2024-11-30

「第7回呉清源杯世界女子囲碁選手権」決勝三番勝負第1局が行われた11月29日、中国囲棋協会は試合のライブ配信を実施しました。解説は王鹭三段と戦鹰二段が担当し、ゲストには謝依旻七段や呉依銘六段が登場し、棋局の詳細な解説やファンとの交流が繰り広げられました。
配信中、謝依旻七段は上野愛咲美五段と妹の上野梨紗三段の棋風について紹介しました。姉の愛咲美五段は相手を圧倒的な力で打ち負かす「ハンマー」のような戦法を得意とし、一方で妹の梨紗三段は攻めによる利得を重視するスタイルだと説明しました。

謝七段は上野五段の日々の努力についてエピソードを披露しました。上野五段は毎日数百題もの詰碁を解く習慣を持っているそうです。さらに、謝七段の誕生日が11月16日であると聞いた上野五段が「その日に1116題の詰碁に挑戦したい」と語ったエピソードを紹介し、戦鹰二段を驚かせました。
解説を務めた戦鹰二段も、上野五段の成功の裏には日々の地道な努力があると強調しました。彼女の結果は単なる才能ではなく、継続的な努力によって築かれたものだとし、多くの視聴者に感銘を与えました。

2024-07-30

第43期女流本因坊戦(共同通信社主催、JA共済連、共栄火災協賛)の本戦準決勝が7月29日、東京都千代田区の日本棋院で行われ、上野梨紗女流棋聖(18)が謝依旻七段(34)を破り、挑戦者決定戦に進出しました。
上野女流棋聖は今年の女流棋聖戦三番勝負で仲邑菫三段を2勝1敗で破り、初のタイトルを獲得しています。彼女の姉である上野愛咲美女流立葵杯も注目される中、今回の準決勝での勝利は大きな注目を集めました。
この対局は全体を通して白棋が有利な展開で進行しました。初期段階から白がリードを保ち、中盤でその優位を拡大し、終盤では勝勢を確定しました。特に48手から、白の対処が決定的であり、黒棋が巻き返す機会はほとんどありませんでした。
挑戦者決定戦は8月19日に行われ、上野女流棋聖と牛栄子四段の対戦となります。上野女流棋聖は2期連続での女流本因坊挑戦を目指し、一方、牛四段は初めての5番勝負出場を狙います。
今回の対戦相手である謝依旻七段は、これまでに女流本因坊を通算8期獲得している実力者であり、上野女流棋聖にとっては大きな壁となる相手でした。しかし、その強敵を破り挑戦者決定戦に進出した上野女流棋聖の快進撃は、今後の女流囲碁界に新たな風を吹き込むことでしょう。8月19日の挑戦者決定戦での活躍が期待され、その結果次第では、藤沢里菜女流本因坊との熱戦が待っています。
2024-02-15

第35期女流名人戦博多・カマチ杯リーグ戦、藤沢里菜女流本因坊―謝依旻七段が対決。藤沢女流本因坊が5連勝を決めるか、謝七段が挑戦権争いに残れるか、リーグ戦の行方に影響を与える重要な一戦。
藤沢里菜女流本因坊が謝依旻七段に勝利し、挑戦権を獲得しました。「厳しいリーグ戦で挑戦権を獲得できて嬉しいです。久しぶりにタイトル戦で愛咲美ちゃん(上野女流名人)と対局するので楽しみです」と藤沢女流本因坊。
関連棋譜:【第35期女流名人戦博多カマチ杯リーグ】(黒)藤沢里菜女流本因坊 対 謝依旻七段(白)

第50期天元戦本戦1回戦で、芝野虎丸名人が村本渉四段に勝利し、2回戦へ駒を進めました。次戦は河野臨九段―上野愛咲美女流名人の勝者と対決します。
関連棋譜:【第50期天元戦本戦1回戦】(黒)芝野虎丸名人 対 村本渉四段(白)

第49期棋聖戦Bリーグ、横塚力七段―柳時熏九段に勝利し、好発進を決めました。初のBリーグ入りした横塚七段の活躍に注目です。
関連棋譜:【第49期棋聖戦Bリーグ】(黒)柳時熏九段 対 横塚力七段(白)

第49期新人王戦本戦1回戦で、田中佑樹二段が池本遼太四段に勝利しました。田中二段は今年3勝0敗と好スタートを切っています。次戦では、西村仁二段―後藤一初段の勝者と対戦します。
関連棋譜:【第49期新人王戦本戦1回戦】(黒)田中佑樹二段 対 池本遼太四段(白)

第49期碁聖戦本戦1回戦、関航太郎九段が洪爽義五段に勝利し、2回戦進出を決めました。次戦は伊田篤史九段と対決します。

第35期女流名人戦博多・カマチ杯リーグ戦、上野梨紗女流棋聖が井澤秋乃五段に勝利し、3勝2敗となりました。次戦は謝依旻七段と対決します。
関連棋譜:【第35期女流名人戦博多カマチ杯リーグ】(黒)上野梨紗女流棋聖 対 井澤秋乃五段(白)

第49期新人王戦本戦1回戦、三浦太郎三段が関涼介初段に勝利し、2回戦進出を決めました。次戦は原正和四段―中濵孝ノ輔二段の勝者と対戦します。
2024-02-15

第35期女流名人戦博多・カマチ杯リーグ戦、藤沢里菜女流本因坊―謝依旻七段が対決。藤沢女流本因坊が5連勝を決めるか、謝七段が挑戦権争いに残れるか、リーグ戦の行方に影響を与える重要な一戦。
女流名人リーグで藤沢里菜女流本因坊が謝依旻七段を破り、負けなしの5連勝で上野愛咲美女流名人への挑戦権を獲得しました。最終戦で藤沢さんが負け、仲邑菫三段が勝てば同星で並びますが、仲邑さんは挑戦手合前に日本棋院を離籍するためプレーオフは行われず、藤沢さんの挑戦が決まりました。
「厳しいリーグ戦で挑戦権を獲得できて嬉しいです。久しぶりにタイトル戦で愛咲美ちゃん(上野女流名人)と対局するので楽しみです」と藤沢女流本因坊。
2020-09-13

第5回扇興杯女流最強戦の決勝が13日、東京都江東区で行われ、上野愛咲美女流本因坊が218手までで、謝依旻六段に白番5目半勝ちし初優勝した。
今年2月以来の2冠に返り咲いた上野女流本因坊は「終盤、悪くなっていた図もあったかと思うが、良い結果になってうれしい」と話した。タイトル獲得は通算4期。謝は平成30年12月に女流本因坊を失って以来のタイトル獲得はならなかった。
同戦の準決勝と決勝は第4回大会まで滋賀県東近江市で実施されていたが、新型コロナウイルスの感染拡大防止で対局者や関係者の移動を減らすため、今回は東京都内で行われた。
上野女流本因坊は昨年9月、全棋士に出場資格がある「第28期竜星戦」の決勝に進出。女性棋士としては初の準優勝を成し遂げて話題になった。
2019-10-30

30日、「第10回兵聖杯世界女子囲碁選手権」1回戦が行われ、藤沢里菜四段が2回戦に進出した。上野愛咲美三段、謝依旻六段は敗退となった。藤沢里菜四段2回戦の相手は中国の陸敏全五段。
上野愛咲美三段は33手目で致命的なミスが出た。白の34手目に分断された後、黒の調子が崩れた。


芮廼偉九段の48手目「絶妙の一手」の後、局勢が白有利になった。後半は謝依旻六段がかなり頑張ったが、残念ながら逆転できず1.5目負けになった。


↑↑AIの予想図↑↑

↑↑実戦の手順↑↑
2019-10-29

第10回兵聖杯世界女子囲碁選手権は30日に中国で開幕、日本より藤沢里菜四段、上野愛咲美三段、謝依旻六段の3名が出場する。
夢百合杯は本戦には16名が出場し、出場者の内訳は中国6名、日本3名、韓国3名、中華台北2名、欧米2名となっている。優勝賞金は30万元(約480万円)、準優勝は10万元(約160万円)、対局料は1局8000元(約13万円)。
1回戦の対局カード:




2019-07-14

囲碁の第4回扇興杯女流最強戦の決勝が14日、滋賀県東近江市で行われ、藤沢里菜女流名人(20)が281手までで、謝依旻(しぇい・いみん)六段(29)に黒番1目半勝ちし、第2回以来の優勝を果たした。5つある女流タイトルのうち女流名人・女流本因坊・女流立葵(たちあおい)杯を保持する藤沢は平成29年11月以来、自身2度目の4冠になった。
藤沢女流名人は対局後、「二転三転、四転五転する難しい対局でしたが、よい結果に結びつけることができた。(トーナメント戦を勝ち抜いて)また来年、この場で成長した姿を見せられたら」と語った。
藤沢女流名人は22年に11歳6カ月でプロ入り。26年に第1回会津中央病院杯(現女流立葵杯)で優勝するなど女流タイトル獲得は通算12期で、謝六段(27期)に次ぎ単独2位になった。今年1月には女流棋士としては初めて、七大タイトル戦の本戦で勝利するなど、男性棋士にも劣らない活躍をみせている。
囲碁界の女流トップである2人は、27年以降、何度もタイトル戦の大舞台で戦ってきた。28年には史上初めて、5つある女流タイトルを独占した謝六段だが、台頭してきた藤沢女流名人に奪われることが多くなり昨秋、第37期女流本因坊戦五番勝負を1勝3敗で落とし、11年1カ月ぶりに無冠へ転落していた。平成最後の女流タイトル戦になった今春の第31期女流名人戦三番勝負でも、藤沢女流名人に1勝2敗で敗れ奪還はならなかった。謝六段は「序盤から苦しかった。途中、持ち直したかと思ったが(最終的)足りなかった」と話した。
2019-04-04

囲碁の女流タイトル戦「第六期会津中央病院・女流立葵杯」は四日、東京都千代田区の日本棋院本院で本戦一回戦の第二局が打たれ、鈴木歩七段(35)がシードの謝依旻(しぇい・いみん)六段(29)に百四十三手で黒番中押し勝ちし、五月に会津若松市東山温泉で行われる準決勝進出を決めた。
鈴木七段は「男性棋士に対し最も強い女流棋士」として知られる。二〇一一(平成二十三)年に三大タイトルの棋聖戦であと一勝すれば「本戦」入りするところまで迫り、対局場が報道陣で埋め尽くされたエピソードは有名。七大タイトルでは二〇一七年の天元戦で本戦出場を果たしており、プロ棋士の間でも実力が高く評価されている。
女流立葵杯の本戦入りは三度目で、四強入りは二度目。「会津に向かう列車から見た新緑の美しさが印象に残っている。また訪れるのが楽しみ」と言葉を弾ませた。
謝六段は通算女流タイトル獲得数が二十七期と最多で、女流タイトル全五冠同時制覇を達成した「女王」。この日の対局でも序盤から形勢を維持していたが、中央の「キリ」で悔やむ着手があり投了した。謝六段は平成元年生まれで、初めて「会津行き」を逃した。
準決勝からは会津若松市東山温泉の「今昔亭」が舞台となる。準決勝は五月十八日、挑戦者決定戦は同十九日。郡山市ゆかりの藤沢里菜女流立葵杯(20)=三冠=に挑む挑戦手合三番勝負は六月十四日に開幕する。どちらかが二勝した時点で終了し、一勝一敗の場合は日本棋院本院で決定局の第三局が打たれる。
2019-03-25

フルセットまでもつれた囲碁の第31期女流名人戦三番勝負を制し、3連覇を達成した。「謝依旻(しぇい・いみん)六段は勝負強かった。勝った第2局も内容がよくなかったので、防衛できてうれしい」
3カ月前、謝六段から女流本因坊を奪った日本棋院特別対局室で、今度は謝の挑戦をはねのけた。
プロ9年目の昨年は女流立葵(たちあおい)杯をあわせ、5つある女流タイトルのうち3つを獲得した。43勝(23敗)は男性を含め約470人いる棋士のなかで2位タイの成績。謝を11年ぶりに無冠へ陥落させ第一人者交代を印象づけたが、「謝さんの力強い攻めには、まったくかなわない」と謙虚な姿勢は変わらない。
4月には史上最年少棋士として仲邑菫(なかむら・すみれ)新初段がプロ入りする。10歳の少女に「あこがれの棋士」にあげられる自身もまた、11歳6カ月で入段した。東京都内の中学に通いながら対局に臨んでいたため、京都への修学旅行にも参加できなかった。今年、その京都で開催された第2局で勝利し、関係者のはからいによるお座敷遊びなどの観光も堪能した。もっとも、「アルコールを飲むと頭が痛くなる」と、酒豪で知られた祖父で師匠の藤沢秀行名誉棋聖とは似つかない。
約1年前からひとり暮らしを始めたが、対局前は母親が食事を作りにきてくれるなど、まだまだ頼る部分も。それでも、今春誕生する8人の新人はじめ女流棋士には慕われ、また“標的”にされるのは間違いない。「切磋琢磨(せっさたくま)し、みんなで中国や韓国に勝てるようにしていければ」。平成最後の女流棋戦を制した平成生まれの双肩に期待がかかる。(伊藤洋一)
2019-03-22

囲碁の第31期女流名人戦3番勝負の第3局は22日、東京都千代田区の日本棋院で打たれ、藤沢里菜女流名人(20)が挑戦者の謝依旻六段(29)に白番中押し勝ちし、2勝1敗で3連覇を達成、女流本因坊、女流立葵杯と合わせ三冠を守った。
藤沢女流名人は今回の防衛で、女性棋戦優勝の通算回数を10とした。
謝六段は昨年12月に女流本因坊を失い、挑戦手合制の棋戦で11年ぶりに無冠となった。それ以来のタイトル復帰が懸かったが、あと一歩届かなかった。
藤沢女流名人は平成10年、埼玉県出身。藤沢秀行名誉棋聖門下。22年に女流棋士特別採用では最年少となる11歳6カ月でプロ入り。26年には16歳1カ月の史上最年少で女流本因坊を獲得した。29年に第29期女流名人を奪取。昨年の女流本因坊戦でも謝を破っていた。今回のタイトル防衛により、タイトル獲得は通算10期となった。
「シリーズを通して難しい碁ばかりだったので、3連覇することができうれしい。第3局はミスもあり反省点が多かったが、最も自分らしく打つことができた。このあと国際棋戦も多く出場できる。忙しくなるのはうれしいです」
2019-03-14

産経新聞社主催の囲碁タイトル戦「第31期女流名人戦三番勝負」の第2局が14日午前9時半から、京都市上京区の平安女学院大学「有栖館」で行われ午後5時4分、藤沢里菜女流名人(20)が189手までで、挑戦者の謝依旻(しぇい・いみん)六段(29)に黒番中押し勝ちし、対戦成績を1勝1敗とした。持ち時間各3時間で残りは藤沢が9分、謝は1分。最終第3局は22日、東京都千代田区の日本棋院で行われる。

謝の先勝で迎えた第2局は、下辺白46、48と我慢した謝が左上と右下を、藤沢が右上と左下を占める展開で、長期戦の気配だった。

白の薄みを狙う藤沢は、右下黒33とハネ出しから戦いを仕掛け、激しい競り合いに突入した。

謝は中央の白12手目から早々に残り1分の秒読みに突入したが、白18ツケコシのあと、白26から30まで黒8子を取り込み優勢を築いた。持ち時間に余裕のあった藤沢が、上辺の黒模様をどれだけまとめられるかが、勝負の分かれ目になった。そのなかで白36が謝の失着。白は39などに打ち、上辺を黒地にさせないほうがよかった。

「黒1が上辺を大きく囲うがんばった一着」で藤沢が逆転に成功した。謝も白2と反発し、取るか取られるかの際どい戦いになったが、藤沢が黒23、25と正確にトドメをさして勝敗は決した。
藤沢女流名人の話「黒137で手応えを感じた。内容がよかったとは言えない。次は自分らしく精いっぱい打ちたい」
謝六段の話「ずっと難しいと思っていた。勝負どころの後半に持ち時間を残すような打ち方をしないと」
2019-03-13

産経新聞社主催の囲碁タイトル戦「第31期女流名人戦三番勝負」の第2局(平安女学院大学協力)が14日、京都市上京区の同大所有の登録有形文化財「有(あり)栖(す)館」で行われる。同館での対局は8年連続。
今期の三番勝負は、3連覇が懸かる藤沢里菜女流名人(20)に、平成28年まで女流名人9連覇の謝(しぇい)依(い)旻(みん)六段(29)が挑む。第1局は、謝六段が先勝。藤沢女流名人がタイに戻すか、謝六段が一気に奪還を決めるか、注目の一局だ。

13日は学内で前夜祭が行われた。藤沢女流名人は「明日の対局は厳しい戦いになる。自分らしく精いっぱい力を発揮できれば」と意欲を示し、謝六段は「昨年は(対局者として)来られず悔しい思いをした。長い戦いとなるが、頑張りたい」と闘志を見せた。持ち時間各3時間の1日打ち切り制で、立会人は円田秀樹九段。
14日午後2時から、同大学室町館Mホールで大盤解説会がある。関西棋院の今村俊也九段と、妻で囲碁インストラクター、康子さんが解説する。入場無料。
2019-03-07

産経新聞社主催の囲碁タイトル戦「第31期女流名人戦三番勝負」の第1局が6日午前9時半から、大阪府東大阪市の大阪商業大学で行われ午後5時58分、謝依旻(しぇい・いみん)六段(29)が241手までで、藤沢里菜女流名人(20)に黒番中押し勝ちし、3期ぶりの奪還へ向け先勝した。持ち時間各3時間で残りはともに1分だった。第2局は14日、京都市上京区の平安女学院大学「有栖館」で行われる。

白10ツケや黒15の“ダイレクト三々”など、AI(人工知能)搭載囲碁ソフトが推奨する手順が頻出する布石で始まった一局は、黒の実利VS白の模様の展開に。


黒43マガリが評価の分かれる着手で「黒62にツイだほうが打ちやすかったのでは」と立会人・石井邦生九段の指摘。白48カケが好手で、中央白68まで藤沢が主導権を握った。


黒105の強烈な切りに対し白106、108の出切りなど、右下の折衝が難解な勝負どころになった。


劣勢を意識したか、左辺の黒141は勝負手。対する白146が打ちすぎ。147とノビていれば優勢だったが、残り1分の秒読みに追われて不本意な手を連発。一方、黒161まで生きた謝が逆転に成功した。

この後のヨセも冷静に打った謝。地合が足りないとみた藤沢が投了し、3期ぶりの奪還に向け発進した。
「あちこちで戦いが起こった難解な一局。両者の持ち味が存分に出た見応えある対局だった」と石井九段は振り返った。
「左辺を生きて、少し残りそうだと思った。第2局も一生懸命打つだけです」
「中盤以降、よくなる図が見えなかった。気持ちを切り替えて次に臨みたい」
2019-02-26
謝依旻六段は、客家の「硬頸精神」と呼ばれる不撓不屈の精神に支えられ、囲碁人生を歩んできた。彼女が経験した苦労と成功、そして囲碁界の未来について話を聞いた。
—— 謝依旻さんが育った頃の話を聞かせてください。
両親が教育熱心で多くの習い事をしていたが、特にそろばん・暗算を幼少期から学び、3歳で暗算3級試験に挑戦した。最初は失敗したものの、翌年には3級を取得。その後、囲碁を兄と一緒に学び始めた。
—— 囲碁とはその頃に出合ったのですか?
6歳の時に五目並べでアマ六段の先生に勝利し、それを見た別の先生に囲碁を正式に学ぶよう誘われた。兄との対局では常に負けていたが、それが悔しくて強くなりたいと思い、囲碁を続けることを決意した。
—— なぜ日本でプロの棋士になろうと思ったのですか?
台湾では囲碁の教材や情報が日本のものが中心であり、日本でプロになるのは自然な目標だった。10歳で海峰杯で優勝し、さらに日本棋院の雑誌『棋道』に載っていた「女流本因坊」という言葉を見て、「私は将来、女流本因坊になる!」と父に伝えた。

—— ご両親の指導と支えについて教えてください。
父は厳格な学習塾の先生で、囲碁の大会や勉強に熱心だった。12歳で来日した際には日本語ができず、父の支えが大きかった。14歳でプロになり、責任を果たせたことで安堵した。
—— 初めてタイトルを獲得した時のことを教えてください。
14歳でプロ棋士になった後、16歳でスランプを経験。しかし2006年第1回広島アルミ杯・若鯉戦で優勝し、17歳で東京精密杯女流プロ最強戦のタイトルを獲得した。

—— AIの存在と囲碁界の発展についてどう考えていますか?
ほとんどの棋士がAIを活用して研究を行い、私も判断が難しい局面ではAIの意見を取り入れている。AIのおかげで囲碁の進化が加速しているが、囲碁界の発展にはスター棋士の出現が重要だと考えている。

—— これまで一番印象に残っている対局を教えてください。
2011年「第23期女流名人戦」で、東日本大震災の最中に行われた対局が印象的だった。地震の影響で対局が一時中断されるも、12日後に再開。勝利しタイトルを防衛したが、特別な対局となった。


平成元年(1989年)11月16日生。台湾出身。黄孟正九段門下。平成16年入段(14歳4ヶ月で入段。正棋士採用女流棋士最年少記録)、17年二段、18年三段、20年四段、22年五段、24年六段。令和3年七段。
2025年1月30日

産経新聞社主催の囲碁タイトル戦 「大和ハウス杯 第63期十段戦」 の挑戦者決定戦が 1月30日、東京都千代田区の日本棋院東京本院で行われました。
芝野虎丸九段 が 241手 までで 許家元九段 に 黒番中押し勝ち し、十段位の挑戦権を獲得しました。
芝野九段は、現在 十段・王座・碁聖の三冠 を保持する 井山裕太十段 に挑みます。
シリーズ 第1局 は、3月3日 に大阪府東大阪市の 大阪商業大学 で開幕予定です。
挑戦権を獲得した芝野九段は、
「こんなに早く挑戦の機会が来たことがすごくうれしい。本戦では内容の良くない碁もあったが、せっかくここまで勝つことができたので頑張りたい」
と語りました。
2025年1月30日

産経新聞社主催の囲碁タイトル戦 「大和ハウス杯 第63期十段戦」 の挑戦者決定戦が 1月30日、東京都千代田区の日本棋院東京本院で行われました。
芝野虎丸九段 が 241手 までで 許家元九段 に 黒番中押し勝ち し、十段位の挑戦権を獲得しました。
芝野九段は、現在 十段・王座・碁聖の三冠 を保持する 井山裕太十段 に挑みます。
シリーズ 第1局 は、3月3日 に大阪府東大阪市の 大阪商業大学 で開幕予定です。
挑戦権を獲得した芝野九段は、
「こんなに早く挑戦の機会が来たことがすごくうれしい。本戦では内容の良くない碁もあったが、せっかくここまで勝つことができたので頑張りたい」
と語りました。
2025年1月26日








2025年1月26日








2025年1月25日

1月25日、第49期棋聖戦七番勝負(読売新聞社主催、特別協賛・サントリーホールディングス)の第2局、1日目の対局が栃木県日光市の「日光千姫物語」で行われます。17時30分に白番の一力棋聖が88手目を封じて1日目が終了しました。














2025年1月25日

1月25日、第49期棋聖戦七番勝負(読売新聞社主催、特別協賛・サントリーホールディングス)の第2局、1日目の対局が栃木県日光市の「日光千姫物語」で行われます。17時30分に白番の一力棋聖が88手目を封じて1日目が終了しました。














2025年1月24日

1月24日、一力遼棋聖に井山裕太王座が挑む第49期棋聖戦七番勝負第2局、栃木県日光市の旅館「日光千姫物語」にて対局室の検分と前夜祭が行われました。この地での開催は昨年に続き2年連続となります。
碁石や碁盤の感触、室内の温度、トイレの位置などを確認した両対局者は、数分で検分を終えました。


日光入りは東武鉄道の「スペーシアX」に乗りましたね。
(去年は乗れず)楽しみにしていました。初めて乗ることができてうれしかったですし、乗り心地もすごくよかったです。
去年のシリーズから白番が勝つ傾向がありますが、意識はしますか?
特に意識はしていないですが、1勝1敗と2連敗ではだいぶ違うので、重要な対局だと思っています。
今週は大相撲を観戦に行っていたそうで、テレビにもばっちり映っていました。
国技館自体も初めて行きましたし、迫力があって楽しかったですね。気分転換になりました。
明日からの対局に向けて
必勝祈願もしていただきました。体調も問題ないですし、自分にできるベストを尽くしたいです。2日間戦い抜きたいですね。
先勝して迎える2局目です。2連勝できるか、1勝1敗になるかでは大きく変わるのでは?
序盤ではありますし、深く意識することはないですが、第1局同様、自分のベストを尽くして、いいパフォーマンスができればと思っています。
過密日程が続いています。体調の方はいかがでしょう。
重要な対局が続くと日程はどうしても過密になり、大変さもありますが、それ以上に充実感を感じています。それもプラスに働いているのではないかと思います。
今日のネクタイピンは眼鏡ですか。オシャレですね。
いや、特に意図はないです(笑)。時々つけていますよ。
日光と言えば、去年は前夜祭で歌の歓迎がありましたが、今年もあるという話です。
去年を鮮明に覚えています(笑)。今まで数多く前夜祭は経験しましたが、初めての経験だったので。今年は去年の経験がありますから、それを踏まえて前夜祭に臨めれば。
今年もその伝統を引き継ぎ、手作り感あふれる素敵な会が開かれました。特に盛り上がりを見せたのは、地元の日光吹奏楽団による生演奏のコーナーです。音楽教室の先生が「囲碁の聖地日光の歌」と「囲碁よろしくの歌」というオリジナルソングを熱唱すると、会場は一体となって盛り上がりました。
井山裕太王座が「ほかにはない雰囲気の前夜祭でありがたい」と語り、一力遼棋聖も「熱烈な歓迎をうれしく思います」と挨拶しました。










2025年1月24日

1月24日、一力遼棋聖に井山裕太王座が挑む第49期棋聖戦七番勝負第2局、栃木県日光市の旅館「日光千姫物語」にて対局室の検分と前夜祭が行われました。この地での開催は昨年に続き2年連続となります。
碁石や碁盤の感触、室内の温度、トイレの位置などを確認した両対局者は、数分で検分を終えました。


日光入りは東武鉄道の「スペーシアX」に乗りましたね。
(去年は乗れず)楽しみにしていました。初めて乗ることができてうれしかったですし、乗り心地もすごくよかったです。
去年のシリーズから白番が勝つ傾向がありますが、意識はしますか?
特に意識はしていないですが、1勝1敗と2連敗ではだいぶ違うので、重要な対局だと思っています。
今週は大相撲を観戦に行っていたそうで、テレビにもばっちり映っていました。
国技館自体も初めて行きましたし、迫力があって楽しかったですね。気分転換になりました。
明日からの対局に向けて
必勝祈願もしていただきました。体調も問題ないですし、自分にできるベストを尽くしたいです。2日間戦い抜きたいですね。
先勝して迎える2局目です。2連勝できるか、1勝1敗になるかでは大きく変わるのでは?
序盤ではありますし、深く意識することはないですが、第1局同様、自分のベストを尽くして、いいパフォーマンスができればと思っています。
過密日程が続いています。体調の方はいかがでしょう。
重要な対局が続くと日程はどうしても過密になり、大変さもありますが、それ以上に充実感を感じています。それもプラスに働いているのではないかと思います。
今日のネクタイピンは眼鏡ですか。オシャレですね。
いや、特に意図はないです(笑)。時々つけていますよ。
日光と言えば、去年は前夜祭で歌の歓迎がありましたが、今年もあるという話です。
去年を鮮明に覚えています(笑)。今まで数多く前夜祭は経験しましたが、初めての経験だったので。今年は去年の経験がありますから、それを踏まえて前夜祭に臨めれば。
今年もその伝統を引き継ぎ、手作り感あふれる素敵な会が開かれました。特に盛り上がりを見せたのは、地元の日光吹奏楽団による生演奏のコーナーです。音楽教室の先生が「囲碁の聖地日光の歌」と「囲碁よろしくの歌」というオリジナルソングを熱唱すると、会場は一体となって盛り上がりました。
井山裕太王座が「ほかにはない雰囲気の前夜祭でありがたい」と語り、一力遼棋聖も「熱烈な歓迎をうれしく思います」と挨拶しました。











1月25日、第1回日本女子囲碁リーグの第6ラウンド(第2試合)が、チーム名古屋のホームである「日本棋院中部総本部」で行われました。チーム名古屋がチーム福岡を相手に2勝1敗で勝利し、勝ち点1を獲得しました。
先に終わった2局、両チームが1勝ずつを挙げる接戦となりました。チーム福岡の向井千瑛六段は、チーム名古屋の羽根彩夏二段に勝利しました。一方、チーム名古屋の加藤千笑三段が謝依旻七段を下しました。
勝負の行方を決めたのは、チーム福岡の辻華三段とチーム名古屋の高雄茉莉二段の対局でした。辻三段は中盤まで優勢を保っていましたが、後半で流れを崩してしまい、最終的には高雄二段に逆転を許してしまいました。この結果により、チーム名古屋が勝利を収めました。
辻華三段にとって、この対局は2025年の公式戦初戦でした。優位を築きながらも勝利を逃してしまい、チームを勝利に導くことができなかったのは悔しい結果となりました。
主将戦: 向井千瑛六段 (勝) vs 羽根彩夏二段 (負)

副将戦: 辻華三段 (負) vs 高雄茉莉二段 (勝)

三将戦: 謝依旻七段 (負) vs 加藤千笑三段 (勝)



2024年9月20日
9月19日に行われた第63期大和ハウス杯十段戦最終予選で、高尾紳路九段が辻篤仁五段に勝利し、公式戦通算1100勝を達成しました。高尾九段は、これにより日本棋院所属の棋士として19人目の偉業を達成したことになります。

高尾紳路九段は、藤沢秀行名誉棋聖門下の棋士として知られ、本因坊3連覇を含む通算15のタイトルを誇ります。公式戦では1100勝541敗2引き分け1無勝負という見事な成績を収めており、その勝率は67.0%に達しています。特に本因坊としての活躍が目立ち、2005年から2007年にかけて本因坊位を3連覇しました。
今回の1100勝達成時の年齢は47歳10か月で、これは棋士としては比較的若い年齢での達成です。入段から1100勝までにかかった期間は33年5か月でした(最年少記録は結城聡九段の42歳1か月、最速記録は山下敬吾九段の28年5か月)。
1991年にプロ入りして以来、高尾九段は新人王やNEC杯などの数々の棋戦で優勝し、棋界での地位を確立してきました。特に2005年に本因坊位を初めて獲得し、翌年には九段に昇進。その後も名人や天元、十段などの主要タイトルを次々と獲得し、棋士としての実力と実績を積み重ねてきました。
2024年9月17日

第49期棋聖戦Sリーグで、残留をかけた一戦が本日行われました。高尾紳路九段(序列4位、0勝4敗)と余正麒八段(序列5位、1勝3敗)の対局は、Sリーグに残るか降級するかを決定づける重要な試合となりました。既に他の対局はすべて終了しており、今回の結果が孫喆七段(序列6位、2勝3敗)の運命も左右することになりました。
余正麒八段が高尾紳路九段に先番中押し勝ちし、リーグ成績を2勝3敗としました。一方、高尾九段はこれで0勝5敗となり、Sリーグ内での降級が確定しました。
今回の結果により、孫喆七段(2勝3敗)も降級することになりました。余八段は2勝3敗ながら、高尾九段や孫喆七段に対して直接対決で勝利していたため、リーグ内順位で4位に入り、Sリーグ残留を果たしました。

井山裕太王座(4勝1敗)と芝野虎丸名人(4勝1敗)がそれぞれ1位、2位の成績で挑戦者決定トーナメントに進出していますが、高尾九段と孫喆七段が降級となりました。
2024年8月23日

8月22日に行われた第49期棋聖戦Sリーグで、井山裕太王座が高尾紳路九段に対し、白番中押しで勝利を収めました。この勝利により、井山王座は挑戦者決定トーナメントへの進出に確定しました。一方、高尾九段はSリーグから陥落になりました。
この試合は、序盤から互いに慎重な手が続きましたが、中央の戦いを境に井山王座が有利な展開を作り出しました。特に終盤における井山王座の冷静な対応と的確な手順が、勝利への道を開きました。対する高尾九段は、最後まで粘り強く戦いましたが、劣勢を覆すことはできないので投了しました。

次局では芝野虎丸名人と井山裕太王座の対決です。勝者はSリーグ1位として挑戦者決定トーナメント進出になります。
2024年5月13日

第49期棋聖戦(主催・読売新聞社)のSリーグ第1ラウンド最後の1局が行われました。対局者は高尾紳路九段と孫喆七段で、孫喆七段が白番で4.5目の勝利を収めました。
348手の熱戦を繰り広げました。終盤、コウが絡んで大混戦に。形勢が激しく揺れ動いた末、孫喆七段がコウ争いの転換を利用し、勝利を手にしました。
成績表:

2024年2月13日

日本国内予選のシニア枠は、高尾紳路九段が山下敬吾九段に勝利し枠抜けを果たしました。
関連棋譜:【第2回衢州爛柯杯国内予選シニア枠決勝】(黒)山下敬吾九段 対 高尾紳路九段(白)

第15回春蘭杯世界囲碁選手権日本国内予選、許家元九段と広瀬優一七段が予選通過。一力遼九段、芝野虎丸九段、井山裕太九段を含めた日本代表の5名は、3月19、21日に江蘇省泰州市で行われる本戦へ出場します。
関連棋譜:【第15回春蘭杯日本国内予選決勝】(黒)佐田篤史七段 対 許家元九段(白)
関連棋譜:【第15回春蘭杯日本国内予選決勝】(黒)関航太郎九段 対 広瀬優一七段(白)
第15回春蘭杯世界囲碁選手権日本国内予選1回戦の結果は以下の通り。
【1回戦の結果】(左側が勝者)
関連棋譜:【第15回春蘭杯世界囲碁選手権日本国内予選1回戦】(黒)関航太郎九段 対 酒井佑規五段(白)
関連棋譜:【第15回春蘭杯世界囲碁選手権日本国内予選1回戦】(黒)広瀬優一七段 対 余正麒八段(白)
関連棋譜:【第15回春蘭杯世界囲碁選手権日本国内予選1回戦】(黒)許家元九段 対 富士田明彦七段(白)
関連棋譜:【第15回春蘭杯世界囲碁選手権日本国内予選1回戦】(黒)佐田篤史七段 対 福岡航太朗五段(白)
第2回衢州爛柯杯ワールド囲碁オープン日本国内予選シニア枠の1回戦の結果は以下の通り。
【1回戦の結果】(左側が勝者)
関連棋譜:【第2回衢州爛柯杯国内予選シニア枠1回戦】(黒)山田規三生九段 対 山下敬吾九段(白)
関連棋譜:【第2回衢州爛柯杯国内予選シニア枠1回戦】(黒)高尾紳路九段 対 結城聡九段(白)
2019年5月25日

久しく遠ざかっている日本勢の囲碁世界タイトルの奪還を期して、今春、日本ナショナルチーム監督に元名人本因坊の高尾紳路九段(42)が就いた。前世紀まで一頭地を抜く存在だった日本は、なぜ中韓の後塵(こうじん)を拝するようになったのか。タイトル奪還の課題は何か。高尾新監督に聞いた。
「いま世界で一番強いのは中国、次が韓国、その次が残念ながら日本ということになると思う。中韓の世界トップクラスと日本の第一人者、井山裕太四冠(29)の実力差はほとんどないが、日本は井山さん一人で戦っている。井山さんといえども、世界戦のトーナメントで頂点まで勝ち続けるのは並大抵ではない」
「対して中国の世界トップクラスは、少なく見積もっても20人以上はいる。韓国も5人ぐらい。トップクラスの人数が多ければ多いほど、その国の棋士が頂点に立つ確率が高まる」
「最強といっても、断トツで強いわけではなかった。世界戦のさきがけとなった勝ち抜き団体戦『日中スーパー囲碁』は、1984年の第1回から3回連続で中国が日本を破っている。ただ、その後はっきり中韓に越され、差も広がっていった」
「原因の一つは、囲碁人口の差だと思う。僕の小中学校9年間で、僕以外に学年で碁を打つ人は一人もいなかった。対して中国は子ども教室が大人気で、生徒数が何万人という教室もある。そこから若くて強い棋士がどんどん出ている」
「ここ最近、日本にも若くて優秀な棋士が出てきた。たとえば世界最強の中国の柯潔(かけつ)九段(21)に勝ったことがある日本の棋士は井山さんしかいなかったが、昨年に芝野虎丸七段(19)、今年に一力遼八段(21)が柯潔さんに勝った。明るい材料だが、さて実際に世界戦で優勝できるかとなると、まだ足りない。何回か打って1回勝てても、それで何十人のトーナメントで優勝するには無理がある。ただ、もう手が届くところまで、あとちょっとという感じはあるが、そのあとちょっとがたいへん。それが何かがわからない。わかれば僕も世界タイトルを取っている」
「世界戦では速く、正確に手が見える棋士が有利。その点では一力さん、芝野さん、それに許家元(きょかげん)碁聖(21)は頼もしい存在ではある。でもその特長は、当然ながら中韓の棋士も身につけている。それだけではないプラスアルファを身につけるには、努力しかない。若くて優秀な棋士が一人でも多いほど競争が厳しくなり、必然的にレベルが上がる。井山さんクラスが5人そろえば、日本も世界で優勝できる。5年以内に優勝したい。その可能性は十分にある」
「囲碁は個人競技なので、監督としてやれることは限られているが、若い人の刺激になる環境を整えたい。これまでチームの研究会を不定期にやってきたが、とりあえず隔週土曜日に東京でやることにした。夏冬の年2回の合宿も続けていく。中韓トップ棋士との交流も積極的に進めていきたい。直接接することで、棋譜では得られない空気に触れてほしい」
「チームには井山さん、張栩さんら第一線の棋士のほかに、仲邑菫(なかむらすみれ)初段(10)など10代の育成選手がいる。囲碁AI(人工知能)との付き合い方は全棋士の課題だが、若い人ほど柔軟にAIの考えを採り入れている。研究会でもAIで検討しているが、彼ら、彼女たちが、僕らとはまったく違う発想で強くなっていくのか、たいへん興味深い」
2019年4月8日

囲碁の高尾紳路九段(42)は18日、第75期本因坊戦予選で大西研也三段(23)に勝ち、公式戦通算千勝(468敗2持碁1無勝負)を達成した。史上26人目。
高尾九段は勝率68%での到達。日本棋院によると、関西棋院所属の結城聡九段(47)の73%に続いて史上2位の高勝率で、日本棋院所属棋士では1位となる。
高尾九段は千葉市出身で、1991年にプロ入りした。名人、本因坊などの獲得実績があり、現在、囲碁ナショナルチームの監督を務めている。

昭和51年(1976年)10月26日生。千葉県千葉市出身。故田岡敬一氏に師事。故藤沢秀行名誉棋聖門下。平成3年入段、4年二段、5年三段、6年四段、8年五段、10年六段、12年七段、14年八段、17年九段。
2020年8月14日

第45期碁聖戦五番勝負(新聞囲碁連盟主催)の第3局が14日、東京・市ケ谷の日本棋院で打たれ、挑戦者の一力遼八段が羽根直樹碁聖に160手で白番中押し勝ちし、3連勝で碁聖位を奪取した。一力は6度目の7大タイトル挑戦で初の栄冠を手にした。
一力は若手棋士の筆頭格の実力者。2016年以降、棋聖戦で1回、王座戦と天元戦で各2回挑戦者となったが、いずれも井山裕太九段の高い壁に阻まれてきた。
今シリーズは、第1局で接戦を制し、第2局は羽根のミスを突いて勝利を収めると、第3局は中盤でリードを奪って押し切り、ストレート勝ちを収めた。
一力は終局後、「全体を通して今持っている力を出せたのは良かった。(タイトル挑戦が)6度目で結構時間がかかってしまったが、なんとか結果を出すことができた」と喜びをかみ締めるように語った。
一力は仙台市出身で、宋光復九段門下。河北新報社の一力雅彦社長の長男で、今年3月に早稲田大社会科学部を卒業し、4月1日付で同社東京支社編集部の記者になり、新聞記者を兼ねる異色の棋士となった。
特設ページ:第45期碁聖戦挑戦手合五番勝負
2020年8月7日

第45期囲碁名人戦挑戦者決定リーグ戦の最終ラウンド、羽根直樹碁聖が張栩九段に223手までで黒番中押し勝ちし、リーグ成績3勝5敗で残留を決めた。敗れた張九段は2勝6敗となり、名人通算5期を含む18期在籍したリーグからの陥落が決まった。
ともに2勝5敗で、勝った方がリーグ残留、負けた方が陥落するという「平成四天王」同士の“鬼勝負”だった。
終局後、張九段は「勝った碁を含めて内容が全体的によくなかった。落ちて当然だと思う。もうちょっといい碁を打たないといけない」とリーグ全体を振り返った。来期に向けては「リーグに入るのも大変なこと。とにかく一生懸命やるだけですね」と話した。
関連話題:第45期名人戦リーグ戦
2020年7月18日

羽根直樹碁聖に一力遼八段が初挑戦する第45期碁聖戦(新聞囲碁連盟主催)五番勝負の第1局は18日、金沢市の北國新聞会館で打たれ、午後7時50分、261手で一力八段が白番1目半勝ちし、先勝した。
長いヨセ勝負となり、白がわずかに抜け出した。一力八段は初の七大タイトル獲得を目指し、羽根碁聖は2期連続の碁聖位が懸かる。
持ち時間各4時間のうち、残りは共に1分。
第2局は8月3日、名古屋市の日本棋院中部総本部で行われる。
特設ページ:第45期碁聖戦挑戦手合五番勝負
2020年6月8日

芝野虎丸名人への挑戦権をかけた第45期名人戦リーグ戦は8日、単独首位の井山裕太3冠が羽根直樹碁聖を白番中押しで破った。これで開幕5連勝とし、挑戦権獲得に向けて大きく前進した。敗れた羽根は2勝3敗となり、挑戦権争いから脱落。残留争いに回る。
井山の次戦は、3勝1敗で2位につけている許家元八段。「言うまでもなく強敵。まだ先は長いので、悔いの残らないよう戦いたい」と話した。許は井山戦までに2局あり、今月11日に河野臨九段(1勝3敗)と、18日に林漢傑八段と対戦。連勝して井山戦を迎えれば、挑戦権のゆくえを左右する大一番となる。
リーグ戦はこの日もう一局あり、ここまで0勝4敗だった山下敬吾九段が張栩九段に白番11目半勝ちし、リーグ初白星を挙げた。張栩は2勝4敗。
山下にとって、コロナ禍で2カ月にわたり中断されていた対局再開後初の手合だった。「なにより碁を打てるのがうれしい。対局中断中、家に引きこもっていたが、気持ちをリセットできた部分があるかもしれない。初戦を勝てたので、これからも気持ちよく打てる気がする」と話した。
2019年10月24日

羽根直樹碁聖が24日、東京都千代田区の日本棋院で打たれた第61期王冠戦予選A、片山安雄八段との対局に勝ち、通算1000勝(520敗3持碁1無勝負)を達成した。史上27人目。
羽根は1991年にプロ入り(入段)。今年8月に碁聖を奪取し、7大タイトル通算獲得は本因坊2期など9期。
2019年8月23日

碁聖戦五番勝負第5局が23日、東京・市ケ谷の日本棋院で打たれ、挑戦者の羽根直樹九段が許家元碁聖に白番中押し勝ちし、3勝2敗でタイトルを奪取した。羽根の七大タイトル獲得は2011年の碁聖以来8年ぶり。
羽根は中部総本部所属。張栩名人らと「平成四天王」のひとりに数えられ、00年代に名人と並ぶタイトルの棋聖、本因坊を獲得するなど活躍したが、井山裕太・現四冠に碁聖を奪われた12年以降、七大タイトルから遠ざかっていた。終局後、「シリーズを通して出来不出来があったが、最後に力を出し切れてよかった」と話した。
許は昨年、七大タイトルを独占していた井山から碁聖位を奪ったが、連覇はならなかった。
2019年7月5日

第44期囲碁名人戦挑戦者決定リーグ戦(朝日新聞社主催)は4日、第8ラウンドが始まり、羽根直樹九段が鈴木伸二七段に白番2目半勝ちして4勝3敗とし、今期リーグの残留を決めた。鈴木は2勝5敗となり、リーグ陥落の崖っぷちに追い込まれた。
鈴木が勝てば羽根と同星で並ぶ残留争いの一番は、羽根の地元、名古屋市の日本棋院中部総本部で打たれた。
黒番の鈴木は序盤、左辺におよそ50目の大地を築いた。その代わりに羽根に与えた中央白の大模様を外周から消す得意のヨセ勝負に持ち込んだが、届かなかった。ふだん地に辛い羽根は、鈴木の誘いに乗って珍しい模様の碁にしたが、微細な碁をものにした。終局は午後10時8分。午前10時の対局開始から12時間あまりにわたる熱戦だった。
これで最下位に2勝5敗の鈴木と村川大介十段、六浦雄太七段の3人が並んだ。羽根は8月最終局の井山裕太四冠との対戦に敗れても4敗にとどまり、リーグ陥落の3枠から逃れた。一方の鈴木が残留するには、最終局の芝野虎丸七段との対戦に勝つのが絶対条件。そのうえで、他の棋士の結果次第で残留プレーオフに持ちこめる可能性がある。
2019年6月28日

張栩名人への挑戦権を争う第44期囲碁名人戦挑戦者決定リーグ戦(朝日新聞社主催)は27日、第7ラウンドの残り2局が打たれ、東京・市ケ谷の日本棋院の河野臨九段対羽根直樹九段の首位攻防戦は、河野が黒番中押し勝ちを収め5勝1敗とし、単独首位を守った。羽根は3勝3敗と後退し、挑戦者争いから脱落した。大阪・梅田の日本棋院関西総本部であった前名人の井山裕太四冠対孫喆(まこと)七段の一戦は、井山が黒番中押し勝ちして4勝2敗とし、2位をキープした。
第7ラウンドを終えて、首位の河野を井山、芝野虎丸七段、山下敬吾九段の3人が星一つ差の4勝2敗で追うデッドヒート。残るは各2局。7月の第8ラウンド最大の注目局は、河野と井山の直接対決。2人は現在本因坊戦七番勝負で争っており、河野2連勝のあと井山が3連勝し、来週に第6局がある。その翌週に第7局、さらにその翌週7月18日に名人戦リーグでぶつかる。河野は「井山さんに3連敗しているが、決して悲観していない。いい形で名人戦リーグに臨みたい」と、対井山3連戦に意欲をのぞかせた。一方、井山は「最初1勝2敗だったことを思えば、現時点で挑戦者争いに絡めているのはよかった。河野さんは一番打てている棋士。悔いのないように戦いたい」と話した。
2019年4月23日

第44期碁聖戦(新聞囲碁連盟主催)本戦の準決勝が23日、大阪市北区の日本棋院関西総本部で打たれ、一力遼八段(21)が本因坊文裕(もんゆう)(29)=井山裕太九段=に219手で黒番中押し勝ちし、羽根直樹九段(42)との決勝に進んだ。2015年の第70期本因坊戦以降、文裕がタイトルをかけて競う「挑戦手合」の連続出場記録は、歴代最長の29で止まった。
文裕は「ここまで続けられたのが信じられない。励みにしていた記録の一つなので残念だが、仕方ない」と振り返った。
日本棋院によると、文裕以外の7大タイトル戦挑戦手合の連続出場記録は、小林光一名誉棋聖(66)と張栩名人(39)の6が最長。
文裕は来月11日に岩手県大船渡市で開幕する第74期本因坊決定戦七番勝負(毎日新聞社、日本棋院、関西棋院主催、大和証券グループ協賛)で防衛戦に臨む。
2019年4月8日

本因坊戦リーグ、プレーオフ第1戦、羽根直樹九段と河野臨九段の対局は、河野九段が黒番中押し勝ちしました。10日の第2戦、挑戦者決定の一局は河野九段と芝野虎丸七段によって争われることになりました。共に本因坊初挑戦がかかります。
本因坊戦リーグ、連敗スタートから挑戦者決定戦まで駆け上がった河野臨九段。これで今年公式戦13勝1敗。いったんの連勝ストップ後も、再び4連勝と勢いが止まりません。芝野虎丸七段との決戦で、果実を掴み取れるか。
2019年4月7日

本因坊文裕(29)への挑戦者を決める第74期本因坊戦リーグ(毎日新聞社、日本棋院、関西棋院主催)の最終7回戦が5日、東京都千代田区の日本棋院で一斉に打たれ、首位の羽根直樹九段(42)が山下敬吾九段(40)に敗れた。

白の形は悪いですが、このあと攻め方が難しいので、黒が持て余してしまうかもしれません。

白34利かしにいったのはなかなか気づかない手です。黒37ノビは少し意外でした。
直接戦っていくのは少し無理と見たのでしょう。

白48三々は少し意外でした。黒から打たれてもそれほど地にならなそうなところなので、まだ早いかと思いましたが、徹底した実利作戦です。

白62全然予想外のところから仕掛けていきました。
直接いくのは少し自信がなかったのかもしれません。ただ黒は利きが多くてかなり動きが不自由なので、打つ手が難しいところです。

黒63凄い手がでました。利きが増えるということでしょうか。

82手まで、白が良さそうに見えます。

白86手はやり過ぎます。右辺はA位でコウが残っています。

黒は全部取れないと少し地合が大変かもしれません。なので、取りに行くことを真剣に考えていそうです。




黒165手まで、中央の白が全部取られました。羽根九段が投了しました。
2019年4月1日

許家元碁聖(21)への挑戦権を争う第44期碁聖戦(新聞囲碁連盟主催)本戦は1日、名古屋市の日本棋院中部総本部で準決勝が打たれ、羽根直樹九段(42)が余正麒八段(23)を破り、挑戦者決定戦となる決勝に進出した。
その他、準々決勝が2局行われ、井山裕太五冠(29)が山下敬吾九段(40)、一力遼八段(21)が瀬戸大樹八段(35)にそれぞれ勝ち、準決勝に進出した。井山五冠と一力八段の対局は23日に行われ、その勝者が羽根九段と決勝を争う。

昭和51年(1976年)8月14日生。三重県出身。平成3年入段、同年二段、4年三段、同年四段、6年五段、8年六段、10年七段、12年八段、14年九段。羽根泰正九段は実父。羽根しげ子初段は夫人。羽根彩夏初段は実娘。門下に加藤千笑初段。
2024年10月29日

第49期棋聖戦の挑戦者決定変則三番勝負第1局が関西総本部で行われ、180手まで白番を持つ井山裕太王座が山下敬吾九段に中押し勝ちを収めました。井山王座は一力遼棋聖との棋聖位七番勝負に挑む権利を手にしました。
井山裕太王座と一力遼棋聖の七番勝負は、2025年1月16日(木)・17日(金)に東京都文京区の「ホテル椿山荘東京」で幕を開けます。最高峰の対局に臨む井山王座は、「厳しいリーグ戦やトーナメントを勝ち抜き、この最高の舞台に戻れてうれしい。一力棋聖は現在充実しているが、自分が出せる最高の力を尽くして臨みたい」と意気込みを語りました。
年明けから始まる七番勝負に向け、井山王座は「棋聖への挑戦権を獲得する事ができました。年明けから始まる7番勝負に良いコンディションで臨めるよう、年内の対局も引き続きベストを尽くしたいと思います。」とコメントしました。
2024年10月21日

第49期棋聖戦挑戦者決定トーナメントが10月20日に行われ、山下敬吾九段が先番を握り、217手までで中押し勝ちを収めました。
山下九段は挑戦者決定戦最後のステージに進出し、10月28日に井山裕太王座との対戦です。決勝は変則三番勝負で、Sリーグ優勝者である井山王座には1勝のアドバンテージが与えられています。
名人戦や王座戦、天元戦と忙しいスケジュールの中で戦う芝野名人にとって、重要な関門となる一局でした。対局では中盤まで芝野名人が優勢に進め、終盤に向けて勝利が見えた瞬間もありました。しかし、ヨセの段階で痛恨の見損じがあり、その後山下九段に逆転されてしまいました。名人戦第4局での敗北後、王座戦や天元戦での勝利が続いた芝野名人でしたが、3連勝とはなりませんでした。
