2020 年 11 月 28 日 井山が防衛にあと1勝 第46期天元戦5番勝負第3局
第46期天元戦5番勝負の第3局は27日、福岡県久留米市で打たれ、井山裕太天元が180手で挑戦者の一力遼碁聖に白番中押し勝ちし、対戦成績を2勝1敗として防衛にあと1勝に迫った。
立会人の坂口隆三九段は「一力碁聖が白の大石への攻め方をもっと工夫すれば、勝負になったかもしれない。内容のある碁で、第4局も熱戦を期待したい」と話した。
井山裕太天元の話 白2、4の「両三々」はあまり打ったことがない。本局はこれでいってみようと思った。白86と黒3子を取ることはできたものの、実際の形勢は難しい。黒101と出られたときの対応がまずく、黒に食いつかれてしまった。白152と飛んで、何とかしのぐことができるのではと思った。
一力遼碁聖の話 白40と守られ、右下の白一団への攻めが効かなくなった。白52と打たれ大変かなと感じていた。白86と黒3子を取られ地合いでは負けているが、これからの勝負だと思った。黒109とポン抜くことができ食いつける格好になった。黒111と切った手は疑問だったかもしれない。
第4局は12月7日、兵庫県洲本市のホテルニューアワジで行われる。
特設ページ:第46期天元戦挑戦手合五番勝負
2020 年 10 月 26 日 一力が竜星戦3連覇 第29期竜星戦
第29期竜星戦の決勝戦が26日、放送され、仙台市出身の一力遼碁聖が井山裕太四冠に221手で黒番中押し勝ちし、竜星戦史上初めて3連覇を果たした。通算優勝回数は4回となり、これまで最多だった小林光一九段と井山四冠の3回を更新した。
決勝戦は黒の一力碁聖が右辺に星と小目からの二間ジマリ、白の井山棋聖が左辺に2連星の布石で始まった。序盤、黒は右上の黒石7個を捨て石にして上辺に地を取り、右辺に模様を築く。
中盤、黒が下辺に地を取った代償として白が右辺の黒模様に深く入り込み、薄くなった黒を攻める。ここから競り合いが始まり、難解な攻防に発展する。
互角の形勢のまま終盤、黒が左下の白地を大きくえぐった上、左辺での戦いでポイントを挙げて優勢となり、押し切った。
一力碁聖は8月、碁聖戦5番勝負で羽根直樹九段に3勝0敗で勝ち、初の七大タイトルを獲得。現在、天元戦で井山天元に挑戦し、二冠目を目指している。
一力遼碁聖の話
「決勝戦は前例のない形の立ち上がりで難しい戦いが続いた。その中で最後まで強く打ち続けることができた。(3連覇は)苦しい碁が多く、自分でも出来過ぎだと思う。4連覇を目指してまた頑張りたい。」
2020 年 10 月 20 日 第46期天元戦5番勝負第2局 井山が勝ち1勝1敗
第1局は一力遼碁聖が290手までで黒番半目勝ち。連勝すれば3度目の挑戦となる天元獲得へあと1勝と迫る。井山裕太天元は天元戦5連覇中で名誉天元の資格も持つ。第1局直後には名人位を奪取して4冠に復帰しており、巻き返しに期待がかかる。
20日、第2局が札幌市内で打たれ、黒番の井山四冠が223手で中押し勝ちし、1勝1敗とした。
第3局は11月27日に福岡県久留米市内で打たれる。
特製ページ:第46期天元戦挑戦手合五番勝負
2020 年 10 月 14 日 井山が名人復位 史上初、3度目の大三冠
三冠同士の頂上決戦となった第45期囲碁名人戦七番勝負(朝日新聞社主催)の第5局は14日午後7時26分、挑戦者の井山裕太棋聖が芝野虎丸名人に178手までで白番中押し勝ちを収め、シリーズ4勝1敗で名人位を奪取した。
井山は棋聖、本因坊とあわせ、七大タイトルの中でも特に上位に位置づけられる三つのタイトルを独占。自身3度目の「大三冠」に返り咲いた。
名人位獲得は3期ぶり7回目。過去に3度失冠したが、2013年、17年、今回と、すべて名人復位と同時に大三冠を達成。ほかに大三冠を遂げたのは趙治勲名誉名人だけ。趙は2度達成しているが、それを上回る3度目の大三冠は、井山の驚異的な復元力を物語る。
今期名人戦は、一昨年に七冠独占が崩れてから初めて挑戦者として臨んだタイトル戦だった。前期に史上初の10代名人になった芝野に対し、積極的な打ち回しで流れを手放さず、芝野の挑戦を受けた今夏の本因坊防衛戦に続きシリーズを制した。
保持する七大タイトルは大三冠に天元を加えて四冠に。通算獲得数も49に伸ばし、2位の趙の42を引き離し、独走している。
特製ページ:第45期名人戦挑戦手合七番勝負
2020 年 10 月 08 日 第46期天元戦五番勝負第1局 一力が先勝
井山裕太天元に一力遼碁聖が挑戦する第46期天元戦挑戦手合五番勝負【主催:新聞三社連合】の第1局が10月8日(木)午前9時から愛知県名古屋市の「賀城園」で行われた。結果は290手までで一力遼碁聖が黒番半目勝ちをおさめ先勝した。
一力碁聖のコメント 「一局を通して難しかった。中盤ははっきり黒が悪かった。中央のヨセが正しかったか分からない。半目勝負かなと思っていたが残りそうかなと思っていた。幸先のよいスタートが切れてホッとしている。2局目以降も精一杯頑張りますので応援よろしくお願いいたします。」
井山天元のコメント 「2の一にハネられたのが大きかったのかもしれないが今はよく分からない。15の三のキリで中央に黒地がついた。中央に打っておいたほうが多分よかったと思う。残念な1局とはなったがきわどい勝負にはなったと思う。しっかりと準備していい碁をみせられればと思う。」
第2局は20日に札幌市内で打たれる。
特設ページ:第46期天元戦挑戦手合五番勝負
2020 年 09 月 30 日 第45期名人戦七番勝負の第4局 井山が名人奪還へあと1勝
第45期名人戦七番勝負の第4局が9月29、30の両日、三重県鳥羽市で行われ、挑戦者の井山裕太棋聖・本因坊・天元が145手までで、芝野虎丸名人・十段・王座に黒番中押し勝ちし、対戦成績3勝1敗で3期ぶりの名人復位にあと1勝とした。第5局は13、14日に静岡県熱海市で打たれる。
中盤早々、盤面左上一帯の黒の大模様に名人の白石が突入。この一団を巡る攻防から戦いが全局に波及した。最後は挑戦者の大石の生死をかけた戦いに発展したが、挑戦者がしのぎ切り、勝負を決めた。
名人は1日目の58手目の封じ手で1時間41分の大長考を払い、白石に襲いかかる中央の黒の包囲網を破りにいったが、挑戦者の黒65が好手で、望んだ図を得られなかった。劣勢を意識した名人は、唯一の攻撃目標である中央の黒の一団に脅しをかけたが、挑戦者は大胆に無視し、黒89と左辺の白二子をちぎり取り、陣地の広さの優位を決定づけた。
もはや陣地の囲い合いで追いつけない名人は、白100から黒の大石を自陣に引き込んで総攻撃にかかる。両者秒読みのなか、ぎりぎりの勝負となったが、挑戦者が際どくしのいだ。
右下から中央に伸びる黒の大石が二眼をもち生きるかどうかが焦点となっている。この黒一団は中央付近に一眼を確保しており、145手目(7の十六)で左下の白一団が取られることになり、もう一眼がはっきりした。この黒一団が生きると、白は地合いで大きく及ばなくなるため、投了は仕方がない。
終局後、井山挑戦者の主な発言は次の通り。
「まだまだこれからだが、本局は自分らしく戦えたと思う。自分なりに納得のいく碁を打ちたい。2日目以降、少し打ちやすくなったと思っていた。黒89は成算があったというより、他にいまいちぴったりする手がなかったという感じ。いろいろよくわからないことだらけ。正しく打てばいけそうだと思っていってみた。難しい変化をはらんでいるので、正しく読み切れていたかはわからない。」
終局後、芝野名人の主な発言は次の通り。
2日目に入り、中央の黒の包囲網を破りにいったが、あまりうまくいかなかった。今日の午前中の段階で、はっきりだめといえる形勢にしてしまった。中央の黒石を取らないと勝ち目がないと思ったが、取れる石ではなさそうで、厳しいかなと思っていた。今回の碁はあまり内容がよくなかった。成績のことは気にせず、集中して打てたら。
関連棋譜:【第45期名人戦挑戦手合第4局】(黒)井山裕太九段 対 芝野虎丸九段(白)
特設ページ:第45期名人戦挑戦手合七番勝負
2020 年 09 月 26 日 文裕の9連覇を祝った 本因坊就位式
第75期本因坊決定戦七番勝負(毎日新聞社・日本棋院・関西棋院主催、大和証券グループ協賛)を制した井山裕太九段の就位式・祝賀会が25日、東京都文京区のホテル椿山荘東京であった。新型コロナウイルスの感染防止のためファンの参加はなく、関係者約30人が文裕の9連覇を祝った。
棋聖、天元とともに3冠を保持する文裕は6~7月にかけて、王座、十段との3冠を獲得して勢いに乗る芝野虎丸名人の挑戦を受け、囲碁界初の“3冠対決”を4勝1敗で制した。9連覇は、二十五世本因坊治勲=趙治勲九段=の10連覇に次ぎ、二十二世本因坊秀格=高川格九段=と並ぶ歴代2位タイ。
2020 年 09 月 24 日 第45期名人戦挑戦手合第3局 芝野が1勝目
第45期名人戦7番勝負の第3局は23、24の両日、山口市で打たれ、芝野虎丸名人が211手で挑戦者の井山裕太三冠に黒番中押し勝ちし、対戦成績を1勝2敗とした。第4局は29、30日に三重県鳥羽市で行われる。
終局後、芝野名人の主な発言は次の通り。
「序盤からあまり見たことない形がつづき、判断が難しかった。どちらかというと自信のない場面が多かったが、全体として力は出せた。」
「一つ勝てて安心した。(次局は)集中してがんばれたら。」
「白104、白106から、いろんな選択肢が生まれたので、そのいろいろを考えていた。うまくいったのは運が良かったと思う。」
井山挑戦者の主な発言は次の通り。
「まだまだ長い戦いになる。これまで通り結果を恐れず、次は自分の納得のいく碁を打てたら。」
「仕掛けていったが、全然うまくいっていない。白の勝ち筋はわかっていなかった。実戦が一番難しい形になったと思う。」
特設ページ:第45期名人戦挑戦手合七番勝負
2020 年 09 月 16 日 第45期名人戦第2局 井山が2連勝
午後7時12分、213手までで芝野虎丸名人が投了。井山裕太挑戦者が黒番中押し勝ちし、シリーズ2連勝とした。持ち時間各8時間のうち残りは両者とも1分だった。
両者秒読みの激戦が続き、検討室では名人がよしだったが最後に失着。名人はマスクをつけ、スーツの上着を着て、投了を告げた。
第3局は23、24の両日、山口市の「山口市菜香亭」で打たれる。
井山棋聖「1日目、序盤早々、左下の攻防ではっきり悪くなってしまい、あとは粘り強く打とうと思った。ここ最近は負けが続いていたので、まず一つ勝てて良かった。七番勝負としてはまだまだこれから。第3局も悔いのないよう、しっかり準備して臨みたい。」
「はっきりと読み切れていたわけではない。なんとかなるかなと思ったが、自分で思っていたより危なく、正しく打たれたら死んでいたと思う。」
芝野名人「2日目はずっと大変かなと思っていたが、途中から難しくなった。白模様に入った黒の死活は難しいと思ったけど、正しく打てばいけてたと思う。最後、黒207の手をまったく見ていなくて、打たれた瞬間にまずいとわかった。」
結果は良くなかったが、あまり気にせず切り替えて、集中して打てれば。
特設ページ:第45期名人戦挑戦手合七番勝負
2020 年 08 月 26 日 第45期名人戦七番勝負第1局 井山が先勝
第45期名人戦七番勝負第1局が25、26の両日、東京都文京区で行われ、挑戦者の井山裕太棋聖・本因坊・天元=が275手までで、初防衛がかかる芝野虎丸名人・十段・王座=に白番1目半勝ちし、3期ぶりの名人獲得へ向け発進した。第2局は9月15、16日に兵庫県宝塚市で打たれる。
3冠対決第1ラウンドは、井山棋聖が制した。「1日目が終わった時点では、まだよくわからなかった。(相手の手は)厳しかった」と振り返った井山棋聖は「まだ始まったばかり。少しでもいい状態で第2局に臨めれば」と話した。
今回の名人戦は2日制で持ち時間各8時間の長丁場だ。序盤からじっくり考える井山棋聖は、時に記録係に「58秒、59秒…」とギリギリまで読まれながらも冷静に対応。一方、ポンポンと打ち進める芝野名人は1時間9分も考慮時間を残しての決着だった。
「同じ3冠といっても、並んだとは思っていない。挑戦者の立場で向かう」と話す芝野名人が第2局以降、巻き返すことができるか。
関連棋譜:【第45期名人戦挑戦手合第1局】(黒)芝野虎丸九段 対 井山裕太九段 (白)
特設ページ:第45期名人戦挑戦手合七番勝負
2020 年 08 月 07 日 第45期名人戦リーグ最終節 井山が挑戦者に
第45期名人戦挑戦者決定リーグ戦の最終対局が6日、井山裕太三冠が林漢傑八段を破り8戦全勝で首位が決定、芝野虎丸名人との七番勝負(25日開幕)への挑戦を決めた。井山三冠は3期ぶり7度目の名人獲得を目指す。
井山三冠は平成21年、当時最年少の20歳4カ月で名人を獲得。一方、芝野名人は昨年、19歳11カ月で名人を獲得して井山三冠の記録を塗り替えた。今期の名人戦七番勝負は三冠同士の戦いで、囲碁界の頂上対決となる。
井山三冠と芝野名人がタイトル戦で顔を合わせるのは3度目。昨秋の王座戦五番勝負では芝野名人がタイトルを奪取したが、今年6~7月の本因坊戦七番勝負では井山三冠が防衛、9連覇を果たしている。
8戦全勝での挑戦権獲得について井山三冠は終局後、「結果としてでき過ぎ」と話し、芝野名人との対戦は「勢いも実力もある棋士。思い切ってぶつかりたい」と語った。
関連話題:第45期名人戦リーグ戦
2020 年 07 月 29 日 第13回春蘭杯1回戦 井山敗退、村川&余が2回戦進出
「第13回春蘭杯世界選手権」が29日に開幕、日本勢は5人が出場し村川大介九段と余正麒八段は勝利したが、井山裕太三冠、芝野虎丸三冠、本木克弥八段は敗退した。
中国主催の大会で当初、2月に開催される予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で延期になっていた。韓国や台湾などから24人が本戦に出場しているが、移動の制限が生じているためインターネット対局で行われた。
日本勢の対局は次の通り。
×井山裕太九段-〇申旻埈九段(韓国)
×芝野虎丸九段-〇連笑九段(中国)
〇村川大介九段-×李立言初段(北米)
〇余正麒八段-×イリア・シクシン三段(ロシア)
×本木克弥八段-〇姜東潤九段(韓国)
7月31日(金)2回戦 日本勢の組み合わせ
村川大介九段 - 范廷鈺九段(中国)
余正麒八段 - 朴永訓九段(韓国)
2020 年 07 月 09 日 第75期本因坊戦第5局 芝野名人を破り防衛、井山本因坊9連覇
第75期本因坊戦七番勝負(毎日新聞社主催)の第5局が8、9日に三重県鳥羽市で打たれ、井山裕太本因坊が、挑戦者の芝野虎丸名人に243手で白番4目半勝ちした。シリーズ4勝1敗でタイトルを防衛し、本因坊9連覇を遂げた。
七大タイトルの9連覇は、高川格九段の本因坊9連覇(1952~60年)と並ぶ歴代2位タイ。趙治勲名誉名人が達成した歴代1位の本因坊10連覇(89~98年)まで、あと1期に迫った。
今期本因坊戦は、七大タイトルのうち六つを占める井山、芝野の頂上決戦になった。井山は開幕3連勝で芝野を圧倒。第4局は落としたが、第5局で完勝してシリーズを制した。昨年、史上最年少で名人になった芝野は、その後二冠を加えて井山に挑んだが、七大タイトル戦初の敗退を味わった。
特設ページ:第75期本因坊戦七番勝負
関連棋譜:【第75期本因坊戦七番勝負第5局】
2020 年 07 月 01 日 第75期本因坊戦第4局 3連敗の芝野三冠が1勝
静岡県河津町の今井荘で打たれていた第75期本因坊決定戦七番勝負(毎日新聞社、日本棋院、関西棋院主催、大和証券グループ協賛)の第4局は1日午後7時32分、挑戦者の芝野虎丸九段が井山裕太九段に166手で白番中押し勝ちし、対戦成績を1勝3敗として初の本因坊位獲得へ望みをつないだ。残り時間は文裕1分、芝野2分。第5局は8、9の両日、三重県鳥羽市の戸田家で行われる。
特設ページ:第75期本因坊戦挑戦手合七番勝負
2020 年 06 月 23 日 第75期本因坊戦挑戦手合七番勝負第3局 9連覇にあと1勝
8連覇中の井山裕太本因坊に、名人・王座に続く三つ目のタイトルを狙う芝野虎丸名人が挑む第75期本因坊戦七番勝負第3局(毎日新聞社主催)が22、23の両日、兵庫県宝塚市の宝塚ホテルであり、井山本因坊が172手で白番中押し勝ちした。
連勝スタートで勢いに乗る井山本因坊は、序盤から優位に立つと、終盤まで強気の攻めを続け、押し切った。これで対戦成績を3勝0敗とし、史上2位タイとなる9連覇まであと1勝に迫った。
井山本因坊は「(9連覇は)まだあまり考えられない。中盤にまずいミスもあったので、しっかり修正して次に臨みたい」。3連敗で追い込まれた芝野名人は「結果はそんなに気にせず、いい碁を打てるように頑張りたい」と話した。
芝野名人「1日目でかなり白地が多い展開になったので、ちょっと苦しいかなと。2日目に中央を突き抜いて難しくなったと思っていたが、右下隅を生かしてちょっと大変にしてしまい、攻めの打ち方をしないとダメだった。結果はそんなに気にせず、次局もいい碁が打てるように頑張りたい」
特設ページ:第75期本因坊戦挑戦手合七番勝負
2020 年 06 月 14 日 第75期本因坊戦挑戦手合七番勝負第2局 井山2連勝
第75期本因坊戦七番勝負の第2局が13、14の両日、東京都千代田区の日本棋院で行われ井山裕太本因坊が143手までで、挑戦者の芝野虎丸名人に黒番中押し勝ちし、2連勝とした。当初は北九州市で実施される予定だったが、同市で新型コロナウイルス感染拡大が続いていたため、対局場が変更された。第3局は22、23日に兵庫県宝塚市で打たれる。
終局後、井山は「中央が全然判断できず、ずっとよく分からなかったです。黒も安定している石ではないので、薄くなると一気に自信がなくなると思っていました。右下を生きて中央がそんなにひどい目に遭わなければ、地合いでは少しリードしているかなと思いました。」
芝野は「右上の打ち方が重かったかなと。予想以上に形勢がよくなく、ただ、黒もまとめ方が難しいので、粘り強く打てればいいと思っていました。第1、2局と一方的な内容になってしまいましたが、最後また頑張りたいと思います」と、巻き返しを期していました。
関連棋譜:【第75期本因坊戦挑戦手合七番勝負第2局】(黒)井山裕太九段 対 芝野虎丸九段(白)
特設ページ:第75期本因坊戦挑戦手合七番勝負
2020 年 06 月 05 日 8連覇井山棋聖の就位式 「小林先生の記録に並べて誇り」と謝辞
第44期棋聖戦七番勝負(読売新聞社主催)を制した井山裕太棋聖の就位式が5日、東京都文京区の「ホテル椿山荘東京」で開かれた。井山棋聖は挑戦者の河野臨九段を4勝2敗で下し、小林光一名誉棋聖に並ぶ史上最多タイの8連覇を達成した。
老川祥一・読売新聞グループ本社代表取締役会長・主筆代理から正倉院宝物の金銅鳳形裁文を写した鳳を刻み込んだ純銀製の棋聖大賞メダルと、賞金4500万円の目録が贈られた。
井山棋聖は「自分の良さも、そうでないところも出た七番勝負だった。時代も状況も違うので一概には比べられないが、小林先生の記録に並ぶことができたのは誇り。新型コロナウイルスの感染拡大で大変な状況の中、対局できることへの感謝の気持ちを忘れずに進んでいきたい」と謝辞を述べた。
2020 年 06 月 08 日 第45期名人戦リーグ 井山開幕5連勝、山下は初白星
芝野虎丸名人への挑戦権をかけた第45期名人戦リーグ戦は8日、単独首位の井山裕太3冠が羽根直樹碁聖を白番中押しで破った。これで開幕5連勝とし、挑戦権獲得に向けて大きく前進した。敗れた羽根は2勝3敗となり、挑戦権争いから脱落。残留争いに回る。
井山の次戦は、3勝1敗で2位につけている許家元八段。「言うまでもなく強敵。まだ先は長いので、悔いの残らないよう戦いたい」と話した。許は井山戦までに2局あり、今月11日に河野臨九段(1勝3敗)と、18日に林漢傑八段と対戦。連勝して井山戦を迎えれば、挑戦権のゆくえを左右する大一番となる。
リーグ戦はこの日もう一局あり、ここまで0勝4敗だった山下敬吾九段が張栩九段に白番11目半勝ちし、リーグ初白星を挙げた。張栩は2勝4敗。
山下にとって、コロナ禍で2カ月にわたり中断されていた対局再開後初の手合だった。「なにより碁を打てるのがうれしい。対局中断中、家に引きこもっていたが、気持ちをリセットできた部分があるかもしれない。初戦を勝てたので、これからも気持ちよく打てる気がする」と話した。
2020 年 05 月 09 日 第75期本因坊戦の延期決定
12日に開幕予定だった囲碁の第75期本因坊決定戦七番勝負(毎日新聞社・日本棋院・関西棋院主催、大和証券グループ協賛)の延期が8日、決まった。緊急事態宣言発令とともに公式戦はストップしており、両対局者はやむを得ない決定と受け止め、開幕に向けて準備を続けている。
9連覇を目指す井山裕太本因坊は「延期は仕方がありません。先が見えない状況の中、大変な部分もありますが、自分なりに準備をして、良い状態で開幕を迎えられるよう努力したいと思います」、初挑戦の芝野虎丸名人は「この状況なので、延期の可能性は高いのかなと思っていました。良い碁を打てるよう、今はしっかり勉強していきたいです。少しでも早く、心配なく対局、観戦できる日が来るよう願っています」と、それぞれコメントした。
第3局(6月2・3日山梨県甲府市)を第1局として実施いたします。延期対局の日程 場所は未定となります。毎日新聞社 日本棋院 関西棋院にて協議し、決定次第、あらためてご案内させて頂きます。なお、今後の情勢の変化により、第3局(6月2・3日山梨県甲府市)以降につきましても日程が変更となる可能性があります。
2020 年 03 月 06 日 井山が棋聖戦8連覇達成
第44期棋聖戦七番勝負(読売新聞社主催)、井山裕太棋聖と挑戦者・河野臨九段の第6局が5日から甲府市の「常磐ホテル」で行われ、井山棋聖が262手までで白番3目半勝ちし、シリーズ4勝2敗で棋聖位を防衛した。
井山棋聖はこれで棋聖戦8連覇を達成、小林光一名誉棋聖が持っていた棋聖戦の連続防衛記録に並ぶとともに、すでに史上1位だった七大タイトル獲得数を47に更新し、本因坊、天元と併せて三冠を維持した。棋聖戦の優勝賞金は4500万円。
井山棋聖は大阪府出身。石井邦生九段門下で2002年にプロ入りした。16、17年の2度にわたって七大タイトル全てを獲得する「七冠」を達成し、18年には囲碁界で初めての国民栄誉賞に輝いた。
井山棋聖の話「(8連覇は)記録の上で小林先生に並ぶことができ、『よくできたな』という感じです。4局目、5局目も含め、まずい手も多かったので、何とか結果を残せたのは運が良かったです」
2020 年 02 月 28 日
第45期天元戦 井山裕太天元の允許状授与式
本日予定された井山裕太天元の就位式が中止となり、関係者のみが出席する允許状授与式が日本棋院内で行われました。
井山天元は「非常に大変な状況の中で、式を開いて頂いてありがたいと思います。他棋戦でもしばらくこういう形が続くかもしれないですね」と不安そうでした。
天元允許状授与式の最後は、関係者の記念撮影。 前列は左から、小林覚理事長、将棋の里見香奈清麗、井山天元、奥様、藤沢女流立葵杯。 里見清麗は、天元戦と同じ新聞三社連合が主催する女流王位戦のタイトル保持者で、本日予定されていた就位式に参加予定でした。
天元允許状授与式では、藤沢里菜女流立葵杯が花束贈呈しました。藤沢立葵杯はドラマで女優デビューを果たしたばかり。「撮影は1時間くらい。台詞を噛まずに言えるか、ずっと緊張していました。放送を見るまでヒヤヒヤでしたが、意外と普通でホッとしました」と言い、満足の出来だったようです。
2020 年 02 月 27 日
棋聖戦第5局 河野九段が好判断で逆転勝ち、2勝3敗に
囲碁界の最高位を争う第44期棋聖戦七番勝負(読売新聞社主催)、井山裕太棋聖(30)と挑戦者・河野臨九段(39)の第5局は26日から神奈川県箱根町の「ホテル花月園」で行われ、27日午後7時42分、河野九段が232手で白番中押し勝ちし、シリーズ2勝3敗とした。
対局2日目に入り、地合いでリードされた河野九段の勝負手が井山棋聖のミスを誘った。左辺のコウ争いを白162と解消したのが河野九段の好判断で、大きなフリカワリの末に逆転勝ちした。第6局は3月5、6日、山梨県甲府市の「常磐ホテル」で。
河野九段の話「ずっと形勢は難しかった。左辺がコウになって希望が出てきたが、本当に良くなったと思えたのはヨセに入ってから。次も一生懸命打ちたい」
井山棋聖の話「左辺から上辺にかけて、いっぱいに頑張り過ぎたかもしれない。この2局、少し良くなったかなという局面から負けている。次局はよいパフォーマンスを見せたい」
2020 年 02 月 15 日
棋聖戦第4局 河野九段が乱戦制す…1勝3敗に
囲碁界の最高位を争う第44期棋聖戦七番勝負(読売新聞社主催)、井山裕太棋聖と挑戦者・河野臨九段の第4局は14日から福岡県太宰府市の九州国立博物館で行われ、15日午後7時45分、河野九段が231手までで先番中押し勝ちした。河野九段はシリーズ1勝3敗とした。
2日目に入り、井山棋聖は白80と左辺の1子をかかえ、上辺と左上の両方のシノギを目指した。激しい競り合いから右辺で黒の一団を攻め立てて勝負に出たが、逆に中央の白の大石が薄くなる展開に。河野九段は右辺で3子を取り込むなどして次第に盛り返し、二転三転する形勢の中、逆転で乱戦を制した。
第5局は26、27日、神奈川県箱根町の「ホテル花月園」で行われる。
河野九段の話「終盤までずっと大変だと思っていたが、左下隅1子を取るヨセを打ったあたりで何とかなりそうかなと思った。依然として厳しい状況だが、悔いのないよう頑張りたい」
井山棋聖の話「上辺と左上の両方を頑張ればやれると思っていたのだが……。右辺の攻防ももう少しいい手があったかもしれない」
2020 年 02 月 02 日
第44期棋聖戦第3局 8連覇へあと1勝
第44期棋聖戦七番勝負(読売新聞社主催)、井山裕太棋聖と挑戦者・河野臨九段の第3局は長崎県西海市の「オリーブベイホテル」で行われ、井山棋聖が153手までで先番中押し勝ちした。井山棋聖はシリーズ3連勝で、小林光一名誉棋聖に並ぶ8連覇まであと1勝に迫った。
対局は2日目に入り、河野九段が右辺の大石を捨てる決断をしたが、黒の井山棋聖が大きな利益を得る結果になった。ペースを握った井山棋聖は正確な読みで着実にリードを広げ、勝負手を連発して粘る河野九段を突き放した。
第4局は14、15日、福岡県太宰府市の九州国立博物館で行われる。
井山棋聖の話「最後、左辺から上辺の攻防で自分の打つ手が筋に入ってきたので、いけるかなと思った。(4局目へ向け)まだまだ大変。しっかり準備して臨みたい」
2020 年 01 月 30 日
芝野が十段戦挑戦者に 最年少で初挑戦
産経新聞社主催の囲碁タイトル戦「第58期十段戦」の挑戦者決定戦が30日、大阪市北区の日本棋院関西総本部で行われ、芝野虎丸二冠が井山裕太三冠を破り、歴代最年少で初の十段戦五番勝負出場を決めた。
芝野二冠は平成11年、神奈川県生まれ。26年にプロ入り。29年、入段2年11カ月の史上最速で全員参加の一般棋戦(第26期竜星戦)で優勝した。昨年10月、19歳11カ月の史上最年少で七大タイトルの名人を獲得、11月には王座を獲得、最年少2冠となった。
七大タイトル戦には3度目の出場となる。初防衛が懸かる村川大介十段とのシリーズは3月3日、大阪府東大阪市の大阪商業大学で開幕する。
芝野二冠は「(村川十段は)戦いに強い碁という印象がある。大変な戦いになる。これまでと変わらず頑張りたい」と話した。
2020 年 01 月 28 日
井山が賞金1億825万円 9年連続のトップ
日本棋院は28日、2019年の賞金・対局料ランキングを発表し、井山裕太三冠(30)が1億825万円で9年連続のトップとなった。
井山三冠は昨年、十段と王座のタイトルを失ったが、棋聖、本因坊、天元を防衛した。芝野二冠は昨年10月に名人を獲得して史上最年少の七大タイトル保持者になり、その後、王座も奪取し二冠となった。上野愛咲美女流本因坊は2077万円で全体の9位。
2020 年 01 月 21 日
第44期棋聖戦第2局 井山が2連勝
第44期棋聖戦七番勝負(読売新聞社主催)、井山裕太棋聖と挑戦者河野臨九段の第2局が20日から埼玉県川越市の「蓮馨寺」で行われ、21日午後6時25分、井山棋聖が198手までで白番中押し勝ちし、シリーズ2連勝とした。
序盤、左辺で白の実利と黒の模様という分かれになった本局、井山棋聖は下辺の白の大石を強化しつつ右辺の黒模様を削減し、主導権を握った。河野九段は右辺から中央にかけて戦いを仕掛けてチャンスをうかがったが、井山棋聖が冷静に読み切り、難局を制した。
井山棋聖の話「流れは悪くないと思っていたが、中盤の重要な所で見損じがあるなど、反省点も多い。これからも大変な戦いが続くので、いい内容の碁を打ちたい」
河野九段の話「1日目から悔いのあり過ぎる碁だった。(3局目は)少しでもいい状態でベストを尽くしたい」
第3局は2月1、2日に長崎県西海市の「オリーブベイホテル」で行われる。
2020 年 01 月 20 日
第44期棋聖戦第2局 76手目封じ1日目終える
第44期棋聖戦七番勝負、井山裕太棋聖と挑戦者・河野臨九段の第2局が20日午前9時、埼玉県川越市の「蓮馨寺」で始まり、午後4時44分、井山棋聖が76手目を封じて1日目を終えた。
井山棋聖の先勝で迎えた対局。序盤、井山棋聖が白26とつけ、左辺から競り合いが始まった。最強手の応酬で白の実利と黒の模様という分かれに。河野九段は黒45から下辺に手を付け、黒53と左辺の3子を取り切った。一方、井山棋聖は下辺の白の一団を安定させ、白74で右上の飛びに回った。
「黒53は問題だったかもしれない。白は54、56とうまく立ち回り、手厚く打ち進めている。今後、黒は上辺の白地を減らしながら、右辺の黒模様をどの程度まとめられるかが焦点になる」と話している。
2020 年 01 月 10 日
第44期棋聖戦七番勝負 井山が8連覇へ発進
第44期棋聖戦七番勝負の第1局が10日、東京都文京区で行われ。井山裕太棋聖が296手までで、挑戦者の河野臨九段に黒番5目半勝ちし、8連覇へ向け発進した。第2局は20、21日に埼玉県川越市で打たれる。
序盤はAI流の布石で、比較的速いテンポで進んだが、井山棋聖が右辺で築いた大模様に河野九段が白46と侵入を図った局面から、一転、両者慎重な着手が続いた。
井山棋聖は「序盤から今ひとつの流れになって、2日目も苦しいかなと思っていました」と初日の劣勢を跳ね返した対局を振り返り、非勢になっても諦めず打ち続けた河野九段は「次局は悔いのない碁を打てるよう頑張っていきたい」と話していた。
2020 年 01 月 08 日
第44期棋聖戦七番勝負 9日開幕、井山棋聖に河野九段が挑む
第44期棋聖戦七番勝負(読売新聞社主催)、井山裕太棋聖と挑戦者河野臨九段の第1局が9日、東京都文京区の「ホテル椿山荘東京」で開幕する。
棋聖戦史上最多タイの8連覇を狙う井山棋聖に、初の棋聖位を目指す河野九段が挑む。両者の七大タイトル戦は7度目で、過去6度はいずれも井山棋聖が勝利している。
8日に同ホテルで開かれたトークセッションで、井山棋聖は「河野さんとはたくさん対戦しているが(今回も)厳しい戦いになると思う。(本局が)私の今年の初対局となるので、いいスタートが切れれば」と意気込みを話し、河野九段は「大一番を前に昨日、誕生日を迎えた。井山さんにはお祝いの精神を忘れずに臨んでいただけるとありがたい」とユーモアを交えて抱負を述べた。
2020 年 01 月 05 日
関西棋院打ち初め式 井山3冠「調子は上向き」
語呂合わせで「囲碁の日」となる(1月)5日、日本棋院関西総本部の梅田囲碁サロン(大阪市北区)で打ち初め式があり、本因坊文裕が約80人の囲碁ファンと紅白の碁石で連碁を楽しんだ。2019年、二つタイトルを失った文裕は「最近は厳しい戦いが続き、心配をかけているが、(調子は)上向いてきているので、期待に沿える1年にできればと思っている」と述べ、相手が1手ごとに交代する連碁に、笑顔で応じていた。
一方、関西棋院(同市中央区)の打ち初め式では、唯一のタイトルホルダーの村川大介十段が「十段の防衛戦や世界戦など全ての棋戦で頑張りたい」と抱負を述べた。
2019 年 12 月 18 日
井山5連覇「名誉天元」獲得
第45期天元戦5番勝負(西日本新聞社主催)の第5局は18日午前9時から徳島市の徳島グランヴィリオホテルで打たれ、午後5時36分、井山裕太天元が挑戦者の許家元八段に234手までで白番中押し勝ちした。対戦成績3勝2敗で5連覇を達成、名誉天元の称号を得た。
2年連続でフルセットを制した井山は、天元獲得通算8期。名誉称号は本因坊、碁聖、棋聖に加えて四つ目となり、歴代単独最多となった。今年は4月に十段、11月に王座を失って五冠から三冠に後退したが、天元を防衛して踏みとどまった。
許は天元獲得の最年少記録がかかっていたが、更新はならなかった。
死闘を制し、三冠堅持-。18日の天元戦第5局は、井山が勝負強さを発揮し、許の挑戦を退けた。「最近の調子は悪くない」(井山)の言葉通り、今年最後のタイトル戦をものにした。
持ち時間各3時間のうち、残りは両者1分。終局直後、井山が「難しかった。分からなかった」と首をかしげた難解な戦い。大石の死活も絡んで、最後まで手に汗握る攻防が繰り広げられた。
右上一帯から競り合いが始まった最終局は、井山が白54(16十一)から64(16十四)と右辺に先着して有利な展開に持ち込んだ。しかし右下黒を取りにいった白106(18十五)が問題で、黒109(16十三)と切断されて中央白一団が危険になり、黒良しのムードに変わった。許は上辺白を攻めた後、中央白に襲いかかるなど懸命の攻めを見せたが、反撃に出た井山が左下黒との攻め合いに持ち込み、最後は手数が足りないと見た許が投了した。
立会人の石田芳夫二十四世本因坊は「右上は許八段が失敗した感じだったが、井山天元も右辺で打ち過ぎがあり、容易ならざる形勢になった。しかし井山天元の白148(6十)が絶妙のタイミングで盛り返し、押し切った一局」と総括した。
2019 年 12 月 19 日
第58期十段戦 挑戦者決定戦、井山 VS 芝野
産経新聞社主催の囲碁タイトル戦「第58期十段戦」の挑戦者決定戦は、井山裕太三冠-芝野虎丸名で行われることに決まった。19日に日本棋院東京本院であった準決勝で大西竜平四段に勝利した芝野名人は来年1月、すでに勝ち上がっている井山三冠と対局する。
両者は今秋の王座戦五番勝負で対決し、芝野名人が王座を奪取している。初防衛がかかる村川大介十段との五番勝負は来年3月開幕予定。
2019 年 12 月 09 日
第45期天元戦五番勝負 2勝2敗に戻す、18日に最終局
第45期天元戦五番勝負の第4局が9日、兵庫県洲本市で打たれ、カド番に追い込まれていた井山裕太天元が挑戦者の許家元八段に177手で黒番中押し勝ちし、シリーズ成績を2勝2敗のタイに戻した。最終第5局は18日、徳島市で打たれる。
井山は10日前に芝野虎丸名人に王座を奪われ、三冠に後退したばかり。しかし本局は序盤から優位に立ち、粘る許を寄せつけなかった。
最終局に名誉天元の資格を得る5連覇がかかる井山は「最終局までいけるのは非常にうれしい。最後なので悔いのないよう打つだけです」。敗れた許は「きょうの碁の内容はまずかった。最後は力を出し切りたい」と話した。
2019 年 11 月 29 日
第67期王座戦 芝野虎丸が最年少二冠
10月に囲碁史上初の10代名人となった芝野虎丸名人が井山裕太王座に挑む第67期王座戦5番勝負の第4局が29日、愛知県蒲郡市で打たれ、芝野が282手までで白番半目勝ちした。3勝1敗で王座を奪取、史上最年少の20歳0カ月で2冠となった。
終盤、井山が盛り返したが芝野はミスをせず熱戦を制した。「苦しんだ時間のほうが多かった。本当に運がよかった」。囲碁界の今後を占う戦いだった。平成の囲碁界は2度の7冠独占を果たすなど、井山が「一強時代」を築いてきた。
虎丸名人が直接対決で絶対王者を倒し、「ポスト井山世代」の先頭に躍り出た。2冠保持の最年少記録も8年ぶりに更新した。これまでの記録は11年に井山が達成した21歳11カ月。2冠について「ぜんぜん実感がわかないです」と、はにかんだ。虎丸名人がマイペースで突き進む。
2019 年 11 月 22 日
第45期天元戦第3局 許が中押しで2勝目
井山裕太天元に許家元八段が挑戦している第45期天元戦5番勝負(西日本新聞社主催)の第3局が22日、福岡県久留米市のホテルマリターレ創世久留米で打たれ、午後4時56分、黒番の許が157手で中押し勝ちした。許は通算2勝1敗でタイトル獲得まであと1勝とした。
持ち時間各3時間のうち、残りは許1分、井山2分。第4局は12月9日、兵庫県洲本市のホテルニューアワジで行われる。
井山の白18(16十一)のハサミで戦いが始まり、右辺の小競り合いで井山がリード。左上の攻防では、許が地を稼いでポイントを挙げた。さらに上辺と中央の攻防で、井山が白128(10九)と打ったことで、結果的に右辺の白石が取られた。その代償として井山は左上の黒を攻めたが、許は堅実に生きを確保し、井山の投了となった。
立会人の坂口隆三・九段は「最初は白の方が面白かったが、中央の戦いで井山天元に読み違いがあったようだ。両者気迫のこもった熱戦だった」と総括した。
第3局は、ホテルマリターレ創世開業40周年記念として行われた。特別協賛は木下株式会社、協賛は日本製紙、宝酒造。
2019 年 10 月 25 日
第67期王座戦第1局 芝野名人が先勝
第67期王座戦五番勝負の第1局が25日、大阪市北区で行われ、芝野虎丸名人が271手までで、井山裕太四冠に黒番半目勝ちし、初の王座奪取と2冠に向け発進した。7冠制覇を2度成し遂げた井山王座と、今月8日に史上最年少で名人を奪取した芝野名人が、七大タイトル戦で顔を合わせるのは初めて。
終局後、芝野名人は「これからも大変だと思うので、これまで通り頑張れれば」、井山王座は「次の対局まで少しあく。いい状態で臨めるよう準備したい」とそれぞれ話した。
井山王座は今年出場した棋聖戦と本因坊戦を防衛。現在、天元戦でも許家元八段の挑戦を受けている。5連覇または通算10期獲得で名乗れる「名誉称号」を棋聖・本因坊・碁聖で保持しており、今シリーズではさらに「名誉王座」の獲得がかかる。
2019 年 10 月 21 日
第45期天元戦5番勝負第2局 井山1勝でタイに
第45期天元戦五番勝負の第2局が21日、北海道ニセコ町で行われ、井山裕太四冠が161手までで、挑戦者の許家元八段に黒番中押し勝ちし、対戦成績を1勝1敗とした。第3局は11月22日、福岡県久留米市で打たれる。
2019 年 10 月 11 日
第45期天元戦挑戦手合五番勝負第1局 挑戦者の許が先勝
第45期天元戦5番勝負の第1局は11日、岐阜市で打たれ、挑戦者の許家元八段が179手で井山裕太天元に黒番中押し勝ちし、先勝した。
許八段は8月に碁聖を失って以来のタイトルを狙い、井山天元は5期連続8度目のタイトルを目指す。
第2局は21日、北海道ニセコ町で行われる。
2019 年 09 月 20 日
第74期本因坊就位式 8連覇祝う
第74期本因坊決定戦七番勝負(毎日新聞社・日本棋院・関西棋院主催、大和証券グループ協賛)を制した本因坊文裕の就位式・祝賀会が20日、東京都文京区のホテル椿山荘東京であった。ファンや関係者約200人が駆け付け、歴代単独3位の8連覇を祝った。
今期七番勝負で文裕は、挑戦者の河野臨九段に連敗する苦しい出だしとなったが、第3局に逆転勝ちして流れを引き寄せると、その後連勝し4勝2敗で防衛を果たした。棋聖、王座、天元と合わせた4冠を保持している。
式では、毎日新聞社の丸山昌宏社長、日本棋院の小林覚理事長、関西棋院の正岡徹理事長、大和証券グループ本社の竹内由紀子執行役員があいさつ。允許(いんきょ)状や本因坊盾を受け取った文裕は「第4局以降は、自分なりにベストの対局ができた。本因坊8連覇は自分自身想像もできず、最も相性のいい棋戦になっている。気持ちを新たに次の戦いに臨みたい」と謝辞を述べた。
2019 年 08 月 29 日
三星火災杯本戦開幕 井山、趙善津、許家元が出場
第24回三星火災杯ワールド囲碁マスターズ本戦が8月30日に韓国大田市の三星火災大田儒城研修院で開幕する。 本戦はシード13名(前回ベスト4、韓国4、日本2、中国2、主催者推薦1)と統合予選通過者19名(一般14、シニア2、女流2、ワールド1)の合計32名で争われる。
日本からは国シードで井山裕太九段と許家元八段の2名と統合予選シニア組で通過した趙善津九段の3名が出場する。対戦カードは以下:
井山裕太九段 VS 唐韦星九段
許家元八段 VS 李欽誠九段
趙善津九段 VS 陶欣然七段
2019 年 08 月 01 日
名人戦リーグ 芝野と河野プレーオフに、井山脱落
大詰めを迎えた第44期囲碁名人戦挑戦者決定リーグ戦(朝日新聞社主催)は8月1日午前10時、最終ラウンド4局が東京と大阪で一斉に始まった。挑戦者争いに絡むのが3局、リーグ残留争いに絡むのが1局。消化試合は一つもなく、例年以上の「囲碁界の一番熱い日」になりそうだ。
挑戦の可能性を残しているのは、リーグ序列順に前名人の井山裕太四冠、芝野虎丸七段、河野臨九段。5勝2敗の同星首位で並ぶ3人の直接対決はすべて終えており、それぞれ別の棋士と対戦する。ここで単独1位が決まらなければ、序列上位2人によるプレーオフに持ち込まれる。
最終ラウンドの残る一局、村川大介十段対孫喆七段戦は、どちらも負ければリーグ陥落の「鬼勝負」となる。序列上位の村川は勝てば残留。同時に、孫のほかに同じリーグ初参加組の鈴木伸二七段、六浦雄太七段3人の陥落が決まる。孫は勝てば六浦との残留プレーオフにまわる。同時に打たれる芝野対鈴木戦で鈴木が勝てば、リーグ初参加組3人で1人の残留枠を争う3者プレーオフとなる。
朝日新聞デジタルでは、全4局を対局開始からライブ中継。戦いが佳境を迎える午後3時からは、先にリーグ全局を打ち上げている六浦七段が、井山対羽根直樹九段戦を終局まで同時解説。自身の残留にもかかわる他の対局についてもコメントする。
午後6時44分、大阪・北浜の関西棋院で打たれていた村川対孫戦が終局。村川が白番中押し勝ちし、リーグ残留が決定。同時に孫、鈴木、六浦3人のリーグ落ちが決まった。東京・市ケ谷の日本棋院で芝野と接戦を演じている鈴木は、この結果を知らない。
午後8時56分、芝野が鈴木に黒番中押し勝ち。対局中の井山、河野が敗れればリーグ優勝=名人挑戦が決まる。井山、河野のどちらかが勝てばプレーオフとなる。検討陣によると、井山は混戦で勝敗不明、河野は劣勢、との評。
午後9時41分、井山は羽根直樹九段に白番中押しで敗れ、挑戦者争いから脱落。河野は山下敬吾九段と対局を続けており、形勢不明のヨセ合いが続いている。
午後10時45分、河野が山下に白番3目半勝ち。これにより挑戦権争いは芝野と河野のプレーオフに持ち込まれた。今年の本因坊戦プレーオフに続く同一カード。本因坊戦では河野が勝って挑戦者に。今回はどうか。8日、東京・市ケ谷の日本棋院で打たれる。
2019 年 07 月 25 日
井山が再婚 お相手は25歳の一般女性
井山裕太四冠が20日に結婚したと25日、日本棋院が発表した。相手は一般女性という。井山四冠は平成24年に最初の結婚をしたが、27年末に離婚。井山四冠は現在、七大タイトルのうち棋聖・本因坊・王座・天元を保持している。
井山四冠のコメントは次の通り。
「この度、私事ではございますが、今月20日に一般女性の方と入籍をいたしましたことをご報告させていただきます。これからも一層精進し、棋士道を歩んでいく所存です。今後も変わらぬご指導ご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます」
2019 年 07 月 18 日
名人戦リーグ 井山が河野を破る、3人が同星首位に
第44期囲碁名人戦挑戦者決定リーグ戦(朝日新聞社主催)は18日、前名人の井山裕太四冠が、星一つ差で首位の河野臨九段を破った。これで芝野虎丸七段を加えた3人が5勝2敗の同星首位に。張栩名人への挑戦者争いの決着は8月の最終ラウンドにもつれ込む。
名人返り咲きをねらう井山はリーグ前半戦を1勝2敗と出遅れたが、その後4連勝し、先行する河野をとらえた。最終ラウンドは8月1日、4局が一斉に打たれる。首位3人の直接対決はすでに終えており、いずれも他の棋士と対戦。リーグ優勝が決まらず同星首位が複数並べば、同8日に序列上位2人によるプレーオフが行われる。首位3人の序列は、上位から井山、芝野、河野の順。
井山は「前半戦を考えれば、挑戦者争いに加わって最終局を迎えられたのはよかった。次も精いっぱい打ちたい」と話した。一方、河野は「まだ挑戦者になる可能性を残している。悔いのないよう最終局を打ちたい」と話した。
2019 年 07 月 04 日
本因坊8連覇 歴代3位の記録
第74期本因坊戦七番勝負(毎日新聞社主催)の第6局が3、4の両日、大阪府吹田市であり、井山裕太本因坊が、挑戦者の河野臨(こうのりん)九段に171手までで黒番中押し勝ちし、シリーズ通算4勝2敗で8連覇を果たした。
井山本因坊は開幕から2連敗したが、第3局で逆転勝ちして勢いに乗り、地元・大阪での対局も制して4連勝でタイトルを防衛した。井山本因坊は「第3局は運がよかっただけだが、それ以降は自分なりに今の力を出し切れた。8連覇はうれしいが、内容的にはまずい手も多い。少しでも成長できるように頑張りたい」と話した。
本因坊8連覇は、歴代3位の記録。1位は趙治勲二十五世本因坊が達成した10連覇。
2019 年 07 月 04 日
本因坊戦第6局 封じ手は「9の三」
本因坊文裕に河野臨九段が挑戦する第74期本因坊決定戦七番勝負の第6局(毎日新聞社、日本棋院、関西棋院主催、大和証券グループ協賛、阪急電鉄協力)は4日、大阪府吹田市のホテル阪急エキスポパークで2日目の対局が始まった。
朝の吹田市内は雨が上がり、時々日も差している。対局室には前日とは逆に、文裕、河野の順で入った。定刻の午前9時、両対局者が前日の盤面を再現すると、立会の坂口隆三九段が文裕の封じ手を開け、「9の三の押さえです」と読み上げた。白への攻めを急がず、上辺に地を確保する手厚い一着だ。
文裕は黒85のツケから左上隅をコウにした。黒91のコウダテに河野は堅く受けず、白92と反発。文裕は「うん、うん」とうなずきながら考えている。
解説の結城聡九段は「受けるのは利かされと考えたのでしょう。右下の白の形がどうなっていくかも見どころです」と話した。