、すでに史上1位だった七大タイトル獲得数を47に更新し、本因坊、天元と併せて三冠を維持した。棋聖戦の優勝賞金は4500万円。
井山棋聖は大阪府出身。石井邦生九段門下で2002年にプロ入りした。16、17年の2度にわたって七大タイトル全てを獲得する「七冠」を達成し、18年には囲碁界で初めての国民栄誉賞に輝いた。
井山棋聖の話「(8連覇は)記録の上で小林先生に並ぶことができ、『よくできたな』という感じです。4局目、5局目も含め、まずい手も多かったので、何とか結果を残せたのは運が良かったです」
2020 年 05 月 09 日 第75期本因坊戦の延期決定
12日に開幕予定だった囲碁の第75期本因坊決定戦七番勝負(毎日新聞社・日本棋院・関西棋院主催、大和証券グループ協賛)の延期が8日、決まった。緊急事態宣言発令とともに公式戦はストップしており、両対局者はやむを得ない決定と受け止め、開幕に向けて準備を続けている。
9連覇を目指す井山裕太本因坊は「延期は仕方がありません。先が見えない状況の中、大変な部分もありますが、自分なりに準備をして、良い状態で開幕を迎えられるよう努力したいと思います」、初挑戦の芝野虎丸名人は「この状況なので、延期の可能性は高いのかなと思っていました。良い碁を打てるよう、今はしっかり勉強していきたいです。少しでも早く、心配なく対局、観戦できる日が来るよう願っています」と、それぞれコメントした。
第3局(6月2・3日山梨県甲府市)を第1局として実施いたします。延期対局の日程 場所は未定となります。毎日新聞社 日本棋院 関西棋院にて協議し、決定次第、あらためてご案内させて頂きます。なお、今後の情勢の変化により、第3局(6月2・3日山梨県甲府市)以降につきましても日程が変更となる可能性があります。
2020 年 06 月 08 日 第45期名人戦リーグ 井山開幕5連勝、山下は初白星
芝野虎丸名人への挑戦権をかけた第45期名人戦リーグ戦は8日、単独首位の井山裕太3冠が羽根直樹碁聖を白番中押しで破った。これで開幕5連勝とし、挑戦権獲得に向けて大きく前進した。敗れた羽根は2勝3敗となり、挑戦権争いから脱落。残留争いに回る。
井山の次戦は、3勝1敗で2位につけている許家元八段。「言うまでもなく強敵。まだ先は長いので、悔いの残らないよう戦いたい」と話した。許は井山戦までに2局あり、今月11日に河野臨九段(1勝3敗)と、18日に林漢傑八段と対戦。連勝して井山戦を迎えれば、挑戦権のゆくえを左右する大一番となる。
リーグ戦はこの日もう一局あり、ここまで0勝4敗だった山下敬吾九段が張栩九段に白番11目半勝ちし、リーグ初白星を挙げた。張栩は2勝4敗。
山下にとって、コロナ禍で2カ月にわたり中断されていた対局再開後初の手合だった。「なにより碁を打てるのがうれしい。対局中断中、家に引きこもっていたが、気持ちをリセットできた部分があるかもしれない。初戦を勝てたので、これからも気持ちよく打てる気がする」と話した。
2020 年 06 月 05 日 8連覇井山棋聖の就位式 「小林先生の記録に並べて誇り」と謝辞
第44期棋聖戦七番勝負(読売新聞社主催)を制した井山裕太棋聖の就位式が5日、東京都文京区の「ホテル椿山荘東京」で開かれた。井山棋聖は挑戦者の河野臨九段を4勝2敗で下し、小林光一名誉棋聖に並ぶ史上最多タイの8連覇を達成した。
老川祥一・読売新聞グループ本社代表取締役会長・主筆代理から正倉院宝物の金銅鳳形裁文を写した鳳を刻み込んだ純銀製の棋聖大賞メダルと、賞金4500万円の目録が贈られた。
井山棋聖は「自分の良さも、そうでないところも出た七番勝負だった。時代も状況も違うので一概には比べられないが、小林先生の記録に並ぶことができたのは誇り。新型コロナウイルスの感染拡大で大変な状況の中、対局できることへの感謝の気持ちを忘れずに進んでいきたい」と謝辞を述べた。
2020 年 06 月 14 日 第75期本因坊戦挑戦手合七番勝負第2局 井山2連勝
第75期本因坊戦七番勝負の第2局が13、14の両日、東京都千代田区の日本棋院で行われ井山裕太本因坊が143手までで、挑戦者の芝野虎丸名人に黒番中押し勝ちし、2連勝とした。当初は北九州市で実施される予定だったが、同市で新型コロナウイルス感染拡大が続いていたため、対局場が変更された。第3局は22、23日に兵庫県宝塚市で打たれる。
終局後、井山は「中央が全然判断できず、ずっとよく分からなかったです。黒も安定している石ではないので、薄くなると一気に自信がなくなると思っていました。右下を生きて中央がそんなにひどい目に遭わなければ、地合いでは少しリードしているかなと思いました。」
芝野は「右上の打ち方が重かったかなと。予想以上に形勢がよくなく、ただ、黒もまとめ方が難しいので、粘り強く打てればいいと思っていました。第1、2局と一方的な内容になってしまいましたが、最後また頑張りたいと思います」と、巻き返しを期していました。
関連棋譜:【第75期本因坊戦挑戦手合七番勝負第2局】(黒)井山裕太九段 対 芝野虎丸九段(白)
特設ページ:第75期本因坊戦挑戦手合七番勝負
2020 年 06 月 23 日 第75期本因坊戦挑戦手合七番勝負第3局 9連覇にあと1勝
8連覇中の井山裕太本因坊に、名人・王座に続く三つ目のタイトルを狙う芝野虎丸名人が挑む第75期本因坊戦七番勝負第3局(毎日新聞社主催)が22、23の両日、兵庫県宝塚市の宝塚ホテルであり、井山本因坊が172手で白番中押し勝ちした。
連勝スタートで勢いに乗る井山本因坊は、序盤から優位に立つと、終盤まで強気の攻めを続け、押し切った。これで対戦成績を3勝0敗とし、史上2位タイとなる9連覇まであと1勝に迫った。
井山本因坊は「(9連覇は)まだあまり考えられない。中盤にまずいミスもあったので、しっかり修正して次に臨みたい」。3連敗で追い込まれた芝野名人は「結果はそんなに気にせず、いい碁を打てるように頑張りたい」と話した。
芝野名人「1日目でかなり白地が多い展開になったので、ちょっと苦しいかなと。2日目に中央を突き抜いて難しくなったと思っていたが、右下隅を生かしてちょっと大変にしてしまい、攻めの打ち方をしないとダメだった。結果はそんなに気にせず、次局もいい碁が打てるように頑張りたい」
特設ページ:第75期本因坊戦挑戦手合七番勝負
2020 年 07 月 01 日 第75期本因坊戦第4局 3連敗の芝野三冠が1勝
静岡県河津町の今井荘で打たれていた第75期本因坊決定戦七番勝負(毎日新聞社、日本棋院、関西棋院主催、大和証券グループ協賛)の第4局は1日午後7時32分、挑戦者の芝野虎丸九段が井山裕太九段に166手で白番中押し勝ちし、対戦成績を1勝3敗として初の本因坊位獲得へ望みをつないだ。残り時間は文裕1分、芝野2分。第5局は8、9の両日、三重県鳥羽市の戸田家で行われる。
特設ページ:第75期本因坊戦挑戦手合七番勝負
2020 年 07 月 09 日 第75期本因坊戦第5局 芝野名人を破り防衛、井山本因坊9連覇
第75期本因坊戦七番勝負(毎日新聞社主催)の第5局が8、9日に三重県鳥羽市で打たれ、井山裕太本因坊が、挑戦者の芝野虎丸名人に243手で白番4目半勝ちした。シリーズ4勝1敗でタイトルを防衛し、本因坊9連覇を遂げた。
七大タイトルの9連覇は、高川格九段の本因坊9連覇(1952~60年)と並ぶ歴代2位タイ。趙治勲名誉名人が達成した歴代1位の本因坊10連覇(89~98年)まで、あと1期に迫った。
今期本因坊戦は、七大タイトルのうち六つを占める井山、芝野の頂上決戦になった。井山は開幕3連勝で芝野を圧倒。第4局は落としたが、第5局で完勝してシリーズを制した。昨年、史上最年少で名人になった芝野は、その後二冠を加えて井山に挑んだが、七大タイトル戦初の敗退を味わった。
特設ページ:第75期本因坊戦七番勝負
関連棋譜:【第75期本因坊戦七番勝負第5局】
2020 年 07 月 29 日 第13回春蘭杯1回戦 井山敗退、村川&余が2回戦進出
「第13回春蘭杯世界選手権」が29日に開幕、日本勢は5人が出場し村川大介九段と余正麒八段は勝利したが、井山裕太三冠、芝野虎丸三冠、本木克弥八段は敗退した。
中国主催の大会で当初、2月に開催される予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で延期になっていた。韓国や台湾などから24人が本戦に出場しているが、移動の制限が生じているためインターネット対局で行われた。
日本勢の対局は次の通り。
×井山裕太九段-〇申旻埈九段(韓国)
×芝野虎丸九段-〇連笑九段(中国)
〇村川大介九段-×李立言初段(北米)
〇余正麒八段-×イリア・シクシン三段(ロシア)
×本木克弥八段-〇姜東潤九段(韓国)
7月31日(金)2回戦 日本勢の組み合わせ
村川大介九段 - 范廷鈺九段(中国)
余正麒八段 - 朴永訓九段(韓国)
2020 年 08 月 07 日 第45期名人戦リーグ最終節 井山が挑戦者に
第45期名人戦挑戦者決定リーグ戦の最終対局が6日、井山裕太三冠が林漢傑八段を破り8戦全勝で首位が決定、芝野虎丸名人との七番勝負(25日開幕)への挑戦を決めた。井山三冠は3期ぶり7度目の名人獲得を目指す。
井山三冠は平成21年、当時最年少の20歳4カ月で名人を獲得。一方、芝野名人は昨年、19歳11カ月で名人を獲得して井山三冠の記録を塗り替えた。今期の名人戦七番勝負は三冠同士の戦いで、囲碁界の頂上対決となる。
井山三冠と芝野名人がタイトル戦で顔を合わせるのは3度目。昨秋の王座戦五番勝負では芝野名人がタイトルを奪取したが、今年6~7月の本因坊戦七番勝負では井山三冠が防衛、9連覇を果たしている。
8戦全勝での挑戦権獲得について井山三冠は終局後、「結果としてでき過ぎ」と話し、芝野名人との対戦は「勢いも実力もある棋士。思い切ってぶつかりたい」と語った。
関連話題:第45期名人戦リーグ戦
2020 年 08 月 26 日 第45期名人戦七番勝負第1局 井山が先勝
第45期名人戦七番勝負第1局が25、26の両日、東京都文京区で行われ、挑戦者の井山裕太棋聖・本因坊・天元=が275手までで、初防衛がかかる芝野虎丸名人・十段・王座=に白番1目半勝ちし、3期ぶりの名人獲得へ向け発進した。第2局は9月15、16日に兵庫県宝塚市で打たれる。
3冠対決第1ラウンドは、井山棋聖が制した。「1日目が終わった時点では、まだよくわからなかった。(相手の手は)厳しかった」と振り返った井山棋聖は「まだ始まったばかり。少しでもいい状態で第2局に臨めれば」と話した。
今回の名人戦は2日制で持ち時間各8時間の長丁場だ。序盤からじっくり考える井山棋聖は、時に記録係に「58秒、59秒…」とギリギリまで読まれながらも冷静に対応。一方、ポンポンと打ち進める芝野名人は1時間9分も考慮時間を残しての決着だった。
「同じ3冠といっても、並んだとは思っていない。挑戦者の立場で向かう」と話す芝野名人が第2局以降、巻き返すことができるか。
関連棋譜:【第45期名人戦挑戦手合第1局】(黒)芝野虎丸九段 対 井山裕太九段 (白)
特設ページ:第45期名人戦挑戦手合七番勝負
2020 年 09 月 16 日 第45期名人戦第2局 井山が2連勝
午後7時12分、213手までで芝野虎丸名人が投了。井山裕太挑戦者が黒番中押し勝ちし、シリーズ2連勝とした。持ち時間各8時間のうち残りは両者とも1分だった。
両者秒読みの激戦が続き、検討室では名人がよしだったが最後に失着。名人はマスクをつけ、スーツの上着を着て、投了を告げた。
第3局は23、24の両日、山口市の「山口市菜香亭」で打たれる。
井山棋聖「1日目、序盤早々、左下の攻防ではっきり悪くなってしまい、あとは粘り強く打とうと思った。ここ最近は負けが続いていたので、まず一つ勝てて良かった。七番勝負としてはまだまだこれから。第3局も悔いのないよう、しっかり準備して臨みたい。」
「はっきりと読み切れていたわけではない。なんとかなるかなと思ったが、自分で思っていたより危なく、正しく打たれたら死んでいたと思う。」
芝野名人「2日目はずっと大変かなと思っていたが、途中から難しくなった。白模様に入った黒の死活は難しいと思ったけど、正しく打てばいけてたと思う。最後、黒207の手をまったく見ていなくて、打たれた瞬間にまずいとわかった。」
結果は良くなかったが、あまり気にせず切り替えて、集中して打てれば。
特設ページ:第45期名人戦挑戦手合七番勝負
2020 年 09 月 24 日 第45期名人戦挑戦手合第3局 芝野が1勝目
第45期名人戦7番勝負の第3局は23、24の両日、山口市で打たれ、芝野虎丸名人が211手で挑戦者の井山裕太三冠に黒番中押し勝ちし、対戦成績を1勝2敗とした。第4局は29、30日に三重県鳥羽市で行われる。
終局後、芝野名人の主な発言は次の通り。
「序盤からあまり見たことない形がつづき、判断が難しかった。どちらかというと自信のない場面が多かったが、全体として力は出せた。」
「一つ勝てて安心した。(次局は)集中してがんばれたら。」
「白104、白106から、いろんな選択肢が生まれたので、そのいろいろを考えていた。うまくいったのは運が良かったと思う。」
井山挑戦者の主な発言は次の通り。
「まだまだ長い戦いになる。これまで通り結果を恐れず、次は自分の納得のいく碁を打てたら。」
「仕掛けていったが、全然うまくいっていない。白の勝ち筋はわかっていなかった。実戦が一番難しい形になったと思う。」
特設ページ:第45期名人戦挑戦手合七番勝負
2020 年 09 月 26 日 文裕の9連覇を祝った 本因坊就位式
第75期本因坊決定戦七番勝負(毎日新聞社・日本棋院・関西棋院主催、大和証券グループ協賛)を制した井山裕太九段の就位式・祝賀会が25日、東京都文京区のホテル椿山荘東京であった。新型コロナウイルスの感染防止のためファンの参加はなく、関係者約30人が文裕の9連覇を祝った。
棋聖、天元とともに3冠を保持する文裕は6~7月にかけて、王座、十段との3冠を獲得して勢いに乗る芝野虎丸名人の挑戦を受け、囲碁界初の“3冠対決”を4勝1敗で制した。9連覇は、二十五世本因坊治勲=趙治勲九段=の10連覇に次ぎ、二十二世本因坊秀格=高川格九段=と並ぶ歴代2位タイ。
2020 年 09 月 30 日 第45期名人戦七番勝負の第4局 井山が名人奪還へあと1勝
第45期名人戦七番勝負の第4局が9月29、30の両日、三重県鳥羽市で行われ、挑戦者の井山裕太棋聖・本因坊・天元が145手までで、芝野虎丸名人・十段・王座に黒番中押し勝ちし、対戦成績3勝1敗で3期ぶりの名人復位にあと1勝とした。第5局は13、14日に静岡県熱海市で打たれる。
中盤早々、盤面左上一帯の黒の大模様に名人の白石が突入。この一団を巡る攻防から戦いが全局に波及した。最後は挑戦者の大石の生死をかけた戦いに発展したが、挑戦者がしのぎ切り、勝負を決めた。
名人は1日目の58手目の封じ手で1時間41分の大長考を払い、白石に襲いかかる中央の黒の包囲網を破りにいったが、挑戦者の黒65が好手で、望んだ図を得られなかった。劣勢を意識した名人は、唯一の攻撃目標である中央の黒の一団に脅しをかけたが、挑戦者は大胆に無視し、黒89と左辺の白二子をちぎり取り、陣地の広さの優位を決定づけた。
もはや陣地の囲い合いで追いつけない名人は、白100から黒の大石を自陣に引き込んで総攻撃にかかる。両者秒読みのなか、ぎりぎりの勝負となったが、挑戦者が際どくしのいだ。
右下から中央に伸びる黒の大石が二眼をもち生きるかどうかが焦点となっている。この黒一団は中央付近に一眼を確保しており、145手目(7の十六)で左下の白一団が取られることになり、もう一眼がはっきりした。この黒一団が生きると、白は地合いで大きく及ばなくなるため、投了は仕方がない。
終局後、井山挑戦者の主な発言は次の通り。
「まだまだこれからだが、本局は自分らしく戦えたと思う。自分なりに納得のいく碁を打ちたい。2日目以降、少し打ちやすくなったと思っていた。黒89は成算があったというより、他にいまいちぴったりする手がなかったという感じ。いろいろよくわからないことだらけ。正しく打てばいけそうだと思っていってみた。難しい変化をはらんでいるので、正しく読み切れていたかはわからない。」
終局後、芝野名人の主な発言は次の通り。
2日目に入り、中央の黒の包囲網を破りにいったが、あまりうまくいかなかった。今日の午前中の段階で、はっきりだめといえる形勢にしてしまった。中央の黒石を取らないと勝ち目がないと思ったが、取れる石ではなさそうで、厳しいかなと思っていた。今回の碁はあまり内容がよくなかった。成績のことは気にせず、集中して打てたら。
関連棋譜:【第45期名人戦挑戦手合第4局】(黒)井山裕太九段 対 芝野虎丸九段(白)
特設ページ:第45期名人戦挑戦手合七番勝負
2020 年 10 月 08 日 第46期天元戦五番勝負第1局 一力が先勝
井山裕太天元に一力遼碁聖が挑戦する第46期天元戦挑戦手合五番勝負【主催:新聞三社連合】の第1局が10月8日(木)午前9時から愛知県名古屋市の「賀城園」で行われた。結果は290手までで一力遼碁聖が黒番半目勝ちをおさめ先勝した。
一力碁聖のコメント 「一局を通して難しかった。中盤ははっきり黒が悪かった。中央のヨセが正しかったか分からない。半目勝負かなと思っていたが残りそうかなと思っていた。幸先のよいスタートが切れてホッとしている。2局目以降も精一杯頑張りますので応援よろしくお願いいたします。」
井山天元のコメント 「2の一にハネられたのが大きかったのかもしれないが今はよく分からない。15の三のキリで中央に黒地がついた。中央に打っておいたほうが多分よかったと思う。残念な1局とはなったがきわどい勝負にはなったと思う。しっかりと準備していい碁をみせられればと思う。」
第2局は20日に札幌市内で打たれる。
特設ページ:第46期天元戦挑戦手合五番勝負
2020 年 10 月 14 日 井山が名人復位 史上初、3度目の大三冠
三冠同士の頂上決戦となった第45期囲碁名人戦七番勝負(朝日新聞社主催)の第5局は14日午後7時26分、挑戦者の井山裕太棋聖が芝野虎丸名人に178手までで白番中押し勝ちを収め、シリーズ4勝1敗で名人位を奪取した。
井山は棋聖、本因坊とあわせ、七大タイトルの中でも特に上位に位置づけられる三つのタイトルを独占。自身3度目の「大三冠」に返り咲いた。
名人位獲得は3期ぶり7回目。過去に3度失冠したが、2013年、17年、今回と、すべて名人復位と同時に大三冠を達成。ほかに大三冠を遂げたのは趙治勲名誉名人だけ。趙は2度達成しているが、それを上回る3度目の大三冠は、井山の驚異的な復元力を物語る。
今期名人戦は、一昨年に七冠独占が崩れてから初めて挑戦者として臨んだタイトル戦だった。前期に史上初の10代名人になった芝野に対し、積極的な打ち回しで流れを手放さず、芝野の挑戦を受けた今夏の本因坊防衛戦に続きシリーズを制した。
保持する七大タイトルは大三冠に天元を加えて四冠に。通算獲得数も49に伸ばし、2位の趙の42を引き離し、独走している。
特製ページ:第45期名人戦挑戦手合七番勝負
2020 年 10 月 20 日 第46期天元戦5番勝負第2局 井山が勝ち1勝1敗
第1局は一力遼碁聖が290手までで黒番半目勝ち。連勝すれば3度目の挑戦となる天元獲得へあと1勝と迫る。井山裕太天元は天元戦5連覇中で名誉天元の資格も持つ。第1局直後には名人位を奪取して4冠に復帰しており、巻き返しに期待がかかる。
20日、第2局が札幌市内で打たれ、黒番の井山四冠が223手で中押し勝ちし、1勝1敗とした。
第3局は11月27日に福岡県久留米市内で打たれる。
特製ページ:第46期天元戦挑戦手合五番勝負
2020 年 10 月 26 日 一力が竜星戦3連覇 第29期竜星戦
第29期竜星戦の決勝戦が26日、放送され、仙台市出身の一力遼碁聖が井山裕太四冠に221手で黒番中押し勝ちし、竜星戦史上初めて3連覇を果たした。通算優勝回数は4回となり、これまで最多だった小林光一九段と井山四冠の3回を更新した。
決勝戦は黒の一力碁聖が右辺に星と小目からの二間ジマリ、白の井山棋聖が左辺に2連星の布石で始まった。序盤、黒は右上の黒石7個を捨て石にして上辺に地を取り、右辺に模様を築く。
中盤、黒が下辺に地を取った代償として白が右辺の黒模様に深く入り込み、薄くなった黒を攻める。ここから競り合いが始まり、難解な攻防に発展する。
互角の形勢のまま終盤、黒が左下の白地を大きくえぐった上、左辺での戦いでポイントを挙げて優勢となり、押し切った。
一力碁聖は8月、碁聖戦5番勝負で羽根直樹九段に3勝0敗で勝ち、初の七大タイトルを獲得。現在、天元戦で井山天元に挑戦し、二冠目を目指している。
一力遼碁聖の話
「決勝戦は前例のない形の立ち上がりで難しい戦いが続いた。その中で最後まで強く打ち続けることができた。(3連覇は)苦しい碁が多く、自分でも出来過ぎだと思う。4連覇を目指してまた頑張りたい。」
2020 年 11 月 28 日 井山が防衛にあと1勝 第46期天元戦5番勝負第3局
第46期天元戦5番勝負の第3局は27日、福岡県久留米市で打たれ、井山裕太天元が180手で挑戦者の一力遼碁聖に白番中押し勝ちし、対戦成績を2勝1敗として防衛にあと1勝に迫った。
立会人の坂口隆三九段は「一力碁聖が白の大石への攻め方をもっと工夫すれば、勝負になったかもしれない。内容のある碁で、第4局も熱戦を期待したい」と話した。
井山裕太天元の話 白2、4の「両三々」はあまり打ったことがない。本局はこれでいってみようと思った。白86と黒3子を取ることはできたものの、実際の形勢は難しい。黒101と出られたときの対応がまずく、黒に食いつかれてしまった。白152と飛んで、何とかしのぐことができるのではと思った。
一力遼碁聖の話 白40と守られ、右下の白一団への攻めが効かなくなった。白52と打たれ大変かなと感じていた。白86と黒3子を取られ地合いでは負けているが、これからの勝負だと思った。黒109とポン抜くことができ食いつける格好になった。黒111と切った手は疑問だったかもしれない。
第4局は12月7日、兵庫県洲本市のホテルニューアワジで行われる。
特設ページ:第46期天元戦挑戦手合五番勝負
2020 年 12 月 07 日
井山裕太天元に一力遼碁聖が挑戦している第46期天元戦5番勝負(神戸新聞社主催)の第4局は7日午前9時から、兵庫県洲本市のホテルニューアワジで打たれ、午後4時38分、208手で白番の一力が中押し勝ちし、対戦成績を2勝2敗のタイに戻した。
持ち時間各3時間のうち残り時間は井山2分、一力3分。最終の第5局は16日、徳島市の「徳島グランヴィリオホテル」で打たれる。
【一力遼碁聖の話】白60が空振っているので甘かったか、と感じていた。白88までフリカワった局面はそれなりに難しい。白120とタタくことができ、正しく打てば残るかなと感じていた。白150と2子抜いたところでは手応えがあった。
【井山裕太天元の話】序盤、黒31、33とツケコシたところの折衝はこれで一局と思った。黒61、63のツケギリは自信があったわけではない。白88までのフリカワリは実戦的には大変。白120と打たれた場面は、はっきり足りない。
立会人の石田篤司九段は「終局直後の時点で、井山天元に敗着と言える手は見つかっていない。一力碁聖の好局で、本人も手応えを感じているのではないか」と話した。
特設ページ:第46期天元戦挑戦手合五番勝負
2020年12月16日
第46期天元戦(新聞三社連合主催)五番勝負の最終第5局が16日、徳島市で打たれ、挑戦者の一力遼碁聖が、6連覇をねらう井山裕太天元に黒番中押し勝ちした。シリーズ3勝2敗とし、対井山6度目の七大タイトル挑戦で初めてタイトルを奪取した。
一力は1勝2敗のカド番から2連勝の逆転でシリーズを制した。芝野虎丸王座、十段を合わせて二冠と並ぶ二冠になり、規定により17日付で九段に昇段する。囲碁界は、七大タイトルでとくに上位にある名人、棋聖、本因坊を独占する「大三冠」の井山を軸に、若手ふたりが肉薄する構図が鮮明になった。
一力は七大タイトル初挑戦の2016年天元戦からこれまで井山に5度挑戦。17~18年の王座、天元、棋聖の3棋戦連続挑戦で勝ち星なしの10連敗を喫するなど、すべて退けられていた。終局後の取材に「井山先生にタイトル戦で勝つのがずっと目標だった。内容的にはまだまだだが、自分の力を出し切ることができたと思う」と話した。
井山は一昨年に七冠独占が崩れてから昨年までに三冠に後退したが、今年に入って復調。三冠同士の頂上決戦となった秋の名人戦では芝野からタイトルを奪取し、自身3度目の大三冠を達成した。絶好調の状態で天元戦を迎えたが、フルセットの末に一力に屈した。「全体に大事なところで精度を欠き、パフォーマンスに関していま一つだった」と話した。
関連棋譜:【第46期天元戦挑戦手合第5局】(黒)一力遼碁聖 対 井山裕太天元(白)
特設ページ:第46期天元戦挑戦手合五番勝負
2021年 01月14日
第45期棋聖戦七番勝負(読売新聞社主催)、井山裕太棋聖と挑戦者・河野臨九段の第1局が東京都文京区の「ホテル椿山荘東京」で行われ、14日午後7時57分、井山棋聖が244手までで白番中押し勝ちした。井山棋聖は棋聖戦最多の9連覇へ好スタートを切った。
河野九段の得意な陣形に、井山棋聖が受けて立つ形で進んだ本局は、白68の封じ手以降、上辺で戦局が動いた。井山棋聖は白72と切った手から徐々に流れを引き寄せた。
白88と左辺に打ち込んで黒の一団に厳しく迫った。リードを許した河野九段は辛抱強く打開策を探り、終盤、一気に決めにいった井山棋聖の隙を突いて際どい勝負に追い込んだが、わずかに井山棋聖が押し切った。
第2局は22、23日に富山県高岡市の「勝興寺」で行われる。
井山棋聖の話「2日目の左上の折衝で少し良くなったかと思った。(終盤、石を取りにいったが)誤算があり負けも覚悟した」
河野九段の話「1日目は地で先行され、少し遅れたかもしれない。2局目はいい碁を打てるように頑張りたい」
特設ページ:第45期棋聖戦挑戦手合七番勝負
2021 年 01 月 23 日掲載
第45期棋聖戦七番勝負(読売新聞社主催)、井山裕太棋聖と挑戦者・河野臨九段の第2局が富山県高岡市の「勝興寺」で行われ、23日午後7時12分、井山棋聖が143手までで先番中押し勝ちした。棋聖戦史上最多の9連覇がかかる井山棋聖はシリーズ2連勝となった。
1日目、河野九段が封じた60手目は、右上隅で実利を確保する切り。白62からは下辺で競り合いが続き、河野九段が黒の大石を取りに行って、両者惜しみなく時間を投入し読み合う展開になった。最後は井山棋聖が白石を取り切り、熱戦を制した。
第3局は2月5、6日に長崎県西海市の「オリーブベイホテル」で行われる。
井山棋聖の話「下辺の打ち方が悩ましかった。(攻め合いに勝って)最後に勝ちが見えた。運が良かった」
河野九段の話「1日目の左上隅は不本意な分かれとなり、少しずつ悪くした。最後の攻め合いでは錯覚もあった」
特設ページ:第45期棋聖戦挑戦手合七番勝負
第45期棋聖戦七番勝負第3局
史上最多9連覇へあと1勝
2021 年 02 月 06 日掲載
第45期棋聖戦七番勝負(読売新聞社主催)、井山裕太棋聖と挑戦者・河野臨九段の第3局が長崎県西海市の「オリーブベイホテル」で行われ、6日午後7時28分、井山棋聖が186手までで白番中押し勝ちした。井山棋聖はシリーズ3連勝で、棋聖戦史上最多の9連覇へあと1勝と迫った。
井山棋聖の封じ手、白56は右下に地を確保する受け。井山棋聖は中央を動き出し、コウ絡みの接近戦となった。河野九段の黒97の切りから、右上隅でも激しい戦いになったが、井山棋聖が白106、112、122の好手を繰り出し、粘る河野九段を振り切った。
第4局は16、17日に神奈川県箱根町の「ホテル花月園」で行われる。
井山棋聖の話「右上で得をして、正しく打てば残るかなと思った。(第4局へ向け)まだまだ大変なので精いっぱい準備して臨みたい」
河野九段の話「途中まではそれなりに勝負形のつもりだったが、上辺で悪くしてしまった。予想にない手もあり、難解な戦いだった」
特設ページ:第45期棋聖戦挑戦手合七番勝負
第45期棋聖戦七番勝負第4局
河野がシリーズ初勝利
2021 年 02 月 17 日掲載
第45期棋聖戦七番勝負(読売新聞社主催)、井山裕太棋聖と挑戦者・河野臨九段の第4局が16日から神奈川県箱根町の「ホテル花月園」で行われ、17日午後7時44分、河野九段が212手までで白番中押し勝ちし、シリーズ1勝目を挙げた。
井山棋聖の開幕3連勝で迎えた本局は序盤、先番の井山棋聖が地を稼ぎ、河野九段が厚みを築く展開になった。河野九段は白64の封じ手以降、左辺の黒を攻める作戦に出た。井山棋聖は手順を尽くしてさばこうとしたが、河野九段が白102の好手を放って優勢に。中央に地をまとめながら着実に寄せ、井山棋聖の勝負手にも冷静に対応してカド番をしのいだ。
第5局は3月4、5日、新潟県南魚沼市の「ryugon」で行われる。
河野九段の話「勝負がどうなるか、最後まで分からなかった。依然としてカド番だが、次も自分の碁をしっかり打ちたい」
井山棋聖の話「2日目、白102のツケを打たれた後、まずい手を打ちリズムを崩してしまった」
特設ページ:第45期棋聖戦挑戦手合七番勝負
2021 年 03 月 05 日掲載
第45期棋聖戦七番勝負(読売新聞社主催)、井山裕太棋聖と挑戦者河野臨九段の第5局が新潟県南魚沼市の古民家ホテル「ryugon」で行われ、5日夕、井山棋聖が152手までで白番中押し勝ちし、シリーズ4勝1敗で棋聖9連覇を果たした。
9連覇は棋聖戦の連続防衛新記録。井山棋聖は史上1位の七大タイトル獲得数を50に更新し、名人、本因坊と併せて大三冠を維持した。
井山棋聖は大阪府出身。石井邦生九段門下で2002年にプロ入りした。16年と17年の2回、全七大タイトルを獲得する「七冠」を成し遂げ、18年には囲碁界初の国民栄誉賞を受けた。
井山棋聖の話「(棋聖戦9連覇は)励みになる記録。ギリギリの勝負を積み重ねてここまで来られて、非常にうれしい。(10連覇に)挑戦できることは大変光栄で、これからもさらに精進していきたい」
色紙に「祥風」と揮毫(きごう)した井山棋聖は、「コロナ禍などいろいろ厳しい状況の中、幸ある風が吹けばいいなという願いを込めた」と語った。
特設ページ:第45期棋聖戦挑戦手合七番勝負
2021 年 05 月 13 日掲載
群馬県高崎市の「旧井上房一郎邸」で11日から打たれていた第76期本因坊戦七番勝負第1局(毎日新聞社、日本棋院、関西棋院主催、大和証券グループ協賛、高崎市など共催)は12日午後7時4分、井山裕太本因坊が184手で挑戦者の芝野虎丸王座に白番中押し勝ちし、10連覇に向けて幸先のよいスタートを切った。持ち時間各8時間のうち残り時間は芝野1分、文裕10分。第2局は5月24、25の両日、秋田県能代市の旧料亭金勇で行われる。
1日目の序盤は早い流れとなったが、中盤に入って長考の応酬となり、右辺での激しい競り合いとなった。文裕の封じ手(78手目)は「13の十」で、黒地を減らす狙いの早生きの一手だった。文裕が白88と右上隅にツケると、芝野は1時間9分長考して黒89とカケツいだが、文裕は白102までで生きを確保した。昼食休憩後、芝野は左辺や下辺に黒105、113と勝負手を繰り出すが、文裕が冷静に対応して狙いを封じ込める。終盤、芝野は左辺で地を確保しようと粘るが、文裕が着実な打ち回しで振り切った。
解説の河野臨九段は「長い持ち時間での戦いに強い本因坊が、本局でもその力を安定して発揮した印象です。芝野王座も随所にらしさを見せ、2局目以降の戦いも楽しみになりました」と話した。
本因坊文裕の話 右上の黒地を荒らして少しいけるかなと思った。次も自分なりにしっかり準備して悔いのない戦いをしたい。
芝野虎丸王座の話 今日の碁はあまり内容がよくなかった。次に向けて気持ちを切り替えて打てたらいいかなと思う。
特設ページ:第76期本因坊戦挑戦手合七番勝負
2021 年 06月02日掲載
大阪府守口市のホテル・アゴーラ大阪守口で打たれていた第76期本因坊決定戦七番勝負第3局は2日、挑戦者の芝野虎丸王座が本因坊文裕に149手で黒番中押し勝ちし、対戦成績を2勝1敗としました。芝野王座が本因坊奪取に向けて一歩リードしました。
特設ページ:第76期本因坊戦挑戦手合七番勝負
2021 年 06月11日掲載
第76期本因坊戦7番勝負の第4局は10、11の両日、北九州市で打たれ、挑戦者の芝野虎丸王座が124手で井山裕太本因坊に白番中押し勝ちし、対戦成績を3勝1敗として奪取にあと1勝と迫った。
第5局は21、22日に長野県松本市で行われる。
特設ページ:第76期本因坊戦挑戦手合七番勝負
2021 年 06月20日掲載
本因坊文裕(井山裕太)に芝野虎丸王座が挑戦している、第76期本因坊戦挑戦手合7番勝負第5局(長野県松本市「松本ホテル花月」)は、218手までで井山が白番中押し勝ちした。これで対戦成績を2勝3敗とした。「どう決着するかの見通しが立たない状況で、どこまでいっても自信がなかった」と振り返った。
初戦に勝利した井山だが、第2局から3連敗。かど番に追い込まれたが、10連覇に向けて踏みとどまった。「前局までがまずすぎた。1つ返せたのは大きいが、まだまだ厳しい状況。自分なりに準備して、自分なりの碁を打ちたい」と気を引き締めた。
一方、敗れた芝野は「2日目の午前中にまずい図があった気がする。成績は気にせず、集中して打てたらいい」と話した。
井山がタイに追いついて最終第7局に望みをつなぐか、芝野がタイトルを奪取するか。第6局は29、30日、三重県鳥羽市「戸田家」で打たれる。
特設ページ:第76期本因坊戦挑戦手合七番勝負
2021 年 06月30日掲載
第76期本因坊戦七番勝負の第6局が6月29、30の両日、三重県鳥羽市で行われ井山裕太本因坊が153手までで、挑戦者の芝野虎丸王座に黒番中押し勝ちし、対戦成績を3勝3敗とした。最終第7局は7月6、7日に甲府市で打たれる。
趙治勲二十五世本因坊に並ぶ史上最多の本因坊10連覇がかかる今期の七番勝負で、井山本因坊は第4局を終えた時点で1勝3敗と追い込まれた。第4局の翌日、世界のトップ棋士が参加する中国団体戦の甲級リーグで中国の強豪・謝科九段と対戦し勝利した。インターネット対局とはいえ、タイトル戦翌日に公式戦に出場する異例の対応で弾みをつけると、第5局、第6局と連勝し、対戦成績をタイに戻した。
特設ページ:第76期本因坊戦挑戦手合七番勝負
2021 年 07月06日掲載
本因坊戦七番勝負の第7局で、本因坊井山裕太三冠が勝利し、史上最多タイの10連覇を達成しました。
今回の本因坊戦では史上最年少で名人を獲得した芝野王座が第4局までに3連勝し、史上最年少での本因坊獲得にも期待が集まりましたが、井山三冠が王者の意地をみせました。
囲碁の家元に由来する本因坊戦は、タイトルを獲得すると本因坊の名を受け継ぐことができ、井山三冠も5連覇した後に本因坊文裕を名乗っています。
井山裕太三冠「目の前の1手の積み重ねでしかここ(10連覇)まで来られないので、精一杯やってきたことが結果につなげられて、非常にうれしく思います」
特設ページ:第76期本因坊戦挑戦手合七番勝負
第46期名人戦七番勝負の第1局が26、27の両日、東京都文京区で行われ、井山裕太名人が212手までで、初の名人獲得を目指す一力遼天元に白番中押し勝ちし、防衛に向け発進した。第2局は9月8、9日に福島県郡山市で打たれる。
井山名人は「ずっと難しい碁だった。自分なりに精いっぱい打てたので、次も同じように打てれば」と振り返った。一方の一力天元は「1日目に不本意な形にしてしまった。2日目は精いっぱい打ったが、よくなるまでが大変だった」と残念そうだった。
両者は碁聖戦五番勝負でも、立場を入れ替えて対戦しており、ここまで2勝2敗。最終第5局が中1日あけて29日に打たれる。名人戦もフルセットまでもつれれば、11月まで続く井山と一力の〝十二番勝負〟となる。
特設ページ:第46期名人戦七番勝負
一力遼碁聖に井山裕太三冠が挑戦している第46期碁聖戦(新聞囲碁連盟主催)5番勝負の第4局は17日、新潟市の新潟グランドホテルで打たれ、午後7時13分、198手で井山三冠が白番中押し勝ちし、対戦成績を2勝2敗のタイに戻して決着を最終局に持ち込んだ。
中盤でリードを奪った井山三冠が難解な終盤戦を戦い抜き、押し切った。持ち時間各4時間のうち、残りは共に1分。
第5局は29日、東京都千代田区の日本棋院で行われる。
特設ページ:第46期碁聖戦挑戦手合五番勝負
一力遼碁聖に、井山裕太三冠が挑戦している第46期碁聖戦5番勝負第3局(北國新聞社、新聞囲碁連盟、日本棋院、関西棋院主催)は17日、金沢市の北國新聞会館で打たれた。午後6時15分、一力碁聖が138手で白番中押し勝ちした。対戦成績を2勝1敗とし、タイトル初防衛にあと1勝となった。
序盤、右下隅から右上にかけて攻防が繰り広げられ、白の一力碁聖が黒模様の中で巧みにしのいだ。
中盤、一力碁聖が左辺の白模様を大きく広げた。序盤とは立場が入れ代わり、黒がサバキ、白が攻める展開となった。
やや劣勢とみた井山三冠が大きな白模様に勝負手黒91を放った。それに対し一力碁聖は揺るぎない攻めで白114、116と打ち、黒の大石を仕留めて決着をつけた。
一力碁聖は「相手のしのぐ手が見えなかったので、終盤の強手を決断した」と振り返った。井山三冠は「序盤、右下の分かれがやや甘かったのかもしれない。次局は気持ちを新たに頑張りたい」と話した。
立会人の中野寛也九段は「見応えのある対戦。両者力の入った一局だった。秒読みの中、一力碁聖が攻め切った」と評した。
持ち時間各4時間のうち、残り時間は一力碁聖が2分、井山三冠が1分だった。第4局は8月17日、新潟市の新潟グランドホテルで行われる。
特設ページ:第46期碁聖戦挑戦手合五番勝負
2021 年 07月12日掲載
一力遼碁聖に井山裕太三冠が挑戦している第46期碁聖戦(新聞囲碁連盟主催)5番勝負の第2局は12日、仙台市のホテル佐勘で打たれ、午後7時38分、242手で一力碁聖が黒番半目勝ちし、対戦成績を1勝1敗のタイとした。
本局は中盤の戦いが終わってから長いヨセ勝負に。緊迫した終盤戦で一力碁聖がわずかに抜け出して勝ちきった。
第3局は17日、金沢市の北國新聞会館で行われる。
特設ページ:第46期碁聖戦挑戦手合五番勝負
2021 年 08月30日掲載
第46期碁聖戦五番勝負(新聞囲碁連盟主催)第5局が29日、東京都千代田区の日本棋院で打たれ、挑戦者の井山裕太九段が一力遼碁聖に180手で白番中押し勝ちし、3勝2敗でタイトルを奪取した。碁聖獲得は4期ぶり通算7期で、本因坊、棋聖、名人と合わせて4冠となった。
終局後の記者会見で、井山が「1日制のタイトル戦でいい結果を出せていなかったのでうれしく思う。これを世界戦にもつなげていけるようにしたい」と語った。また、若い世代とのタイトル戦が続いていることについて、「厳しいシリーズが続いているが、自分のベストを尽くせばチャンスがあることを証明できた」と話した。
一方、防衛を果たせなかった一力は終局後、「精いっぱいやった結果なのでしょうがない。来期ここに戻ってこられるように頑張りたい」と語った。
特設ページ:第46期碁聖戦挑戦手合五番勝負
2021 年 09月11日掲載
第76期本因坊戦7番勝負を制し、10連覇を達成した本因坊文裕(井山裕太九段)の就位式が10日、東京都文京区のホテル椿山荘東京で行われた。今期は開幕局を制した後、挑戦者の芝野虎丸王座に3連敗した。かど番に追い込まれながら、第5局から3連勝の大逆転劇。1989年の第44期から10連覇を果たした25世本因坊治勲(趙治勲九段)の大記録に肩を並べた。
文裕は、「第5局から気持ちを入れ替えて、内容的に上げていけた。下の世代が力を付けているなかで、偉大な記録にチャレンジできて忘れられないシリーズになった。来期、新たな記録にチャレンジするが、自分自身できることを精いっぱい積み重ねて、成長した姿をお見せしたい」と謝辞を述べた。
2021 年 09月09日掲載
井山裕太名人に一力遼天元が挑戦する第46期囲碁名人戦七番勝負(朝日新聞社主催)の第2局は9日、福島県郡山市の磐梯熱海温泉「四季彩一力」で2日目が打ち継がれ、午後7時59分、一力挑戦者が306手までで白番半目勝ちし、対戦成績を1勝1敗のタイとした。
持ち時間各8時間のうち、残りは両者1分だった。
第3局は15、16日、愛知県田原市の「角上楼」で打たれる。
特設ページ:
第46期名人戦挑戦手合七番勝負
2021 年 09月16日掲載
井山裕太名人に一力遼天元が挑戦する 第46期名人戦挑戦手合七番勝負 (主催:朝日新聞社・日本棋院・関西棋院) 第3局が9月15日(水)、16日(木)に愛知県田原市「角上楼」で打たれ、 一力が225手までで黒番中押し勝ちをおさめ、第2局に続いて連勝、シリーズ2勝1敗とした。終局時刻は19時46分。残り時間は黒番の一力が2分、白番の井山が1分だった。
一力がタイトル奪取にあと1勝とするか、井山がタイとするか注目の第4局は、9月28日(火)、29日(水)に 神奈川県箱根町「強羅環翠楼」で行われる。
「封じ手の辺りではどういうプランでいくか非常に難しくて、その後もコウがどうなるかわかっていなかった。 良くなったと思った場面もあったが、ぬるい手を連発したかもしれない。また自分なりに準備して精一杯やりたい。」
「(封じ手から右上がコウとなり)フリカワリとなり良い勝負かと思っていた。黒95のホウリコミにいったのはしつこかったかもしれない。 それからは厳しくいかないと、と考えていて、中央競り合いで負けにしたかと感じたが、ヨセで形ができてからは残るかなと思った。 手拍子もあったし錯覚もあったし内容的にはまずかった。もう少し良い碁を打てるように頑張りたい。」
特設ページ:
第46期名人戦挑戦手合七番勝負
2021 年 09月29日掲載
井山裕太名人に一力遼天元が挑戦する 第46期名人戦挑戦手合七番勝負(主催:朝日新聞社・日本棋院・関西棋院)第4局が9月28日(火)・29日(水)に神奈川県箱根町「強羅環翠楼」で打たれ、井山が167手までで黒番中押し勝ちをおさめ、シリーズ2勝2敗のタイに戻した。終局時刻は17時39分。残り時間は井山が9分、一力が28分だった。
がっぷり四つ2勝2敗で迎える注目の第5局は、10月12日(火)、13日(水)に山梨県甲府市「常磐ホテル」で行われる。
「黒55とカドに打ってからの出来上がりは普通は損したのかなと思って打っていたので、封じ手の辺りはどちらかというと自信が無かったです。 (封じ手のコスミツケに立った事について)その時点では白98と動きだされる手はそれなりにこちらもやれるのかなと思って打っていたんですけど、実際はそうじゃなかったのかもしれない。 中央を先着できた辺りでは一応成功しているのかなと思っていました。 前局は自分としてはかなりまずい内容になったのでそこから見れば良く打てたのかなと思います。 まだまだ長いのであまりスコアのことは意識せずに自分なりにしっかり準備して臨みたいと思います。」
「右辺が一段落した辺りではそれなりに白地があったのでまずまずの進行かなと思っていました。 封じ手のコスミツケは白84に打った時の予定の行動では無かったのですが何が正しかったのかわからなかったです。 黒109と出られると苦しい戦いにしてしまったかなと思っていました。 その後も一本道の進行になって実戦が悪いとはわかっていましたが他に良い打ち方が見つからなかったので、振り返ると封じ手の辺りの攻防まで遡らなければいけないのかなと。 今日は一方的な流れになってしまったので内容的にもう少し良い碁が打てるように2週間空くので修正していきたいと思います。」
特設ページ:
第46期名人戦挑戦手合七番勝負
2021 年 10月12日掲載
甲府市の常磐ホテルで12日から打たれていた 第46期囲碁名人戦七番勝負(朝日新聞社主催)の第5局は13日午後6時2分、挑戦者の一力遼天元が井山裕太名人に189手までで黒番中押し勝ちし、対戦成績3勝2敗で初の名人位獲得にあと1勝とした。
持ち時間各8時間のうち、残りは一力挑戦者が9分、井山名人は9分だった。第6局は19、20日に静岡県熱海市の「あたみ石亭」で打たれる。
特設ページ:
第46期名人戦挑戦手合七番勝負
2021 年 10月19日掲載
静岡県熱海市で19日から打たれていた 第46期囲碁名人戦七番勝負(朝日新聞社主催)の第6局は20日午後6時7分、井山裕太名人が挑戦者の一力遼天元に159手までで黒番中押し勝ちした。対戦成績は3勝3敗のタイとなり、決着は最終局に持ち越された。
持ち時間各8時間のうち、残りは井山名人が12分、一力挑戦者は9分だった。第7局は11月4、5日に静岡県河津町の「今井荘」で打たれる。
特設ページ:
第46期名人戦挑戦手合七番勝負
2021 年 10月29日掲載
第69期王座戦5番勝負の第1局は29日、横浜市で打たれ、挑戦者の井山裕太四冠が205手で芝野虎丸王座に黒番中押し勝ちし、先勝した。
井山四冠は3期ぶり7度目の王座獲得を目指し、芝野王座は3連覇が懸かる。
第2局は11月12日に神戸市で行われる。
特設ページ:
第69期王座戦挑戦手合五番勝負
2021 年 11月02日掲載
第46期碁聖戦(新聞囲碁連盟主催)5番勝負を制し、4期ぶりに復位した井山裕太碁聖の就位式が2日、東京都内のホテルで行われた。謝辞で井山碁聖は「3年前に碁聖を失ったあたりから1日制の対局での成績が思うようにいかず、課題として取り組んできた。今回、結果として表すことができ、喜びを感じている」と述べた。
式では新聞囲碁連盟を代表し、5番勝負第1局を開催した山陽新聞社の松田正己社長があいさつ。「対局が行われた岡山県倉敷市の真備町は3年前の西日本豪雨で大変な災害に遭った地域。復興してきたことを全国に発信でき、意義深いイベントになった」などと話した。
2021 年 11月05日掲載
第46期名人戦7番勝負の第7局は4、5の両日、静岡県河津町で打たれ、井山裕太名人が129手で挑戦者の一力遼天元に黒番中押し勝ちし、4勝3敗で防衛、棋聖、本因坊、碁聖と合わせ四冠を維持した。名人獲得は2期連続8度目。
井山名人は今年、棋聖、本因坊に続くタイトル防衛で、2日制の7番勝負で争う3タイトルを全て守った。8月に奪取した碁聖を加え現在四冠で、進行中の王座戦に五冠復帰が懸かる。芝野虎丸王座との王座戦5番勝負は第1局が終わり、井山名人が先勝している。
特設ページ:第46期名人戦挑戦手合七番勝負
2021 年 11月12日掲載
12日朝から神戸市のホテルオークラ神戸で打たれていた第69期囲碁王座戦(日本経済新聞社主催)五番勝負の第2局は、午後6時39分、201手で芝野虎丸王座が挑戦者の井山裕太四冠に黒番中押し勝ちした。3連覇をめざす芝野王座が対戦成績を1勝1敗のタイに戻した。
持ち時間各3時間のうち、残りは芝野王座が1分、井山四冠が2分だった。第3局は11月19日、新潟県南魚沼市のryugonで打たれる。
互いに模様を志向する序盤戦で始まったが、上辺から主導権争いに入る。攻防中の55手目、芝野王座は持ち時間3時間のなか1手に1時間50分をかける大長考をする場面もあった。
右上での大きなコウの可能性をにらみつつ、焦点は左辺に転じた。芝野王座は中央で黒105、107と壁を築いてから左辺109と切って白を攻める。
戦いの過程で挑戦者は中央の黒石を制したが「黒は代償に下辺を大きくのみ込んで、地合いではっきりリードした」との見方が立会人の山田規三生九段ら検討陣に広がった。挑戦者は下辺に侵攻して粘ったが、最後は王座が押し切った。
解説の村川大介九段は「早い段階で秒読みに入った芝野王座だが、井山四冠の粘りにも正確に対応した。近年まれに見る熱戦だった」と評した。
特設ページ:第69期王座戦挑戦手合五番勝負
2021 年 11月19日掲載
19日朝から新潟県南魚沼市のryugonで打たれていた第69期囲碁王座戦(日本経済新聞社主催)五番勝負の第3局は午後6時30分、183手で挑戦者の井山裕太四冠が芝野虎丸王座に黒番中押し勝ちした。対戦成績は井山四冠の2勝1敗となり、3期ぶりの王座復位に王手をかけた。
持ち時間各3時間のうち、残りは両者ともに1分だった。第4局は12月3日、神奈川県秦野市の陣屋で打たれる。
序盤は両者とも模様を志向して始まったが、互いに相手の注文を外すような神経戦に入った。ほぼ互角の戦いが続いていた中盤、挑戦者の井山四冠が黒101と上辺の白の勢力に深く踏み込んだ。芝野王座も真っ向から迎え撃ち、中央から上辺一帯でいくつもの大石の生死をかけた「めったに見ることのない、極めて難解な攻め合い」(解説の張栩九段)に突入した。
読み勝っていたのは挑戦者だった。上辺で黒155から白に負担の重いコウになり、挑戦者が白の大石を取った。王座は見返りに中央の黒の一団に襲いかかる粘りを見せたが、最後は井山四冠が最強手で応じて振り切った。
立会人の王銘琬九段は「2人とも碁盤全体に目配りして局面を広く使っていた。複雑ながら拮抗した時間が長く続いた名勝負だった」とたたえた。
特設ページ:第69期王座戦挑戦手合五番勝負
2021 年 12月03日掲載
3日朝から神奈川県秦野市の陣屋で打たれていた第69期囲碁王座戦(日本経済新聞社主催)五番勝負の第4局は午後6時17分、芝野虎丸王座が205手で挑戦者の井山裕太四冠に黒番中押し勝ちした。対戦成績は2勝2敗のタイとなった。勝者がタイトルを手にする第5局は12月9日、甲府市の常磐ホテルで打たれる。
序盤は芝野王座が下辺にスケールの大きな黒模様を張って始まった。左辺に焦点が移ったあと、王座は上辺で黒6子を捨て石にして戦果を上げる作戦に出たが、挑戦者は周りの白石を62から70で安定させることに成功。「白に不満なし」と石田芳夫二十四世本因坊ら検討陣はみていた。
王座は黒81、83から下辺の白の一団の攻めに転じる。「厳しい攻めで白に窮屈な生き方を強要できた上、黒125まで右辺を大きくまとめて黒が主導権を奪い返した」と解説の山下敬吾九段。さらに中央黒131が白の薄みを突く厳しい手だった。黒157まで中央左上の白5子を制して優勢を築き、最後は粘る挑戦者を冷静に振り切った。
山下九段は「中盤まで井山四冠の流れだったにもかかわらず、落ち着いて機をうかがった芝野王座の粘り強さが光った一局だった」と話した。
特設ページ:第69期王座戦挑戦手合五番勝負
2021 年 12月09日掲載
9日朝から甲府市の常磐ホテルで打たれていた第69期王座戦(日本経済新聞社主催)五番勝負の第5局は午後5時9分、挑戦者の井山裕太四冠が161手で芝野虎丸王座に黒番中押し勝ちし、対戦成績3勝2敗で3期ぶりの王座に復位した。王座通算7期目。井山新王座は2年7カ月ぶりに五冠に返り咲いた。
対局後、井山新王座は「一時、三冠に後退したときは、再びタイトルを増やすのは難しいと思っていた。五冠に戻せてうれしい」と話した。井山新王座の通算タイトル獲得数は67になった。
この日の対局は、黒13まで第1局と同じ進行だった。序盤は中央を重視する芝野王座に対し、挑戦者が足早に地を稼ぐ展開になった。挑戦者が上辺黒57から白を分断する戦いを仕掛けると、王座は左上の白石を114、116と手堅く補強し、中央の黒の一団に圧力をかける作戦に出た。拮抗した攻防が続き、「半目を争うヨセ勝負になる」と立会人の三村智保九段ら検討陣はみていた。
形勢が急転したのは、王座が白150、152と中央の黒に迫った場面だ。「王座は黒の大石を厳しく攻めてポイントを挙げようとしたが失敗し、逆に地合いで大差をつけられた」と解説の鶴山淳志八段。「両者が持ち味を発揮し、手に汗を握る好局だった」と話した。
特設ページ:第69期王座戦挑戦手合五番勝負
2024 年 1月27日掲載
芝野虎丸十段への挑戦権を争う、囲碁の大和ハウス杯第62期十段戦挑戦者決定戦、井山裕太王座 対 許家元九段 戦が1日、大阪市の日本棋院関西総本部で行われた。対局は午後5時32分、262手までで白番の井山が中押し勝ちし、挑戦権を獲得した。井山は6年ぶり6度目の十段位を目指す。
2年連続3期目の獲得を目指す芝野十段との挑戦手合5番勝負第1局は27日、大阪府東大阪市「大商大」で開幕する。
2024 年 1月8日掲載
一力遼棋聖に井山裕太王座が挑む第48期棋聖戦七番勝負第4局は8日午前9時、宮城県仙台市の宮城県知事公館で1日目の対局が始まりました。
一力棋聖にとっては地元への凱旋対局となる本局。対局会場となる宮城県知事公館には朝から地元のテレビ局など多くの報道陣が集まり、注目の高さを感じさせました。
両対局者は午前8時半杉、滞在先のホテルからタクシーで知事公館入り。村井嘉浩知事や立会人の高尾紳路九段の待つ対局室にはこれまでのシリーズと同様、一力棋聖が先に入りました。
午前9時、高尾九段の声掛けで一礼して対局開始。黒番の一力棋聖は右上の小目、井山王座は左上小目と応じました。対局室では「第2局のようにたすき掛けにするか」という声があがりましたが、一力棋聖は右下星に打ちました。
井山王座は白2、4と、向かい小目にしました。一力棋聖は黒5のカカリ。ここで、控室では孫喆七段が「井山王座は黒のカカリに手を抜き、左上を締まるかもしれません」と話していました。実戦もその通りに、井山王座が左上で白6と締まる進行になりました。一力棋聖は左下、黒7のカケ。これも控室で予想された手です。開始15分ほどで、白12のカカリまで進みました。
本局の立会人は高尾紳路九段、新聞解説は孫喆七段、記録係は青木裕孝三段と徐文燕二段の2人が務めます。
特設ページ:第48期棋聖戦七番勝負
2024 年 2月9日掲載
囲碁界の最高位を争う第48期棋聖戦七番勝負(読売新聞社主催、特別協賛・サントリーホールディングス)、一力遼棋聖(26)と挑戦者・井山裕太王座(34)の第4局が8、9日に仙台市の宮城県知事公館で行われ、9日午後5時41分、井山王座が166手までで白番中押し勝ちして、通算成績を2勝2敗のタイに戻した。
井山王座の封じ手は、右下の黒の眼形を奪う白92。一力棋聖は左辺の黒地をまとめに行ったが、井山王座は白106と突入。中央の白を巡って難解な戦いとなったが、ここで井山王座は巧みな打ち回しでポイントを挙げた。地元・仙台での対局となった一力棋聖は粘りを見せたが、井山王座は隙を見せずに快勝した。
第5局は15、16日に千葉県勝浦市の「三日月シーパークホテル勝浦」で行われる。
井山王座の話「中央と右辺の白をある程度の形で処理できて、地合いでいけそうだと思った。自分なりに精いっぱい準備して、次局に臨みたい」
一力棋聖の話「中央などの打ち方は、もう少しいい図があったかもしれない。(仙台対局は)始まってしまえば、普段と変わらなかった。精いっぱいやった結果なので仕方がない」
本局の立会人は高尾紳路九段、新聞解説は孫喆七段、記録係は青木裕孝三段と徐文燕二段の2人が務めます。
持ち時間各8時間白・井山7・31分、黒・一力7・58分
特設ページ:第48期棋聖戦七番勝負
2024 年 2月13日掲載
名人リーグは一力遼三冠が井山裕太二冠に白番中押し勝ちし、リーグ3連勝としました。敗れた井山二冠は1勝1敗。左辺で際どい攻防となった本局。一力三冠が難解な読み合いを制しました。
関連棋譜:【第49期名人戦リーグ】(黒)井山裕太王座 対 一力遼棋聖(白)
【第49期棋聖戦Aリーグ】、富士田明彦七段段が安達利昌七段に黒番5目半差をつけて勝利し、リーグ初戦で白星を挙げました。
関連棋譜:【第49期棋聖戦Aリーグ】(黒)富士田明彦七段 対 安達利昌七段(白)
第79期本因坊戦本戦トーナメント(毎日新聞社、日本棋院、関西棋院主催)が12日、東京都千代田区の日本棋院で始まった。芝野虎丸名人や井山裕太王座、上野愛咲美(あさみ)女流立葵杯ら16人の棋士が、一力遼本因坊への挑戦権をかけて争う。1回戦開幕局の小池芳弘七段―洪爽義五段戦は、小池七段が勝利を収めた。
2日制七番勝負だった本因坊戦は、今期から1日制五番勝負に移行し、挑戦者を決める方法もリーグ制(8人)からトーナメント制(16人)に変更となった。
関連棋譜:【第79期本因坊戦本戦1回戦】(黒)小池芳弘七段 対 洪爽義五段(白)
第3期テイケイグループ杯女流レジェンド戦準決勝、小林泉美七段が桑原陽子六段に勝利し、決勝進出を果たし
2024 年 2月13日掲載
第49期囲碁名人戦挑戦者決定リーグ戦(朝日新聞社主催)は12日、井山裕太王座(1勝0敗)VS.一力遼棋聖(2勝0敗)の優勝候補同士の一戦が行われ、一力が白番中押し勝ちして負けなしの3連勝を飾り、余正麒八段(3勝0敗)と並ぶリーグ同星首位に立った。
現在進行中の棋聖戦七番勝負で第4局まで2勝2敗とがっぷり四つの戦いを見せている両者が、名人戦に舞台を変えて激突。両者の気迫は盤上にストレートに反映し、一力が四隅を占めると、井山が背中の模様で勝負する、極端な対照をなす布石で始まった。
中盤、上辺の模様に突入した一力の白石に井山が猛襲をかければ、一力がフリカワリ覚悟の逆襲に出て、容易に先を見通せない難戦に。双方に眼形のない大石が混在するぎりぎりの読み合いは、井山に分があるかと思われたが、勝負どころで有力手を逃して一気に暗転。青息吐息の左辺の一力の大石が中央に脱出し、なおも殺しにいく井山の勝負手を一力が振り切り、大きな1勝を挙げた。
これにより、リーガー9人のうち無敗は同星首位の一力、余のふたりだけに。次戦、一力は関航太郎九段(0勝1敗)、余は井山と対戦する。
2024 年 2月14日掲載
一力遼棋聖に井山裕太王座が挑戦する第48期棋聖戦七番勝負第5局は2月15、16日、千葉県勝浦市で行われます。対局会場となるのは「三日月シーパークホテル勝浦」。棋聖戦の開催は3年連続となる南房総屈指のリゾートホテルです。
対局会場の庭に残雪があった1週間前の仙台対局とうってかわって、現地は最高気温が18度近くまで上がる春のような陽気に。対局室からは日差しを浴びて光り輝く海と気持ちよさそうに風に揺れるヤシの木が臨めます。
対局前日の14日午後4時半過ぎ、現地に到着した両対局者はホテル前の砂浜で海を背景にフォトセッション。両者は12日にも名人戦挑戦者決定リーグ戦で激突したばかりですが、さわやかな海風を感じながら、笑顔を見せました。
特設ページ:第48期棋聖戦挑戦手合七番勝負
2024 年 2月16日掲載
第48期棋聖戦七番勝負(読売新聞社主催、特別協賛・サントリーホールディングス)、一力遼棋聖(26)と挑戦者、井山裕太王座(34)の第5局が15、16日に千葉県勝浦市の「三日月シーパークホテル勝浦」で行われ、一力棋聖が井山王座に勝ち、シリーズ3勝2敗で3連覇まであと1勝とした。
第6局は29日から3月1日まで、神奈川県箱根町のホテル花月園で行われる。
特設ページ:第48期棋聖戦挑戦手合七番勝負
2024 年 2月20日掲載
第25回農心辛ラーメン杯世界囲碁最強戦・第10戦は日本の井山裕太九段が韓国の申真諝九段に敗れ、日本が姿を消す結果となりました。残り人数は韓国1名、中国4名です。
特設ページ:第25回農心辛ラーメン杯団体戦
関連棋譜:【第25回農心辛ラーメン杯第10戦】(黒)申真諝九段 対 井山裕太九段(白)
第35期女流名人戦博多・カマチ杯リーグ、仲邑菫三段が牛栄子扇興杯に勝利し、リーグ成績を4勝1敗。韓国棋院移籍前の国内最終戦を終えて「韓国で女流タイトルの獲得、ランキング10位以内に入りたい」と仲邑三段。3月2日付けで移籍します。
関連棋譜:【第35期女流名人戦博多カマチ杯リーグ】(黒)牛栄子扇興杯 対 仲邑菫三段(白)
第79期本因坊戦本戦1回戦、平田智也八段が許家元九段に勝利し、2回戦進出を飾りました。対許九段戦で公式戦初白星です。次戦では瀬戸大樹八段と対決します。
関連棋譜:【第79期本因坊戦本戦1回戦】(黒)許家元九段 対 平田智也八段(白)
第49期名人戦リーグ。白番の関航太郎九段が志田達哉八段との究極の死闘を制し、1勝1敗に。志田八段は0勝3敗に。リーグ史に残るヨセ勝負となり、整地後にアゲハマは盤上に埋め切れず、碁笥の蓋に残ったのは黒石5個、白石11個。黒番6目半コミ出しのため、白の半目勝ちとなった。関航太郎は「黄金の椅子」の前に転がるひとつの黒石を発見した。志田達哉も頷く。究極の勝負を戦った棋士たちの無言の対話だった。
産経新聞社が主催する囲碁タイトル戦「大和ハウス杯 第62期十段戦五番勝負」の第1局が27日、大阪府東大阪市の大阪商業大学で行われました。芝野虎丸十段(24歳)は160手までで、挑戦者である碁聖の井山裕太王座(34歳)に白番中押しで勝利し、タイトル初防衛に向けて好発進しました。第2局は3月25日に東京都千代田区の日本棋院東京本院で行われる予定です。
芝野虎丸十段は、20代でありながら、既に名人・十段の座についています。彼は囲碁界での才能を証明し、今回のタイトル戦で初防衛を目指しています。
2024 年 2月27日掲載
一方、井山裕太王座は6期ぶりのタイトル奪還を狙っており、芝野十段との対戦は注目されています。
特設ページ:第62期十段戦挑戦手合五番勝負
2024 年 3月1日掲載
第48期棋聖戦第6局 井山王座が一力棋聖に勝ち3勝3敗、決着は最終・第7局に持ち込まれました。
神奈川県の「箱根花月園」で行われた七大タイトルの最高位・棋聖戦七番勝負の第6局は、一力遼(いちりき・りょう)棋聖(26)と井山裕太(いやま・ゆうた)王座(34)の激闘となりました。午前9時から始まった対局は、囲碁界の最高峰を争う熱戦で、注目を集めました。
一力棋聖はこれまで3勝2敗とリードしていましたが、井山王座は3年ぶりの返り咲きを狙って臨みました。午後6時前、井山王座が見事に勝利し、対戦成績は3勝3敗のタイとなりました。
最終・第7局は甲府市内のホテルで7日と8日に行われます。一力棋聖の3連覇を阻むか、それとも井山王座の返り咲きが実現するのか、囲碁ファンにとっては緊迫した瞬間が待ち遠しいですね。
棋聖戦の優勝賞金は囲碁界最高の4300万円です。両者の熱い戦いが続く中、最終局でどんな展開が待っているのか、注目していきましょう。
特設ページ:第48期棋聖戦挑戦手合七番勝負
2024 年 3月9日掲載
一力遼棋聖(26歳)が囲碁の最高位を争う第48期棋聖戦七番勝負で3連覇を達成しました。第7局で井山裕太王座(34歳)を挑戦者として迎え、フルセットまでもつれた末に4勝3敗で制しました。一力棋聖は最終局について、「序盤から思い切りよく打てた。結果を恐れずに(厳しい手を)決断できたのは、収穫だったと思います」と振り返りました。
一力遼棋聖は「希望」と揮毫した色紙を手に笑顔で写真撮影に応じ、その後、山梨県甲斐市の「サントリー登美の丘ワイナリー」で記念撮影に臨みました。彼は会見で、「何とか2カ月間戦い抜けてほっとした」と喜びを語りました。「少しずつ実感がわいてきたかなという感じ。今回はフルセットでしたので本当に厳しい戦いでしたし、なんとか2か月間戦い抜け、ほっとした気持ちが強い」と述べました。
囲碁の七大タイトルで最高位の「棋聖戦」七番勝負は、最終・第7局までもつれこみました。井山王座は2013年から9連覇を達成して以来、3年ぶりの返り咲きを逃しました。通算の対戦成績は一力棋聖の34勝51敗となりました。
特設ページ:第48期棋聖戦挑戦手合七番勝負
2024 年 3月15日掲載
第71期囲碁王座戦で優勝した井山裕太王座(34歳、碁聖)の就位式が15日、大阪市内のホテルで行われました。日本棋院の小林覚理事長が王座允許状を、日本経済新聞社の岡田直敏会長がトロフィーなどの王座賞をそれぞれ手渡しました。
井山王座は昨秋の五番勝負で、2年連続挑戦となった余正麒八段(28歳)を3勝2敗で破り、通算9期目の王座に輝きました。「次の五番勝負は(通算10期で資格を獲得する)名誉王座の称号がかかりますが、そんな舞台に立てることは幸せです。若い世代の成長がめざましく、自分なりに新しいことにチャレンジしたいと思っています」と井山王座は語りました。井山王座の地元大阪での式には約200人のファンが集まりました。
特設ページ:第71期王座戦挑戦手合五番勝負
2024 年 3月13日掲載
第49期名人戦(主催・朝日新聞社)リーグは3月13日、リーグ序列1位の井山裕太王座と3位の余正麒八段が日本棋院関西総本部でぶつかった。第4ラウンド第3局である。
ここまで井山は1勝1敗(1回手空き)。負けた相手は一力遼棋聖。余は3連勝し、一力とともに首位に立っていたが、2日前に一力が4連勝を果たしている。
優勝争いにかかわるこの一戦、結果は余が勝利し、再び一力と並んだ。いまの一力の充実ぶりからすると、井山の2敗目は致命的である。
他の選手の成績は、富士田明彦七段2勝1敗、許家元九段2勝2敗、山下敬吾九段1勝1敗、関航太郎九段1勝2敗、張栩九段3連敗、志田達哉八段4連敗となっている。
2024 年 3月20日掲載
第15回春蘭杯世界囲碁選手権が3月19日に中国福建省の「武夷山悦華酒店」で開幕しました。日本からは、一力遼九段、芝野虎丸九段、井山裕太九段、許家元九段、広瀬優一七段が出場し、1回戦の対局結果では、一力、芝野、許が2回戦進出を決めました。2回戦は3月21日(木)11時30分から行われます。
2024 年 3月20日掲載
第79期本因坊戦本戦トーナメント(毎日新聞社、日本棋院、関西棋院主催)の2回戦が28日に行われました。歴代1位の本因坊11連覇の記録を持つ井山裕太王座(34)は、関航太郎九段(22)に246手で白番中押し勝ちし、4強入りを果たしました。また、第75期と第76期に挑戦者となった芝野虎丸名人(24)も、志田達哉八段(33)に237手で黒番中押し勝ちし、4強入りを決めました。
この結果、4強が出揃いました。準決勝では、井山王座は余正麒八段と、芝野名人は平田智也八段とそれぞれ対戦します。
2024 年 4月9日掲載
『ミッドナイトスワン』で第44回日本アカデミー賞最優秀主演男優賞を受賞した草彅剛(くさなぎつよし)を主演に、第42回日本アカデミー賞優秀監督賞受賞の『孤狼の血』など映画界で高い評価を受け、本作が自身初の時代劇となる白石和彌(しらいしかずや)監督が奇跡のタッグを組んだ、古典落語をベースにした映画『碁盤斬り』(ごばんぎり)が、2024年5月17日(金)に全国公開されます。その映画に井山裕太王座、藤沢里菜女流本因坊が出演します。
3月6日(水)、映画に先駆け脚本を手がけた加藤正人氏による小説『碁盤斬り 柳田格之進異聞』(文春文庫)が発売された。囲碁愛好家の加藤氏は本作の脚本を監督、プロデューサーと話し合い、3年半かけて改訂を重ねてきたそうだ。小説では映画には描かれなかった格之進のその後も垣間見れると聞く。
公式ホームページには「武士の誇りを賭けた〈復讐〉を描く、感動のリベンジ・エンタテイメント」とある。確かに、主題になっているのは武士の誇りであり、復讐だろう。しかし本作を観てきた私は「これは囲碁の映画だ」と自信を持って言える。格之進の生き様と同じくらい一本に貫かれた加藤氏の囲碁への愛が詰まった名作。囲碁愛好家ならば観に行かざるを得ない。
2024 年 4月12日掲載
第49期囲碁名人戦挑戦者決定リーグ戦(朝日新聞社主催)は、井山裕太王座が張栩九段に対して白番中押しで勝利し、星を2勝2敗の五分に戻しました。一方、張栩九段は開幕から4連敗と苦戦しており、リーグ残留には黄信号が灯った状態です。
試合は互いに一つの陣地につき100目を超える大規模な囲い合いとなりました。張栩九段は形勢が不利と判断し、井山裕太王座の中央の模様を消しにいきました。しかし、井山裕太王座は見返りに、張栩九段の確定地とされていた黒陣をコウ材有利を背景に強気に荒らし、一気に勝負を決めました。
2024 年 4月27日掲載
第2回衢州爛柯杯ワールド囲碁オープン2回戦が4月25日(木)に中国・浙江省衢州市で行われ、日本勢は井山裕太九段、上野愛咲美五段が勝ってベスト16の3回戦進出となりました。
左が勝者:
また、4月27日の3回戦組み合わせ(日本選手のみ)は以下の通りです:
2024 年 4月28日掲載
第2回衢州爛柯杯ワールド囲碁オープン3回戦が4月27日(土)に中国・浙江省衢州市で行われ、井山裕太九段が準々決勝に進出しました。
左が勝者:
また、準々決勝の組み合わせは以下の通りです:
2024 年5月2日掲載
5月2日、第49期棋聖戦Sリーグが始まりました。開幕カードは井山裕太王座対余正麒八段の対戦です。
この二人は今年に入って、3月13日に名人戦リーグ、4月8日に本因坊戦準決勝でぶつかっており、いずれも余が勝利していました。内容的には余の勢いが上回っている印象がありました。
しかし、井山の調子が一気に上がってきました。4月24日、25日、27日に行われた第2回衢州爛柯杯ワールド囲碁オープンでは3連勝し、日本勢で唯一ベスト8入りを果たしています。そして30日には芝野虎丸十段との大和ハウス杯第62期十段戦五番勝負第5局を制して6期ぶり6度目の十段復冠を果たしました。
こうして迎えた棋聖戦Sリーグは、日本棋院関西総本部で行われ、結果は井山の黒番中押し勝ちとなりました。
2024 年5月17日掲載
16日、名人戦挑戦者決定リーグ戦が行われ、井山裕太王座が山下敬吾九段に黒番中押しで勝利しました。この結果、井山はスコア3勝2敗で白星先行となり、山下は2勝3敗と負け越し、リーグ残留争いに突入しました。
両者はこれまでにあまたの番勝負を繰り広げており、今回の対戦でも2勝2敗と互角の戦いを繰り広げました。一方、5戦全勝で首位を走る一力遼棋聖、余正麒八段に後れを取り、リーグ陥落の心配さえもたげていた井山と山下の激突は注目を集めました。
井山は中盤、鮮やかなカウンターパンチを決めて大きな白星を手にしました。山下は自身の黒模様に深々と突入していたが、井山は陣構えの不備を突いて強烈なカウンターを決めました。相手の一群に対して攻勢を仕掛け、山下は粘りましたが陣取り合戦で後れを取り、最終的には井山の弱石も見当たらず、投了せざるを得ない状況となりました。
2024 年6月7日掲載
7日、関西総本部で行われた第49期棋聖戦Sリーグの井山裕太王座対孫喆七段の対局は、286手まで進み、黒番の孫七段が半目勝ちしました。
孫七段が2024年は9連勝で全勝を維持しています。
2024 年5月31日掲載
第49期囲碁名人戦挑戦者決定リーグ戦(朝日新聞社主催)は30日に行われ、井山裕太王座が志田達哉八段に黒番中押しで勝利しました。井山はスコアを1勝2敗から3連勝で4勝2敗としました。一方、志田は勝ち星なしの7連敗となりました。
首位は一力遼棋聖と余正麒八段で、5勝0敗の同星で並走しています。井山は前期に続く連続挑戦であり、非常に厳しい状況ですが、今回の勝利によりプレーオフ進出の可能性をぎりぎり残しました。
井山は序盤から徹底して陣地を稼ぎ、実利志向の志田に陣地を与えない作戦を展開しました。しかし、その代償として、備えを省いた自軍の塊が志田の攻撃の的になりました。井山は刺し違え覚悟の強気のシノギ勝負を選び、双方ともに多大な犠牲を払う大フリカワリをはらんだ難局を乗り越え、勝利を収めました。
2024 年7月19日掲載
7月19日、東京の日本棋院で「碁聖戦」第3局が行われ、井山裕太三冠が挑戦者の芝野虎丸名人に勝利しました。これにより、井山三冠は「碁聖戦」を4連覇し、七大タイトルを含む全てのタイトルの通算獲得数が「76」となり、趙治勲名誉名人の持つ歴代最多記録に並びました。
五番勝負の「碁聖戦」で、井山三冠は既に2勝を上げており、タイトル防衛にあと1勝と迫っていました。第3局は19日の午後、日本棋院で行われ、黒番の井山三冠が終盤で粘る芝野名人を振り切り、午後7時46分、287手までの激闘を制しました。これで井山三冠は3勝負けなしでタイトル防衛を決め、「碁聖戦」を4連覇しました。
試合後、井山三冠はインタビューで次のように語りました。
「自分なりに力を出し切れたかなと思い、防衛できてうれしいです。趙先生の記録ははるか先だと思っていたので、並べたことは感慨深いです。」
一方、敗れた芝野名人は「第3局も含めてミスが出てしまった。結果はしかたがないかなと思う」と悔しさをにじませました。
2024 年8月23日掲載
8月22日に行われた第49期棋聖戦Sリーグで、井山裕太王座が高尾紳路九段に対し、白番中押しで勝利を収めました。この勝利により、井山王座は挑戦者決定トーナメントへの進出が確定しました。一方、高尾九段はSリーグから陥落になりました。
この試合は、序盤から互いに慎重な手が続きましたが、中央の戦いを境に井山王座が有利な展開を作り出しました。特に終盤における井山王座の冷静な対応と的確な手順が、勝利への道を開きました。対する高尾九段は、最後まで粘り強く戦いましたが、劣勢を覆すことはできず、投了しました。
次局では芝野虎丸名人と井山裕太王座の対決です。勝者はSリーグ1位として挑戦者決定トーナメント進出になります。
2024 年8月28日掲載
8月27日、第29回三星火災杯統合予選の2日目が行われ、日本勢は9勝16敗となりました。注目棋士のなか、井山王座と上野姉妹が勝利し、藤沢里菜女流本因坊は惜しくも敗退しました。
2024 年8月30日掲載
井山、上野、柳が予選準決勝進出
8月29日に行われた第29回三星火災杯統合予選4日目で、日本勢の成績は3勝9敗となりました。
井山裕太九段、柳時熏九段、上野愛咲美五段の3名がそれぞれの組で準決勝進出を果たしました。
2024 年8月30日掲載
第72期王座戦(日本経済新聞社主催)の挑戦者決定戦が8月30日、東京・市ケ谷の日本棋院で行われました。午後4時3分、芝野虎丸名人が188手で一力遼棋聖に白番中押し勝ちを収め、井山裕太王座への挑戦権を獲得しました。
芝野名人と井山王座の五番勝負第1局は、10月16日に東京都港区のグランドプリンスホテル新高輪で行われます。
芝野名人は、これまでのトーナメント戦で苦しい局面も多かったと語り、「挑戦まで来られてよかった。挑戦手合いでも全力を出し切りたい」と意気込みを見せました。
芝野名人は、鋭い攻めと冷静な形勢判断を兼ね備えた棋風で知られています。2019年には七大タイトル史上最年少の19歳11カ月で名人位を獲得し、同年には井山王座から王座のタイトルを奪取しました。
翌年には王座初防衛を果たしましたが、2021年の五番勝負で井山王座にタイトルを奪還されました。井山王座との対戦成績は25勝31敗で、今年6月から7月にかけての碁聖戦では3連敗を喫しており、今回の対決でリベンジを果たすことを目指します。
2024 年8月30日掲載
8月30日に行われた第29回三星火災杯統合予選準決勝で、井山裕太九段が見事に勝利を収め、予選決勝への進出を果たしました。一方、柳時熏九段と上野愛咲美五段は敗退となります。明日行われる予選決勝で、井山王座は中国の金禹丞八段と対戦します。
2024 年9月3日掲載
8月31日、韓国棋院で開催された第29回三星火災杯統合予選が終了しました。日本から参加した59名の棋士のうち、予選決勝まで勝ち進んだのは井山裕太九段ただ一人でした。しかし、井山九段は中国の金禹丞八段に敗れ、10年ぶりに本戦進出者を出すことができませんでした。
これにより、32強に進出する31名が確定しました。
日本の井山裕太九段は、予選決勝で中国の金禹丞八段に敗れ、本戦進出を逃しました。井山九段は一時優勢を築いたものの、終盤での逆転を許し、惜しくも敗退となりました。
2024 年9月5日掲載
9月4日、第26回農心辛ラーメン杯と第2回農心白山水杯が、中国吉林省の長白山にある農心会社白山水生産基地で開幕しました。午後には、第26回農心杯および第2回白山水杯の記者会見が行われ、中韓日の代表として俞斌九段、謝爾豪九段、小林光一名誉棋聖、曹薰鉉九段らが出席しました。
日本からは団長の孔令文七段と井山裕太九段が会見に出席し、記者からの質問に答えました。日本代表団の団長である孔令文七段は、会見で以下のように語りました:
「中韓両チームの代表が優勝を目指すと宣言しましたので、井山九段にどう答えればいいか尋ねました。井山九段は『優勝する』と言いました。」
井山九段も以下のように決意を示しました:
「中国や韓国のチームは非常に強いですが、日本にも実力のある棋士がいます。目標はもちろん優勝です。」
俞斌九段は次のように語り、警戒感を示しました:
「最近10回の農心杯では中韓がそれぞれ5回ずつ優勝していますが、現在韓国チームが4連勝中です。特に申眞諝九段が連勝を続けているため、今年彼に勝てなければ、韓国が5連覇を達成するでしょう。中国チームとしては序盤戦をしっかり戦い、最後には勝利を目指します。」
謝爾豪九段も以下のようにコメントし、申眞諝九段に挑む姿勢を示しました:
「申眞諝九段を研究し、最終盤で彼にプレッシャーをかけたい。」
韓国の申眞諝九段は以下のように語りました:
「韓国チームには大きなプレッシャーがありますが、目標は優勝です。明日最初に出場するチームメイトが勝ってくれることを願っています。」
また、洪旻杓九段も力強く宣言しました:
「韓国の目標は優勝のみです。」
2024 年9月13日掲載
第49期棋聖戦Sリーグは、9月12日に井山裕太王座が芝野虎丸名人を相手に先番で2目半勝ちを収め、Sリーグの優勝者として挑戦者決定トーナメントへの進出を決定しました。
この対局は午後10時22分に終局を迎え、大一番にふさわしい大熱戦となりました。井山王座は序盤から積極的な展開を見せ、芝野虎丸名人にプレッシャーをかけ続けました。
中盤に入ると芝野名人も反撃を開始し、一時は均衡した展開となりましたが、終盤で井山王座が冷静に形勢を立て直し、最終的に2目半の差で勝利を手にしました。
今回の勝利で井山王座はSリーグの1位に輝きました。芝野名人もSリーグ2位となり、両者ともに次の挑戦者決定トーナメントへ進むことが決まりました。
これにより、井山裕太王座と芝野虎丸名人の再戦の可能性が高まり、今後の対局も注目されることになります。
2024 年10月16日掲載
第72期囲碁王座戦五番勝負の第1局が、10月16日東京都港区のグランドプリンスホテル新高輪で行われました。井山裕太王座と芝野虎丸名人の対局は、序盤から井山王座が優勢に進めていたものの、中盤以降に芝野名人が逆転し、黒番中押し勝ちで勝利を収めました。
井山王座は昨年、3連覇を果たし通算9期の王座を獲得しました。名誉王座の資格獲得には通算10期が必要で、あと1期に迫っています。一方、芝野名人は5年前の五番勝負で井山王座に勝利し、井山の5連覇による名誉王座の達成を阻んだ実力者です。
第2局は10月25日、愛知県蒲郡市の「銀波荘」で行われる予定です。
2024 年10月25日掲載
第72期王座戦挑戦手合五番勝負の第2局が行われ、井山裕太王座が挑戦者の芝野虎丸名人に黒番中押し勝ちを収めました。対戦成績は1勝1敗のタイとなり、シリーズは振り出しに戻りました。
舞台となっている「蒲郡の銀波荘」の対局室からは、美しい海が眺められる絶好のロケーションが広がっています。対局者の井山裕太王座や芝野虎丸名人も、落ち着いた環境で集中しやすく、良い雰囲気の中で戦いに臨めると好評です。
第3局は11月26日、兵庫県神戸市の「ホテルオークラ神戸」で行われる予定です。
2024 年10月29日掲載
第49期棋聖戦の挑戦者決定変則三番勝負第1局が関西総本部で行われ、180手まで白番を持つ井山裕太王座が山下敬吾九段に中押し勝ちを収めました。井山王座は一力遼棋聖との棋聖位七番勝負に挑む権利を手にしました。
井山裕太王座と一力遼棋聖の七番勝負は、2025年1月16日(木)・17日(金)に東京都文京区の「ホテル椿山荘東京」で幕を開けます。最高峰の対局に臨む井山王座は、「厳しいリーグ戦やトーナメントを勝ち抜き、この最高の舞台に戻れてうれしい。一力棋聖は現在充実しているが、自分が出せる最高の力を尽くして臨みたい」と意気込みを語りました。
年明けから始まる七番勝負に向け、井山王座は「棋聖への挑戦権を獲得する事ができました。年明けから始まる7番勝負に良いコンディションで臨めるよう、年内の対局も引き続きベストを尽くしたいと思います。」とコメントしました。
2024 年11月26日掲載
第72期王座戦挑戦手合五番勝負の第3局が11月26日、兵庫県神戸市「ホテルオークラ神戸」で行われました。井山裕太王座が挑戦者の芝野虎丸九段に白番中押し勝ちを収めました。防衛まであと1勝となりました。
第4局は12月6日、神奈川県秦野市の「陣屋」で行われる予定です。
11月26日13時 - 対局再開しました。
11月26日15時 - おやつ時間。井山王座:フルーツ盛り合わせとアイスコーヒー 芝野九段:レアチーズケーキとアイスココア。
2024 年12月6日掲載
第72期王座戦挑戦手合五番勝負の第4局が12月6日、神奈川県秦野市「陣屋」で行われました。黒番を持った井山裕太王座が挑戦者の芝野虎丸九段を下しました。対戦成績を3勝1敗とし、4連覇を果たしました。今回の優勝で、井山裕太王座は通算10期のタイトルを獲得し、規定に基づき「名誉王座」の資格を得ました。
12月6日13時 - 対局再開しました。
12月6日15時 - おやつ時間。井山王座:フルーツ盛り合わせとアイスコーヒー 芝野九段:チョコレートケーキ。
2024 年12月24日掲載
第33期竜星戦決勝が行われ、福岡航太朗七段が井山裕太九段を破り、自身初のタイトルを獲得しました。福岡七段は今期の竜星戦に予選から出場し、破竹の勢いで勝ち進みました。予選から本戦ブロック、そして決勝トーナメントに至るまで、無敗の16連勝でタイトルに輝くという前人未到の記録を打ち立てました。
本戦ブロックでの11連勝は、過去に河野臨六段(第12期)や許家元四段(第27期)が達成していますが、優勝決定トーナメントでの敗北によりタイトル獲得には至りませんでした。一方、福岡七段は予選からの通算16連勝で棋戦優勝を果たし、まさに空前絶後の記録を達成しました。福岡七段は「最後まで行けたらと思っていましたが、実際に達成できたのは驚きです」と語りました。
決勝の相手は、多くのタイトルを保持する日本囲碁界の第一人者・井山裕太九段でした。格上の強敵を相手に福岡七段は果敢な攻めを見せ、終始ペースを握りました。最終盤でも冷静な読みを貫き、勝利を収めました。「タイトルホルダーと戦えるのは目標の一つでしたが、まさか優勝までできるとは思いませんでした」。
2025 年1月15日掲載
一力遼棋聖に井山裕太王座が挑む第49期棋聖戦七番勝負第1局は対局前日の14日、会場となるホテル椿山荘東京で前夜祭が行われました。
一般の囲碁ファンも参加して開かれた前夜祭、決意表明で井山王座は「最高の舞台に戻ってこれて光栄。自分の感性を大切にして、ベストを尽くしたい」。
一力棋聖も「棋聖戦第1局が行われる椿山荘の対局室に行くと、1年のタイトル戦が始まると実感する。大変な戦いになるがベストを尽くす」とそれぞれ力強く語りました。
新聞解説を担当する許家元九段は注目するポイントとして「井山王座の読みの深さと視野の広さ、一力棋聖のすきのなさと直線の読みの正確さ」と独特の表現で解説。「フルセットになる可能性が高いと思うが、年明け最初の大一番ということで、第1局をとった方が有利になる」と話しました。
ゲストとして読売日本交響楽団・次席第1バイオリン奏者の對馬哲男さんがバイオリンを演奏しました。對馬さんは地方で行われる演奏会でも空き時間を見つけて、地元の碁会所に囲碁を打ちに行くほどの囲碁好きだといい、新聞解説の許九段のファンであることが明かされました。ファンとともに作り上げた前夜祭は温かい雰囲気に包まれて幕を閉じました。
2025 年1月16日掲載
第49期棋聖戦七番勝負(読売新聞社主催、特別協賛・サントリーホールディングス)の第1局が、1月16日、東京都文京区の「ホテル椿山荘東京」で行われます。昨年と同じ顔合わせで、一力遼棋聖と井山裕太王座が再び激突する注目の頂上決戦です。
1月16日 18:00 - 盤上の石が片付けられ、1日目の対局が終了しました。
1日目が終了した時点、一力遼棋聖(黒番)の勝率は54%です。
2025 年1月17日掲載
第49期棋聖戦七番勝負(読売新聞社主催、特別協賛・サントリーホールディングス)の第1局が、1月16日と17日の両日、東京都文京区の「ホテル椿山荘東京」で行われました。挑戦者の井山裕太三冠(王座、碁聖、十段)が白番中押しで一力遼四冠(棋聖、名人、天元、本因坊)に勝利し、開幕戦を制しました。
1月16日 18:00 - 盤上の石が片付けられ、1日目の対局が終了しました。
1日目が終了した時点、一力遼棋聖(黒番)の勝率は54%です。
1月17日 9:00 - 前日まで封じた局面まで並べ直しました。
2025年1月24日
1月24日、一力遼棋聖に井山裕太王座が挑む第49期棋聖戦七番勝負第2局、栃木県日光市の旅館「日光千姫物語」にて対局室の検分と前夜祭が行われました。この地での開催は昨年に続き2年連続となります。
碁石や碁盤の感触、室内の温度、トイレの位置などを確認した両対局者は、数分で検分を終えました。
日光入りは東武鉄道の「スペーシアX」に乗りましたね。
(去年は乗れず)楽しみにしていました。初めて乗ることができてうれしかったですし、乗り心地もすごくよかったです。
去年のシリーズから白番が勝つ傾向がありますが、意識はしますか?
特に意識はしていないですが、1勝1敗と2連敗ではだいぶ違うので、重要な対局だと思っています。
今週は大相撲を観戦に行っていたそうで、テレビにもばっちり映っていました。
国技館自体も初めて行きましたし、迫力があって楽しかったですね。気分転換になりました。
明日からの対局に向けて
必勝祈願もしていただきました。体調も問題ないですし、自分にできるベストを尽くしたいです。2日間戦い抜きたいですね。
先勝して迎える2局目です。2連勝できるか、1勝1敗になるかでは大きく変わるのでは?
序盤ではありますし、深く意識することはないですが、第1局同様、自分のベストを尽くして、いいパフォーマンスができればと思っています。
過密日程が続いています。体調の方はいかがでしょう。
重要な対局が続くと日程はどうしても過密になり、大変さもありますが、それ以上に充実感を感じています。それもプラスに働いているのではないかと思います。
今日のネクタイピンは眼鏡ですか。オシャレですね。
いや、特に意図はないです(笑)。時々つけていますよ。
日光と言えば、去年は前夜祭で歌の歓迎がありましたが、今年もあるという話です。
去年を鮮明に覚えています(笑)。今まで数多く前夜祭は経験しましたが、初めての経験だったので。今年は去年の経験がありますから、それを踏まえて前夜祭に臨めれば。
今年もその伝統を引き継ぎ、手作り感あふれる素敵な会が開かれました。特に盛り上がりを見せたのは、地元の日光吹奏楽団による生演奏のコーナーです。音楽教室の先生が「囲碁の聖地日光の歌」と「囲碁よろしくの歌」というオリジナルソングを熱唱すると、会場は一体となって盛り上がりました。
井山裕太王座が「ほかにはない雰囲気の前夜祭でありがたい」と語り、一力遼棋聖も「熱烈な歓迎をうれしく思います」と挨拶しました。
2025年1月25日
1月25日、第49期棋聖戦七番勝負(読売新聞社主催、特別協賛・サントリーホールディングス)の第2局、1日目の対局が栃木県日光市の「日光千姫物語」で行われます。17時30分に白番の一力棋聖が88手目を封じて1日目が終了しました。
2025年1月26日
第49期棋聖戦七番勝負第3局は、2月5日から6日にかけて宮城県知事公館で行われます。一力棋聖が地元で白星を挙げるのか、それとも井山王座が勝ち越しを決めるのか、注目が集まります。第3局を前に、2月4日、宮城県知事公館で検分が行われました。
宮城県知事公館は、国内外の賓客を迎える迎賓館として利用されており、歴史的価値の高い建物です。特に正門は、大正9年(1920年)に取り壊された仙台城の中門(寅門)の部材を使用しており、仙台城の歴史を今に伝える貴重な遺構の一つとされています。
対局室は、雪見障子越しに美しい庭園を望む和室で、床の間には伊達政宗公の像が飾られています。昨年も同じ部屋で対局が行われたことから、検分は数分で終了しました。その後、一力棋聖と井山王座は前日インタビューに応じ、それぞれ第3局への意気込みを語りました。
碁石や碁盤の感触、室内の温度、トイレの位置などを確認した両対局者は、数分で検分を終えました。
「3年連続で棋聖として地元に戻ってこられたことをうれしく思います。第2局以降は、研究会でほかの方と打ったり、自分で勉強したりしながら、比較的リラックスして過ごせました。第2局で勝てたのは大きかったですが、内容的には押されていた部分もあり、そこが課題です。1勝1敗で仕切り直しということで、集中して第3局に臨みたいと思います。」
「これまでの2局はいずれも難しい内容でしたが、自分なりにそれなりのパフォーマンスは出せていると思います。これまで通り、その場で感じたことを最優先に考えて打っていくつもりです。仙台での対局はアウェーではありますが、温かく迎えていただいているので、気持ちよく打てています。スポーツとは違い、観客がその場で応援することもないので、一手一手に全力を尽くしていくだけです。」
同日夜には、仙台市の仙台国際ホテルで前夜祭が行われました。前夜祭には、第3局の共催者である河北新報社の一力雅彦社長や郡和子仙台市長をはじめ、多くの囲碁ファンが参加し、国内外で活躍する地元の英雄・一力棋聖を応援しました。
特に注目を集めたのは、記念の花束贈呈を担当したプレゼンターの存在でした。贈呈を務めたのは、一力棋聖が幼少期に指導を受けた大沢伸一郎さんの娘、巴さんと希さん。一力棋聖は、意外なプレゼンターの登場に思わず笑顔を見せました。
大沢さんは当時の一力棋聖について、「教えられたことを頭の中で整理して処理する能力がずば抜けて高かった。その一方で、負けたら悔しくて泣くこともあり、すごく情緒豊かでした」と振り返りました。また、第3局について「一力棋聖の性格上、『周りの期待』を感じるかもしれませんが、こういう局面を乗り越えてほしいですね。自然体でいれば、きっと勝てると思います」とエールを送りました。